某月某日、チャールズから呼び出しの電話があった。
「閉じこもってないで、ご飯食べにおいで」
レストランが休みだから、家でディナーにしよう、というのである。
願ってもない、お誘いであった。
徒歩で、１５分くらいのところに住んでいるチャールズの幸せ四人家族。お父さんシェフ、奥さん、１４歳の長女さん、１２歳の次男くん。
ぼくはここでも、変なおじさん（ムッシュ・ドロール）、というニックネームで愛されている、あはは。
日本だと、人を招く時、がんばってあれやこれのフルコース料理を作ったりするが、フランスは、ちゃちゃっとで、終わる。かなり気張らない。
ソファで、ワインでも飲んでくつろぎながら、小一時間、生ハムとか、ナッツとか、パテとか、もちろん、スーパーで買ってきたものなんかを並べて、つまんで、だべる。
ほぼ、それがメインみたいな感じ。
で、その後、ま、チキングリルとか、なんか出るのだけれど、今夜は、スープだけだった。笑。

※　これは、グージェールというアミューズ。要は、しょっぱいシュークリーム生地の、中、空洞スナック。食事会の時に、よく出てくる、フランスの定番、アミューズなのだ。決して高級なものじゃないけれど、なんだろう、香ばしくて、おいしいよ。これは、チャールズが焼いてくれた。そして、ハムとかは、スーパーで調達。忙しいシェフだから、休みの日は、スーパーで、いいね。

※　左上のパテの上にのっているのは、チャールズが作った玉ねぎのおしんこ？？？　これが、絶対においしいやつ、でした。帰りにひと瓶貰ったので、次はカレーを作って、添えてみるよ。

「ヒトは、いつも食べないから、今日のメインは、スープにした」
だって。
スープ、おおお、でもただものじゃない感じ！
ふぉ、フォアグラが入っている。
作り方を聞いた。チャールズは、ぼくのフレンチ料理の師匠だからね・・・。（ちょっと処理の仕方とか、難しいので、いつか、レシピで、ご紹介しますね）
スープは、和風だしや醤油もつかって、かなり日本風な感じに仕上がっていた。そこにフォアグラというのが、驚き。
心温まる、料理をありがと、チャールズ！！！
ふー。

※　当然、彼は身体がでかいので、スープだけじゃ足りない。で、なんか、キッチンで、焼きめしを作って食べていた。こういうのも、あり。笑。後ろにくっついて離れないのは、奥さんじゃなくて、娘さん。パパの腕を掴んで離さない。なんとなく、羨ましい、父ちゃんであった。

デザートはりんごのタルトだったが、その前に、フランスのチーズが出た。
２３年前、初めてこれを見た時は、思わず、うわ、と声が飛び出た。
こういう機械があって、回転させると、セミハードのチーズが花びらのようになる。
チャールズが、それを作って、まずは、奥さんに、ささげていた。
ふふふ。
ぼくは、二番目。レディーファーストなのであーる。
いいね。
で、娘さんが、大きなタルトを持ってきてくれた。
「うわ、美味しそ」
「そうだよ。ヒトのために、作ったんだから、たくさん食べてって」
タルト生地は薄くて、そこに、地元ノルマンディのりんごがびっしりと並んでいて、香ばしい香りがぷわ～、たまらないデザートであった。
おなかいっぱいだったけれど、家族総出で作ってくれたデザートなので、残せません。
がぶっ。
う、うまい～。
ああ、癒された。
こういう、シンプルなディナー、いいね。気楽で、楽しい。
ありがとう、チャールズ一家のみなさん。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
注文していたイタリアの新刊「ＩＬ　ＣＡＳＴＥＬＬＯ　ＤＩ　ＬＡＮＡ　ＤＩ　ＶＥＲＴＲＯ（グラスウールの城）」が届きました。Amazonで頼んだら、一日でイタリアからやって来たのでありまーす。新刊の匂い、いいね。寒くなってきたので、ベッドの中で、読書とか、いいですなァ～。風邪ひかないように、あたたまってくださいね。また、明日。