JINSEI STORIES

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」 Posted on 2024/11/11 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、明日、息子のガールフレンド君が夕食を食べに(ご挨拶に)やって来ることになったので、
「お父さん、料理、美味しいです」
と言われたいので、一日、献立を考え、買い物にスーパーへと、出かけた。
家で悩んでも、これが、何を作ればいいか、まったく、思い浮かばないのである。
日々の献立だと、自分の胃袋と相談をすればいいのだけれど、そうもいかない。
とりあえず、スーパーに行き、そこで悩めばいいじゃないか、という結論に至った。
しかし、こうやって、スーパーに立つと、実に様々な食材があり、今時の、20歳の女の子が食べたいものが思い浮かばないのであーる・ぱちーの。
1人で悩んでもしょうがないので、息子に、
「なんでもいいのか? 明日のごはん」
と送ってみた。
「なんでもいいよ。なんでも食べられる」
と戻って来た。
この、なんでもいい、というのは、主夫泣かせなのだ。
なんでもいいだと? この広いスーパーを眺めてみろ、こんなに食材が積んであるのに、なんでもいいっていうのが、一番、困るんだよ。
ねー、奥さん。違います?
ご主人に、「なんでもいいよ」と言われると、腹立ちませんか?
「なんでもいい」と言ったくせに、なんでもいいのか、というと、なんでもよくないんだよなー、だいたい。
「あ、魚かァ、正直言うと、肉が喰いたかったなー」
とか、言う人、いません?
なので、頭を抱えてしまった、父ちゃんなのであった。

一応、フルコースを出さないとならないだろうから、前菜、メイン、デザート、という感じを計画してみた。
デザートは生ものなので、明日、買いに行くことにして、仕込みを含め、今日、買えるものは買っておきたかった。
というのも、明日の月曜日、フランスは祭日なのだ。
やっぱり、今日、買わないと。
魚屋の前で、珍しいことに、養殖ものではない野性の鯛が売っていたので、ああ、これでいこう、と思った。
「魚でもいいか?」
一応、確認をした!!!! すると、
「うん、いいよ」
と戻って来た。
おおお、ということで、魚屋のお兄さんに、鯛を2尾貰い、フィレにしてもらった。
最近は、どこもかしこも、養殖ものばかりだから、これは珍しい。これが最高!
よし、鯛のポワレとジロール茸のリゾット添え、にしよう。
先月も作ったばかりだから、うまくいくはず、と思って、口角が上がった。
ちなみに、前回の鯛のポワレ&ジロール茸のリゾットの写真はこちら。へへへ。
どうじゃ。こりゃあ、勝ったも同然じゃな。笑。

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」

※ 前回、9月の末に息子がうちに来た時に作って、絶賛、された、あの伝説の「鯛のポワレ」! こちらに、レシピがありますので、要チェックSVP!
☟☟☟
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-5438/

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」



さっそく、るんるん、な気分でメッセージ送り付けてやったのだった。
目の前で、魚屋のおにいさんが、鯛を三枚におろしていた。
自分でもできるんだけれど、うろことかね、とるのが面倒だから、頼んだ。
じゃりじゃり、と処理がはじまっていた。
そこに、息子くんから、
ところが、さりげなく、下記のような返事が、
ええええええ、今か、ストップできない!!!!!
しかも、お兄さん、ちょっと不機嫌で、ここで、いらない、とは言えない。
主婦の皆さん、わかります?
なんでもいいって、言ったやんか!
なんでもいいって、なんでも含んでこその、なんでもいいんじゃないのか!
じゃあ、なんでもよくないやんか。
日本語、まちがえとるわ。
ボケが、なめとんのんか、親を、馬鹿たれが、と心では思ったのだけれど、そんなこと、言えず、途方に暮れた、父ちゃんなのであった。
生きるのは、試練の連続であーる・はんぶら宮殿。

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」

※ ちょっと日本語、おかしい、のは、ま、フランス生まれなので、ごめんなさい。あとで、教えておきます。笑。

ということで、気分を入れ替え、そもそも、息子もガールフレンド君も、パパに会いたい、というのがファースト、ガールフレンド君と会うのが目標なので、すごいシェフみたい、とか言われることを目指すより、確かに、最初は、いつも通り、和食、・・・息子を育てていた頃に、作っていた、和食を、さりげなく出す方がいいいかもしれない。
「ごはんができたよー」
というと、子供部屋から、
「はーい」
といつも返事が戻って来た、あの時代がなつかしい~。
あの時代の味を、もう一度、作ってやるかな。。。。

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」



「すいません。このマグロもちょっとください。刺身にします」
「はい、メルシー」
ということで、魚屋さんで、新鮮なマグロも、買った。
これを漬けにして、ちょっとカルパッチョ風にしたら、きっと、ガールフレンド君、喜んでくれるのじゃないか。
マグロの漬けのカルパッチョなど、食べたこともないだろうから、驚くでしょうな。ふふふ・・・。
ということで、家路についた。
結局、日本っぽいものといえば、なんだろう、ポテサラ?
そういうカジュアルなものも作って、さらに、マグロのカルパッチョ漬け、鯛焼き、あと、白ごはんかな。あ、梅ごはん、とかにしようかな?
で、豚汁!!!!
父ちゃんの名作、欧風トンジールにしたらどうじゃろ。
いいね。
それは勝てる。
何に???
ふふふ、
「素敵なお父さんね。君が、あの人に育てられたのがよくわかる。だから、料理が上手なのね、すごく幸せ」
って、帰り道、二人はそういう会話をしながら、並んで歩くの、だろうか?
で、ぼくは後片付けをしながら、くしゃみとか、するんかな?
はーくしょん。
ああ、すでに、噂さてる~。
読者のみなさーん、明日、がんばるよー。応援してねーーーー。

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
とりあえず、明日なんです。日本の今日ですね。ぼくはダイエット中ですが、一緒に食べないのは失礼なので、明日は、ランチを抜きます。体重は順調に下がっていて、リバウンドもしておりません。頑張っています。三四郎と、一緒に!!!

はい、ということで、そんなおかしな父ちゃんのラジオは11月15日、日本時間22時からになりますよー。ご視聴ご希望の皆さま、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてくださいねー。

フランスごはん日記「息子のガールフレンド君に何を作るか、スーパーで悩みに悩んだ父ちゃん!」

TSUJI VILLE
自分流×帝京大学

辻仁成 展
-Les Invisibles NEHAN-

主催 帝京大学総合博物館
対象者 どなたでもご覧いただけます。(事前のお申込は必要ありません)
入場無料です。
会場 帝京大学総合博物館ミュージアムプラザ(帝京大学八王子キャンパス ソラティオスクエア地下1階)
会期 2024年10月18日(金)~12月23日(月)

開館時間 9:00~17:00(最終入館は16:30)

閉館日 日曜日・祝日

臨時開館日 10月27日(日):青舎祭(大学祭)実施日(一般来館可)

臨時休館日 12月14日(土)
備考
・大学構内には駐車場がございません。公共交通機関をご利用ください。
・高幡不動駅・聖蹟桜ヶ丘駅・多摩センター駅から「帝京大学構内」行きのバスが便利です。(所要時間15~20分)
・車いすでご来館予定の方は事前にご連絡ください