JINSEI STORIES
フランスごはん日記「父ちゃんの、得意中の得意、グーラッシュ、牛肉のパプリカ煮込み」 Posted on 2024/10/31 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、辻家で牛肉煮込み料理と言えば、フレンチのブフ・ブルギニヨンじゃなくて、このグーラッシュということになる。
まぁ、同じような肉を使うし、だいたい同じ部類の料理ということになるんだろうけど、ブルギニヨンを作るより前から、辻家ではグーラッシュが牛煮込みの定番だった。
そのレシピを教えてくれたのが、オーストリア在住、いとこの「めぐり」だ。
「ひとちゃんは、まるで自分が考案したレシピみたいに、グーラッシュをひろめたけれど、あれ、わたしが教えたレシピでしょ?」
オーストリアで料理の先生をしている、めぐり、にこんなふうに叱られたことがある。
ま、その通りだ。
でも、そこまで硬いこと言わないでも・・・。笑。
料理は、その土地土地で、先祖代々、受け継がれ、こうやって、今はフランス在住の辻家の定番となったわけだし、ね、めぐり殿・・・。
とはいえ、ウイーン在住の皆さん、めぐりの料理教室も、ぜひ、よろしくお願いいたします。えへへ。
まずは、材料から。
煮込み用牛肩肉 1kg(シチュー用でも可/5cm角くらいに大きめに切り分けておく)
玉ねぎ 1kg(スライスしておく)
サラダ油 大さじ6
パプリカパウダー 50g
酢 大さじ2
水 大さじ6
塩
にんにく 2片(つぶしておく)
クミンパウダー 小さじ1
マジョラム 小さじ1(なくてもよい)
レモンの皮 ピーラーでひとむき程度(有機栽培のもので皮を薄く剥いてみじん切りにしたもの)
トマトピューレ 大さじ1
ビーフブイヨン 500cc~
※ めぐりのご主人のゲラルドさん、セキュリティ会社をやっている。要人の警護とかもするので、つねにジャケットの内側には、小型拳銃をしのばせてある、・・・。
さて、諸説あるが、実は、このグーラッシュ、発祥の地はオーストリーの横の国、ハンガリーなのだ。
ハンガリーではグーヤッシュと呼ばれている。日本にも渡って明治時代にハヤシライスになった、という説もある。
とまれ、寒い日に食べるグーラッシュは本当に温まる。心から温まる。
では、みなさん、さっそく、作ってみましょう。
ということで、今日も一言、合言葉から!
「俺と一緒に作らないか?」 ☜あはは。俺と一緒に!!!
はい、まずは、厚手の大きな鍋(ル・クルーゼとか)に、サラダ油を熱し、みじん切りにした玉ねぎをきつね色になるまで炒める。
ハンバーグなんかと一緒で、ここはちょっと時間がかかるけれど、根気よく炒めておくと仕上がりがぐっと美味しくなるからね。
丁寧に、丁寧に。本当に美味しいものには時間がかかるんだよ。
ここにパプリカパウダーを入れ、手早く全体に絡める。
そこに水で薄めた酢を入れ少し(まじで、ちょっと小さじ1程度)加えて、蒸す。5分程置したらそこに、牛肉、塩、にんにく、マジョラム、クミンパウダー、レモンの皮、トマトピューレ(トマトペースト)、ビーフブイヨンスープを500cc程度入れて、そうだな、ヒタヒタになればオッケー。
煮込みの基本、ヒタヒタ!
よく混ぜ、それから、重たい蓋をちょっとずらして煮込むといい。
肉が柔らかくなって、表面全体に赤茶色い脂が浮いてきたら、ほぼ完成だ。肉の柔らかさにもよるのだけど、すじ肉などならば最低、3時間くらい煮込むと美味しくなるよ。
とろみがもっとほしい場合は、水溶きの小麦粉を適量入れると、さらにいい感じになるぞ。さぁ、出来た。喰うか!
俺と一緒に!!!!!
ボナペティ!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
今年の事務所の忘年会には、これを作ろうと思っています。大きな鍋で一気に作ることが出来るから、便利だし、残ったら、翌日の方がもっとおいしくなるし。柚子胡椒とかでやると、味変がこれまたすごいし、とにかく、秋冬にはこれ以上ない最高な料理なのであります。ぜひ、お試しくださいませ。
さて、次のラジオは、11月5日になりますです。ご視聴ご希望の皆さんは下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてください。めるしー。