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滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」 Posted on 2024/09/10 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、家事、ご苦労様であーる。
毎日、毎日、主婦(主夫)は大変であーる。でも、その大変をなかなか理解してもらえないのが、辛かったりするのであーる。
それでも、家族は腹を減らすし、子供たちも「腹減った」というし、誰かがごはんをつくらないとならない。
ゴハン担当のあなたは、えらい!
父ちゃんが褒めてつかわす。
しかし、父ちゃんは、息子君を育てていたあの時期、いろんな人に「きもい」とか、「男が育てるのが情けない」とか、陰口とかじゃなく、ネットとかで誹謗中傷を受けていたので、なかなか、褒めて貰えることがなかった。
でも、人間、やっぱ、誰かに、褒められたいし、褒められないないまでも、感謝されないとやってられないものなのであーる。
すくなくとも、「いつもありがとう、お母さん」とか「パパ、いつもありがとう」って言われたいよねー??
だから、わしが、言ってあげます。
「あなたは、偉い!!!」

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」



滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

えいえいおー、がんばれがんばれ、あなたー!
でも、無理をして、美味しいものを作ろうと思わなくてもいいし、あの人がこんなすごいもの作っているから、私も頑張らないといけない、とか思っちゃいけない
あの人たちがあんなにすごいお弁当を作るんだから、私も子供たちが恥ずかしくならないお弁当を作らないといけない、とか思う必要はない。
そういう、集団社会を意識したがんばりは、マジで、心と体によくない。
ぼくの母さんはよく言っていた。
「うちはうち、よそはよそ」
これでいいのだ。

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」



滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

自分が愛情を傾けて作ったんなら、それで育った子供はぜったい、よく育つ。
だから、周りを気にしないでいいのだ。言っておきたい。
自分なりの美味しいを探せばいいのだ。
そもそも、美味しいに基準なんかないのだから。
ママやパパが作ったものが、子供の身体をこしらえているのだ。
そこだけ、意識して、作ればいいのである。
父ちゃんは、そうやって、息子を育てたのだから・・・。
そして、一人になった。
ここからこそ、自分のために料理をしようと思うようになった。
家族の数が減っていって、最後は一人になるものだが、そこで、今度は、自分のために、美味しいを追求する人生を歩けばいいのである。
自炊、大好き人間になればいいじゃないか。
まずいものは食べない、俺はうまいものだけを作って生きていく、と息子が大学生になった時から、自分に言い聞かせるようになった。
自炊くらい、楽しいことはない。
こんなに忙しい父ちゃんだけれど、ごはんを作っている時が一番幸せなのだ。

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」



滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

ちょっと、作りすぎてしまうのだが、それはしょうがない。
一人飯って加減が難しいからね。
ごはんだと最低、一合はたかないとならないから、半分は、冷凍飯になる。
そういう工夫をしながら、やりくりをしていくのも、今は、楽しい。
今は、気管支炎と外反母趾と腱鞘炎で身体中が痛いので、たくさんの薬を飲んでいる。
そういう時、やっぱ、ちゃんと食べなきゃ、と思う。
もっと大きな病気になると、スタッフさんや息子に迷惑がかかるから、こんなぼくでも、生きていてほしいという人がいるのはありがたいことで、だから、もうちょっと長生きをするために、健康ごはん、心がけている。
添加物とか、これはあかんやろ、というものは、食べない。
生姜とニンニクをとにかく、使う。
身体を冷やさないように、気を付けている。
生姜のうどんを食べると、調子がいい。釜揚げうどんにして、生姜をたくさん摺ったツユにつけて、ちゅるちゅるとやっている。
たくさん、絵を描かないとならないから、健康じゃないと、ならない。
新しい小説も書き始めるので、薬を減らせるように、がんばらなきゃ。

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

※ 抗生物質とか、ステロイドとか、痛み止めとか、胃薬とか、そろそろ、やめたいけど、身体よ、頼む!!! 治ってくれ!!!

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」

※ 父ちゃんの屋根裏のアトリエ、狭くて、汚いけれど、ここで名画が、誕生す、うへへのへ~。制作途中なので、絵はモザイクかけた、ごめんにょ。来夏に、ご期待あれ!



ご褒美も必要なのだ。
だから、夕方、三四郎と散歩に出て、いきつけのカフェのテラス席で、カクテルとか飲んじゃう。
「あの、すいません。ちょっと、つまみ、ください」
というと、カフェの給仕さん、いつも、こんなにくれるのだ。これは、タダ!
サラミとクラッカー、ま、ほどほどに、つまみます! あはは。

滞仏日記「いかに手抜きをしながら、安価な美味い飯を作っていくのか、生きる飯の極意!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
毎日のごはんは、焦らず、素直に、優しさをこめて、作って、はい、頂きましょう。無理はするな、と言っても、父ちゃんは、筆を持つと、10時間くらい、ずっと絵を描いている。出遅れたので、描きたい作品が3000枚くらいある。ゴッホより、多くの作品を残して、地球を去る予定なので、無理しちゃうんですよね。でも、健康に気を付けて、やっているので、身体は弱いですが、無理出来る時しか、無理はできないから、もうちょっと頑張って、生き抜いてやりたいな、と思っています。誰に媚びることもなく、誰にすがることもなく。

さて、その引退父ちゃんがDJをつとめるラジオですが、次は、9月14日の22時から、生放送になります。父ちゃんの熱血なしゃべり倒しをお愉しみください。ご希望の皆さんは、下のTSUJIVILLE(ツジビル)のバナーをクリックね。めるしー。
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TSUJI VILLE

※ 10月4日から12日の16時まで、パリ、マレ地区のギャラリーで、個展やります。絵が好きな、フランス周辺に在住の皆さん、どうぞ~。21作品が並びます。

自分流×帝京大学