JINSEI STORIES

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」 Posted on 2024/10/05 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、個展が今日からスタートしたが、どうしてもやらないとならない仕事があり、今日は画廊に顔を出せそうもない。
でも、画廊から連絡があり、初日、7枚もの作品が大切にしたいという人たちに引き取られることになった、という嬉しい知らせが舞い込んだ。
さらに、4枚ほどの作品について、考えたいとの申し出があり、現在検討に入っている。
無名な父ちゃんだが、昨日のベルニサージュの反響がじわっと出ているのがわかって、ほっとしている。
でも、まだ、浮かれてはいない。
個展は、まだ、始まったばかりなのだから、・・・おっと、今、携帯紛失マネージャーもMMから、2枚の写真が送られてきた。
「先生、何か、知りませんが、美大生が、大挙押しかけています」
とラインメッセージが入った。
「美大生? 芸術大学の???」
しかし、返事が戻ってこない。
何が画廊で起きているのか、わからない。
でも、今、手が離せない。
とにかく、誕生日だから、何か食べることにしよう。
あはは。

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

ぞろぞろと入って来る美大生、何事が起きたのやら!!!!

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

フランスの芸大生にも、影響を与えている、日本の父ちゃんの画風、どうじゃ~!!! あはは。



ということで、仕事の合間、誕生日の自分のために、ごはんを作っている、孤独な男・・・。それが実際の父ちゃんの姿なのである。
実はこの日のために、マダカスカル産のキャビアを10g買っておいた。えへへ。
別にキャビアなんか好きじゃないが、すげーだろー、というのを日記の読者の皆さんに、見せつけたいのだ。
見せつけるというか、幸せって、まずは、ふりから、はじめるのを、父ちゃんはおすすめしたい。
幸福って演出が大事なのだ。じっとしていて幸福になる人もいるけれど、ちょっと、それなりの雰囲気を作ると、孤独も癒されるというもの。えへへ。
事務所スタッフさんから、昨夜、事務所に戻ると仕事場の入り口に、「おめでとう、熱血先生」と書かれた箱が、あけると、シャンパーニュであった。
う、見抜かれている。
ということで、今日はたらこの燻製を利用して、パスタを作り、半熟の卵の上に、キャビアを載せて、原稿に向かう前に、誕生日ごはんを作って、盛り上がった、父ちゃんであった。
一人で、何をやっているのかって???
ええじゃないの~。
これで、幸せごっこが出来るんだもの。
しかも、食べたら、んンま~。やばいやつであった。



フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

※ 辻オフィスの皆さん、マジで、ありがとね。ボーナスもないのに、すまんのー。涙。

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

※ 真上から見るとこうなる。こうなるのをお届けするために、椅子にのって、写真をとっている、ツジちゃん、かわいいねー。あはは。バースデーケーキみたいちゃう???

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

ちっとも年取って自分で祝うの嬉しくないけれど、でも、卵をケーキみたいにカットして、あふれ出る熱血卵黄に、癒された。さ、仕事に戻ろう!!!

大学生たちがどうなったかわからないが、画廊から再び連絡があり、注文したいという人が現れた、というメッセージ。
父ちゃん、怖くなって、携帯を消すことに・・・。笑。
仕事に集中できない。
ぼくは、薄暗い仕事部屋で、原稿に向かい、それが終わったら、三四郎を散歩に連れていき、それが終わったら、次の個展のために描きだしている作品に筆を落とす。
とくべつなことはしないが、毎日、やるべきことをコツコツとやり、やるべきことをやれることこそ、幸福だと思いなおしているのである。
結果というものをとくに、重要視していないからこそ、この過程こそが、ぼくの幸福の原点なのである。
一生、新人でいたい。
これはバンドマンだったころから、ずっと思い続けていることで、自分の仕事がルーティーンになったら、人生は終わる、と確信している。
よし、今日を生きる。



フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

こんな格好で、パリ市内を歩いておる、謎のアーティストなのだ。時々、素敵な服ですね、と言われる。あはは。ジャパニーズソウルマンじゃ。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
5日、日本時間の22時から、ラジオです。ぼくはもともとラジオ小僧で、友だちがラジオだったから、おしゃべりは好きなんだ。ライブはしばらくないから、ラジオで発散しようかな。ご視聴されたい皆さん、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてくれなはれ。変なおやじが、語ります。

TSUJI VILLE

フランスごはん日記「初個展初日、パリの画廊にぞろぞろ美大生がなだれ込んできた、という一報入る」

自分流×帝京大学