JINSEI STORIES
フランスごはん日記「三四郎が我が家にやって来たばかりのころの写真を携帯の中に見つけ、微笑む」 Posted on 2024/10/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、朝と夜、目にポマードを塗るのが最近の日課、かゆいー、笑。
眼医者さんに処方してもらった、薬だが、「ポマード」と訊いて、髪の毛に塗るあの「ポマード」を連想したら、仏語で、「ねっとりとした液体」のことをポマードというらしい。
目薬をさして、目をあたため、マッサージしてから、この赤い容器の先から出たポマードを自分の目に自分の指で塗るという、すごいことを朝と晩やっている。
おかげで、充血はなくなり、やや視界がよくなった。あはは。
それで、携帯の写真フォルダをさかのぼっていたら、三四郎だらけなので、驚き、同時に、懐かしく、思えば、この3年、さんちゃんが横にいてくれるおかげで、生き抜くことが出来たんだよなー、と思った次第であった。
最近は、父ちゃんがギターを弾いて、歌いだすと、尻尾を振りながら、近づいてきて、歌い終わるまでじっと見ている。
歌い終わると、ぼくの顔に自分の顔をくっつけてくる。尻尾で、拍手、してくれるから、嬉しい。かなりの拍尻尾!
「そうか、さんちゃん、この歌好きなのか?」
新曲の「イタリアン・カルボナーラ」という曲なのだ。イタリアン・カルボナーラが食べたいと思っている、おやじの哀愁漂う歌で、ここ最近の心境を歌にした。えへへ。
「イタリアーの・カルボナーラ~♪ 食べたーい♪」
とサビで歌うんだが、そこが気に入っているみたいで、尻尾が激しく揺れる。ペンライトみたいなものかなァ。
さて、せっかくだから、父ちゃんの携帯から出土した、三四郎の幼き頃の写真をご覧頂きたい。
田舎の犬屋敷で生まれた三四郎をひきとって、パリに連れ帰った頃の写真である。
中には、ノルマンディの家での写真もある。
3年も一緒に過ごしていると、マジで、自分の子供としか思えない。
この子は、学校に行くこともないし、毎日、散歩に連れ出さないとならないし、多少、手がかかるのだけれど、いつも忙しいふりをしている父ちゃんにとって、三四郎のお世話は、心が休まる、ひととき。
息子を育てていた頃のことを思い出す。
ちいちゃかった頃の三四郎、思えば、大きくなったものだよな~。
ということで、これから、三四郎を連れて、海に行き、思いっきり走らせてきますね。
もう、大きくなったので、手がかからなくなってきましたよ。
噛み癖もなくなり、破壊魔ではなくなり、ほんと、イイの子になった。
「ダメでしょ」というと、やめるし、「こっちにおいで」というと走って来るし、リードを外しても、傍からあまり遠くにはいかないし、番犬もしてくれるし、落ち込んでいると、寄り添ってお尻をぼくにくっつけて、すりすりしてくれるし、癒される~。
ありがと、三四郎。
純粋さのかたまり、君が好き。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
なんか、友だちが、使ってないガレージがあるから、見に来いよ、そこなら、好きなだけ使ってくれてかまわないよ、と言ってくれたので、あとで、ちょっと見に行ってきます。タダって、すごくないですか? さらに田舎ではありますが、海からも離れる。だけれど、三四郎と一緒なら、どこでもいいね。大きな絵が描けるし、よいよい。
そうだ、明後日、25日、ラジオ生放送、サブスク、ツジビルやります。ご視聴ご希望の皆さん、お聞きください。それまでには、パリに戻ります。☟