某月某日、短い日本滞在ではあったが、フランスではなかなか食べることのできないうまいものとまたまた、たくさん出会うことができ、父ちゃんは大変満足をしておる。
日本にいる間は、自炊もできないほどに忙しく、たくさんの人に会い、画廊に顔を出したり、コンサートホールで実演したり、てんこ盛りのスケジュールをこなし、フーフー言いながら、飛行機に飛び乗り、こうやって、新しい日記を更新している次第である。
朝早い便でパリに戻るので、昨夜は、空港内のホテルに珍しく宿泊をしたら、なかなか面白い光景と出会った。
まず、羽田空港国際線ターミナルには２４時間の居酒屋とかすし屋とかラーメン店があって、かなり夜遊びが出来ることがわかった。
在仏歴２３年にもなるが、これははじめて知った快挙。とにかく、最後にラーメンが食べたい、と思い、せたが屋さんというラーメン店に並んだ。
並んだ。
深夜一時なのに、結構な人がラーメン屋に並んでいた。よし、並ぼう。普段なかなかできないことをここでやったろう。
あはは。人生は楽しんだものの勝ちやね。
るんるん、並んだった～、楽しい～。
外国の人が多いし、ぼくのことなどわかる若い人もおらず、堂々と、素顔で、列に並ぶこともできて、楽しかった。
「ええと、順番に案内しておりますので、少しお待ちください」
「はい、もちろん、大丈夫です」
こういうやりとり、嬉しい、父ちゃんなのだ。
すると、若い人が割り込んできた。おいおい、並んでんだよ、俺は君よりも前にここにきて、ずっと、並んでんだよー。
と心の中で思いながら、ぼくの前に立ちはだかる若者の前に身体を半分、押し出した、志村けんさんのような父ちゃんであった。
でも、その若者も若者で、父ちゃんが肩を出したら、その前に自分の肩を出すので、あいーん、となった。
で、おい、と睨んだのだけれど、見向きもしないのであーる。
しかし、店員さんは、ぼくのことを絶対先に案内してくれるはずだから、ま、泰然としていようよ、と自分に言い聞かせ、肩をひっこめてやった。平和主義。
どうせ、人生長くないんだし、この青年と争って世界が平和になるわけでもないから、なんなら譲ってやるよ的な余裕をぶっこいた、父ちゃんだった。
すでに、ぼくの後ろには、５人ほどが並んでいる。
すると、先ほどの店員さんが、
「はい、次のお待ちのお客様、どうぞ」
と言ったので、
「あ、俺っす。俺、だ、俺の番が来た！！！」
と周辺の人たちに聞こえるように言ってやったのだ。
しかも、店員さん、父ちゃんの顔を覚えてくれていて、こっちへお越しください、のような見事なジャスチャー。
その青年の横を通る時、優越感に浸った、在パリ２３年のおやじであった。あはは。ちっちぇー。

深夜１時に食べるラーメンがうますぎて、のけぞったら、その若者がぼくの隣に着席したのだった。あいーーーん。
父ちゃんが頼んだのは、チキン１００％の鳥塩ラーメンだった。胡椒をたくさんふりかけ、じゅるっと吸い込んだら、鳥だし風味がよく訊いており、日本の味に頬が緩んだのだった。いいね、日本！
隣の青年はネギがかかった餃子とビールを頼んでいた。
どうでもいいか。あはは。
しかし、楽しいので、深夜の羽田空港国際線ターミナルをもっと満喫したくなり、さらに奥にある、すぎのこ、という居酒屋に顔を出してみたのだった。
もう、お腹がいっぱいだったから、食べられないのだけれど、ちょっと飲みたくて、と言ったら、いいですよー、と従業員さん、元気に対応してくれた。
いい青年だ、と思った。
メニューはiPadから選ぶスタイルで、なかなかスタイリッシュなのであった。父ちゃんは、黒霧島のロックと、タコ焼きを頼んだ。
ところがこの辺境の居酒屋、たぶん、羽田周辺で最南端の居酒屋じゃないか、と思うが、ここのタコ焼きが、意外にも外がカリっとしていて、中がジューシーで、大正解なのだった。
「うまい！」
深夜２時過ぎに、大騒ぎする、パリジャン！
あはは。
人生、大満喫じゃないのー、いいねー！！！

羽田空港国際線ターミナルは、この時間になると、明け方の便を待つ旅行者の人たちが、食堂街のベンチで寝ていた。
さすがに、写真を撮ったらいけないと思って撮らなかったが、かなりの人が、一人一つのベンチを確保して寝ていた。
明け方に飛ぶ便もあれば、夜中に到着する便もあるんだねー。
父ちゃん、眠くないので、空いているベンチに座り、空港の天井を眺めて、この短い滞在のうまいものたちを思い返していた。
いろいろなうまいものを食べた「食いしん坊ツアー」であった。
父ちゃんの携帯に保存されている、そのうまいものたちをご覧頂きたい！！！！

※　この子が、父ちゃん付き書生のユゴー君であーる。ギャラリーTのディレクターに就任したので、よろしくお願いいたします！！！！　ユゴー君セレクトのワインコースなどもできるようだから、彼の素晴らしいホストぶり、ご堪能ください。元アイドル志望だった、３０歳、いい男だねー、うふふ。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
最終日、ギャラリーTに顔を出すと、父ちゃんの懐かしい絵たちが出迎えてくれました。自分の子供と再会したような感動が込み上げてきたので、ご報告です。才能ほとばしる、父ちゃん。でも、ラーメン屋に並ぶのもいとわない、父ちゃんでもあります！！！
日本＼(^o^)／！！！！