JINSEI STORIES
フランスごはん日記「新アトリエの横が牛牧場。自分で壁とか塗ることになった。日曜大工父ちゃん!」 Posted on 2024/11/01 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、やっと見つけた田舎のアトリエなんだけれど、周囲が草原で、しかも、どうやら、牧場らしく、牛さんがいっぱい。
三四郎が、びびって、後ろに逃げ込んで来る、始末。あれは、牛さんだよ、も~。あはは。
長閑だ。
そして、大きな絵が描けるくらい大きなスペースで、車なら、4,5台入る、らしい。
一つ、キッチン付きの部屋(ここは狭い)もあって、そこも使っていいんだって。
しかも、好きにしていい、とのこと・・・。やった!
なんなら、壁に絵を描いてほしい、とチャールズに言われた。
よく聞くと、チャールズのお父さんの持ち物で、上はゲストハウスだそうで、古い家だけれど、雰囲気がある。
でも、そこも、特別な人(親族とか)が来た時にしか、使わない物件らしく、管理はチャールズがやっているというので、ほぼ、空き家状態・・・。
まったく、人の出入りがないと建物が劣化するから、ぼくが使うかわりに、傷んでいる箇所とか、直す、役目・・・。
ぼくのアパルトマンから車で20分くらい山の中に入った場所だから、行き来はちょっと面倒くさいけれど、でも、ソファ椅子を持ち込んだら、たぶん、泊まれるかも。
ただ、風呂とかシャワーはない。かろうじて、トイレは、階段を上がった場所に、へんてこなのが、あった。あはは。
で、友人のジェロジェロを呼びつけ、ペンキを塗りたいんだけれど、やり方を教えてもらえないか、と相談をした。(彼を雇うお金はない! 自分でやればペンキ代だけですむからね。画家だから、ペンキとか、得意なの)
※ こんなにかっこいいのに、しゃべり方がめっちゃ、変なんだ。呑もちゃんに負けないくらい、かなりのだみ声で、強弱の付け方が異常にダイナミックで、とてもフランス人とは思えない。いちいち、話す時に、ジェスチャーが凄い。両手ぶんまわしながら、語るのだけれど、牛乳がおいしい、という話しなのに、こんなに手を広げて、あろーあろーあろー(ええとええとええと)と叫んでいる。まるで、野本。ノルマンディの野本さん。あはは。
※ 建物はこんな感じ、ノルマンディの家だね。かなり、古いと思う。5,60年前の建築物だって。横にひび割れが走っていた。
ガレージは絵を描くのに、最高な感じだし、歌も歌えそうだ。
周りが牧場で、あまり、人は、見かけないのだ。
壁の色も、床の色も、好きに塗り替えていいというので、ジェロジェロに頼んで、安いペンキを分けて貰うことにした。
今、ちょうど、田舎のアパルトマンのキッチン、大改造しているので、そこで残ったペンキとか、もらえそうだって。
緑色の壁にしたいんだ。
ぼくの絵でよく使う、カルダモンという色があって、それ、最高。
実は、インテリアも自分でやれるようになりたいな、と思っている。
絵の額も、キャンバスも、ここで、自分で制作しようと思っている。
だから、ドリルとか、電動のこぎりとか、いろいろと揃えるつもりなんだ。
木材も自分で切って、いつか、日本の個展で、ぼくが作った木工品とか、展示したいよね。自分が作った額に入った絵とか、素晴らしいよね???
生活空間全体を、アートにできる人、になりたい。
いよいよ、仙人生活が始まる。
森の人、憧れていたんだ。
海と、森の行き来、来年はそういう時代に突入しそうだね。
ということで、ランチはジェロジェロおすすめのカフェに行き、ポークロティを食べたのだけれど、いや、マジで、田舎飯って、パリ飯より、うまい。
なんでか、というと、産地直送だからかもしれない。
毎回、どこに行っても、うまいものだらけだから、「フランスごはん日記」ますます、楽しみなのであーる・はんぶら宮殿。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
というアトリエをこれから手入れしていくことになるのだけれど、イイ感じになるまでには、1年くらいかかるかもね。小さな裏庭があてって、そこに使われていない「ポタジェ」家庭菜園の畑があって、そこも使っていいというので、ハーブとか、育てようかな、と思っているのである。ふと、顔をあげたら、牧場におばあちゃんがいて、こちらを振り返り、笑顔を向けてくれたので、ぼく、手をふっておきました。森と浜辺を行き来する田舎の二拠点生活がスタートか。
しあわせだ。三四郎も元気だし。
さて、次回のラジオ・ツジビルは、11月5日です。気になる方は、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてください。
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