JINSEI STORIES
フランスごはん日記「食べるスープで、毎日が健康になり、しかも痩せるのよ、最高だね」 Posted on 2024/11/09 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、痩せないとならないので、「毎日スープ」習慣を思い出した、父ちゃん。
寒くなってきたし、身体も温まるし、食べるスープがあれば、空腹感に悩まされず、痩せることもできる、はず。
身体を整えるのに、スープはとってもいい。
まずは、レシピから!
冷蔵庫にある野菜を全部使う。
根菜は各、5mm四方にカット。あとはお好きにカット。
鍋に潰したニンニク、オリーブオイルを回し掛けし、香りが移ったら、香味野菜を中心に炒め、ある程度火が回ったら、人参とかズッキーニなどをいれる。カレーを作る感じだ。
順番は火の通りにくいものから入れてね。
水をひたひたになるまで入れ、そこに、チキンブイヨン(ビーフブイヨンでもいいですよ。なんでもいいです)を一つ放り込むのだ!
軽く塩胡椒をして、45分から一時間、弱火でコトコトで、完成となる。肉とか、なし。笑。
ほら、もうできた!!!
疲れた時はこれで十分なのだ。
ようはミネストローネスープのようなもの、なのであーる。
野菜を、煮込めば、出来る。野菜ダシ、ブイヨン、なんでもいいから、一つ放り込めば、あとは何もいらないのだ。
お好みでパルメザンチーズとか、いいねー。
興味深いことに、フランス人は「スープを飲む」とは言わない。
彼らは「スープを食べる(manger de la soupe)」と表現するのだ。
言われてみれば、スープ・ド・ポワソンや、オニオングラタンスープなど、フランスのスープは結構食べ応えるのあるものばかりである。
ぼくは、栄養素も高く、食材のエキスを濃縮した、このパリ・スープをランチの中心に据えている。
そこである頃から、食べるスープを研究するようになった。
他のものを食べないでもバランスよく栄養素が取れるし、しかも食べ応えがあり、一食として満足できるようなものを考えている。
今や大昔、息子が炭水化物抜きダイエットを始めた頃から、この「食べるスープ」が辻家のメインディッシュの一つになった。
昼はスープと生野菜、夜はスープとチーズ、といった食生活が続いているが、空腹感を覚えたことはない。
大昔から、欧州文化の中心地であり、食の都でもあるパリ。
当然、世界中から美味しいものが集まり、人々の交流と共に食文化も混ざり合って、他国では決して味わうことのできないパリならではの凝縮された味が育ってきた。
パリで味わうスープのバリエーションといったら驚くほどに多種多様で、それらがフランス人によって実に国際的にアレンジされ、もはやスープと呼ばれるカテゴリーを超越しているものさえ存在する。
フランス料理だけではなく、アジア料理、アフリカ料理、南米料理、中華料理、北欧料理、東欧料理、アラブ料理、どの国の料理にも美味しいスープがあり、結構どれも食べ応えがある。
これは厭きることもない。
※ こちらは「ポタージュ・ぺキノワ」
しかし、食べるスープという発想は、とってもフランス的でありながら、実はこれからのぼくらの食生活を考えると、健康志向にもマッチするし、ダイエットにも都合がいいし、何よりも美味しいし、食べ応えがあるので、おススメである。
ぼくのお気に入り「ポタージュ・ペキノワ」をご紹介してみたい。
フランスで暮らすようになったおよそ20年前、アジア飯を無性に食べたくなり飛び込んだ中華レストランのメニューにPotage pekinois(ポタージュ・ペキノワ)とあり、北京風のポタージュとは何だろうと思って試したのが、このスープとの出会いであった。
(実はポタージュ・ペキノワは四川料理なのだけど、1960年代のフランス人が一番知っていた都市が北京だったところからこういうネーミングになった)ようは、日本でも馴染みの「酸辣湯(サンラータン)」のことである。
ピリ辛酸っぱいポタージュ・ペキノワの特徴は、白胡椒の辛さとお酢の酸っぱさにある。
トロッとしていて、かなり具沢山、卵でとじてあることなどがポイントなのだが、まさに「食べるスープ」を地で行くのがこのスープだ。
酸辣湯がフランスに定着する中で、食べるスープを好むフランス人好みにアレンジされていったのであろう。
肉も野菜もしっかりと入って、これだけで十分な栄養をもったスープ・ペキノワ、夏の暑い日に、ふうふう言いながら食べるのがいいだろう。
ごちそうというのはそういうものだと思う。ぼくはこれに添えて、昨日の残りの冷たいご飯と一緒に食べるのが好きだ。「食べるスープ」習慣、ぜひ、試してもらいたい。
ボナペティ!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
というのも、ジャスト2週間後にプライベートのイベントがあって、ちょっと人前に立たないとならないのです。引退後、デブって、かっこ悪い父ちゃんになった、と噂されるのが嫌なので、がんばりますね。期待しないで、応援ください。にゃはは。
はい、次のラジオは、15日、日本時間、22時から、です。ご視聴ご希望のみなさん、詳しくは、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてください。メルシー。