JINSEI STORIES
フランスごはん日記「息子から、鯛をどうやって料理したらいいか、と問い合わせが来る。親子の関係」 Posted on 2024/12/02 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、クリスマスが近い。
クリスマス・イブは、日本では、みんなでパーティ、恋人たちのデートの日、という印象が強いが、そもそもカトリックの国、フランスにおけるクリスマスは、ある意味、日本の正月のようなもので、それまでにみんな仕事をひと段落させ、25日は、だいたい、家族で過ごすのが一般的なのである。
なので、想像以上に、クリスマスは静かなのである。
ということで、うちにも家族がいるので、
「このクリスマスはどうするの~?」
とメールをしてみた。
すると、
「クリスマスは、彼女と過ごすことになるかな」
という返事、交際が順調に続いている、ということのようで、父ちゃん的には、嬉しい。
「そうかそうか、じゃあ、お小遣いあげるから、二人で、美味しいものを食べにいきなさい」
と伝えた。
「え、いいの。ありがとう」
同じようなことを、弟にも送った。
「クリスマスは母さんと何か美味しいものを食べてください。お金、おくります」
ま、ぼくにできること、そのくらいなので・・・。
すると、息子君から、こういうメッセージが送られてきた。
どうやら、鯛、をクリスマスに料理するような気配である。
鯛は、学生にはちょっと高価だからね・・・。
ということで、父ちゃんは、鯛のポワレのレシピを戻してやった。
これは、息子がいつも、小さな頃から食べ親しんできた辻家のポワレなのであーる。
久しぶりの息子とのやりとりが、レシピって、笑える。
彼からのメッセージはほぼ、料理に関することなのだ。
鍋をやろうと思うのだけれど、調味料を教えて、とか・・・
グーラッシュの作り方を知りたい、とか・・・
魚を自分で三枚におろしたいんだけれど、どうしたらいいの、とか・・・
でも、これは思えば、小さい頃から、パパのごはんを食べてきたから、の関係ということになる。
二人のあいだには、いつも「ごはん」があったし、これからもしばらくは「ごはん」があるのだと思う。
ま、楽しく人生を謳歌しているようなので、それは、それでよかった。
外食はめったにしない、ということだかし、ガールフレンド君も会った印象からすると、田舎の子で、物静かで、お似合いだから、そっとしておきたい。
ま、勉強も忙しそうで、うちにご飯に来ても、朝、学校が早いからと、21時半には、帰っていく。
ある意味、微笑ましい。
反抗期、思春期の頃が懐かしい。
これでも、取っ組み合いもやったことがあったっけ・・・・。
「鯛のポワレ、出来たら、写真、おくってくれよ」
とだけ、返しておいた。
さて、父ちゃん、クリスマスは何を食べるかな。
ま、美味しいものを作って、幸せを、噛みしめたろう。
えいえいおー。
※ うちのもう一人の息子君。もう、べったりで、困ります。
かわいくて、かわいくて・・・。
えへへ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
師走になったので、バタバタしておりますが、次の日本は、7月まで戻れなそうですね。これから、しばらくは、畑仕事とか、アトリエの工事とかやらないとならないので、笑。来年は、ちょっと来日が少なくなりそうです。
次のツジビル・ラジオ生放送は12月5日、パリからになります。父ちゃんが優しく楽しく寄り添うおしゃべりをおとどけいたします。人生のあいまに、頬を緩めてくださいまし。詳しくは下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてくださいねー。
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