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フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」 Posted on 2024/10/08 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、サッカーの日本代表だった岡崎慎司さんが、友人の小栗さん(サッカーのパリ・サンジェルマンとかで指導などをやっている)と会いにやってきた。
画廊、閉館の時間にやってきて、絵も見ず、笑、ぼくらは語り合った。
彼はやはり今年、サッカーから引退をし、現在は、ドイツは、マインツにある6部のサッカーチーム「FC Basara Mainz 」の監督兼オーナーをやっている。
これを5部、4部、3部、2部、1部へとあげていくのが目下の夢だというのだ。
途方もない長い道のりである。
そこで、その報告とこれからのことをぼくに伝えたいとわざわざ、飛行機にのって、やってきてくれたのだ。
食事をしたら、翌朝には戻らないとならない。
岡ちゃんこと、岡崎慎司は、並々ならぬパッションで語った。
なので、絵は、見てない。
「見ないの?」
「絵を見に来たんです」
というのだけれど、ぼくに伝えたいパッションが強すぎて、絵どころではなかったので、スタッフに近くのレストランの席を用意してもらい、画廊をしめた後、そちらに、うつって、語り合うことになった。
実に、引退をした38歳のこの男は、ここから第二の人生を大きく描いているのだ。
その未来像をぼくはしっかりと訊くことになった。

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

※ チーズのコロッケみたいな、美味かった!!!

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

※ サラダっぽいのが多い。ファラフェルのサラダ!

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」



彼は人徳があって、応援をしたいと申し出てくれている企業があるのだ、という。
どくにやはりドイツが基盤なので、ドイツの企業と交渉をしたら、そのガッツを認めてくれて、スポンサーになってくれたのだ、という。
何か、この人は、人をひきつける魅力がある。
監督業というのは、会社経営とも通じるものがあるので、そのせいか選手時代とは顔付きが変化していた。
「いや、引退して、国にかえって、安穏と生きていくこともできたんですが、長年、欧州で頑張って来たので、ここで、やはり、サッカーを通して、自分のクラブを大きくさせたいと思ったんです」
というのだ。
10年ほど前に、マインツという街に仲間の山下さんとサッカークラブを作った。
現在6部で活躍をしているが、なんとか、上にあげていきたい。
そのためには、いい選手を獲得していかないと勝てない。
そのためには、スポンサーがいる。
「そこで、この数か月、必死で探したんです。そしたら、ぼくの活動に興味を持ってくれるドイツの企業と出会いました」
「ほー」
ドイツで、1500店舗を展開する寿司のお店「EAT HAPPY」だ。
大手スーパーの一角に、小僧寿しさんのような感じで、小さな店舗を運営している。でも、ドイツ全土で、1500店舗だそうだ。
そこが、メインのスポンサーになってくれた、という報告であった。
で、選手たちは、午前中、イート・ハッピーで働き、お金を稼ぎながら、午後はサッカーの練習をする。社会人サッカーのような感じ。であろう。
で、すごいのは、岡ちゃんも、巻き寿司の握り方を学んでいる、というのだ。
なかなか出来ることではないが、選手たちの監督をする以上、同じ気持ちを共有したい、という、そこが岡ちゃんのいいところ、真剣なところ、なのである。
奥さんと子供たちをドイツに招いて、家族との絆を深めながら、もう10年は、ここで一生懸命、育成とクラブの成長とイート・ハッピーとのコラボをやり遂げたい、というのだ。
第二の人生って、簡単じゃない。
この男は、欧州に家族とともに残り、次の10年をまずはここで精一杯頑張りたい、とぼくに誓ったのである。
絵は、とくに、見ないで、帰っていった。あはは。
「このために、来たの?」
「辻さんの絵を見に来たんですよ!」
横にいた小栗さんが笑った。彼はフランスで岡崎慎司を支える仲間の一人なのである。
こういう人たちに囲まれ、岡ちゃんは、欧州に根付こうとしている。
よっしゃー、岡ちゃん、楽しみにしているぞ~!!!
熱血~。

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ドイツから飛行機にのってひとっとびでやって来て、ぼくに言いたいことをぶつけ、ぼくはいつもの感じで、熱血を伝え、岡崎慎司は、サムライの顔をさらに引き締めて、とんぼ返りで、帰っていきました。40代からの彼の人生、間違いなく、豊かなものになりますね。皆さん、応援しましょう!!!! えいえいおー。

フランスごはん料理「人には必ず第二の人生がある。ぼくらは地中海料理を食べながら、未来を語り合った」

自分流×帝京大学

※ 次の熱血ラジオは、10月15日を予定しています。熱く語りますよー。ご視聴ご希望の皆さん、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてね。めるしー。

TSUJI VILLE