JINSEI STORIES
フランスごはん日記「この季節がおいしい、イタリア野菜のプンタレッラ三昧」 Posted on 2024/12/17 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、なかなかフランスでは見当たらない、この時期に、イタリア系の食材店に出回る、プンタレッラ、という野菜を手に入れることが出来た。
最近は日本にも生産者さんが出現したらしいので、12月頃になると、本格的なイタリアレストランでありつける可能性がある。
とにかく、苦くて、歯ごたえがよく、美味いのだ。
見た目は、青菜、チンゲンサイのようだが、根本に、タラの芽のような膨らんだ部位があり、これはてんぷらにして食べるとなお美味い。
で、チンゲンサイの白い茎のようなところはしゃりしゃりした触感、んで、不思議な苦みがある。
イタリア人のエンリコはここをサラダにして食べている。
アンチョビとの相性が抜群で、エンリコは千切りにした白い部分にアンチョビをあえ、オリーブオイルを回し掛けして、最後に、カラスミのスライスをふんだんにふりかけて、食べている。
これが、病みつきになる旨さなのだ。
で、ぼくはいうと、ひと房のプンタレッラを買ったら、必ず、それらを、サラダ、天ぷら、パスタにして食べるのであーる。
プンタレッラ三昧、この季節だけの、ご馳走だ。
※ これが、プンタレッラ本体。白い根本に、タラの芽のようなものが隠れている。不思議な野菜だ。
※ これが、タラの芽風の不思議な部位だ。これを天ぷら、フリットにするのである。
言葉でうまく説明できないので、写真を参考にしていただきたいが、根本の方に、タラの芽のような山菜系の部位があり、これをもぎって、切り離し、フリットの衣を潜らせ、180度の油でいい具合にあげて、フラー・ド・セルをふりかけてから、がぶっとやる。
苦みが口腔に広がって、文句なしに、美味い。
白い茎の部分はスライスして、先ほどの要領でサラダにし、カラスミをふりかけて、つまむ。これがいい前菜となる。美味いのだ。
で、最後は、残った青菜のような部位をニンニク、アンチョビ、鷹の爪で炒める。これは、ペペロンチーノの方法と一緒で、オイルに香りが移ったら、適当にざくざくと刻んだプンタレッラを放り込んで、チンゲンサイ炒めみたいにしたところに、できれば先に一度、パスタのゆで汁などを回し掛けし、アルデンテに茹で上がったパスタを投入し、白ワイン、塩胡椒、ぼくはここでちょこっと醤油をさして、パスタを絡めて、頬張る。
もう、最高に美味しいプンタレッラのパスタの完成となる。
※ ソースは、オリーブオイルとレモンとアンチョビで作るのだ。
※ ちなみに、こちらはエンリコが作ったサラダ・プンタレッラ。
※ そして、天ぷらにしたら、こうなる。これが美味しいのであーる。
※ 葉っぱや茎の部分をガーリックなどで炒める。そこに、茹で上がったパスタを!!!
肉など必要ないほどに、食べ応えのある美味しいこの野菜。
日本でも生産者さんがいるようだから、もっと、広まるといいね。
逆に、12月にイタリア旅行を計画しているみなさんは、とくに、これはローマ周辺の野菜らしいので、ローマあたりで、チェックしてもらいたい。
うまく、出くわしたら、もうけものなので、ぜひ、注文を。
ということで、今日も、ノルマンディのアトリエのペンキ塗りをやった父ちゃんなのであった。
無心になって、ブラックグリーンのペンキを壁に塗っている。
完成まで、もうちょっと!
作業着がペンキだらけになるのだけれど、完成が楽しみである。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
来年の日本での個展のために描いている作品ですが、かなり、筆が進んでいます。今回は、ちょっと小ぶりの作品が多くなるかな。今は全体のタイトルが「時の記憶」に決まりそうなので、そこに、イメージを落とし込んでいるところです。全体に「青」が主役になる、心のひだを描くような作品がたくさん並ぶ、予定・・・。早く見せたいけれど、時間がかかりますね。油絵具が乾いてから、さらに、じっくりと筆を入れていくので。小説も、だいたい、構想が出来てきました。この二つの創作、ベクトルは全然異なりますが、引き寄せ合うものがあるんです。創作に没頭していると、落ち着きますよ。
次のツジビル・ラジオは、25日を予定しています。
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