JINSEI STORIES
息子の蟹クリームコロッケがあまりに美味そうで、驚きつつも、複雑な心境! Posted on 2025/02/17 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、息子は経済を勉強しているらしいが、シェフを目指しているとしか思えない、昨今なのだ。
今日、息子君、日本人シェフの義人さん(家族成員4名)の家に、「自作の蟹クリームコロッケをもって、アペリティフに来た」と奥様からメッセージが来た。
これ、昨日、作ってる途中の写真をぼくも貰っていたので、そういうことか、と理解。
しかし、なぜ、そこに蟹クリームコロッケをもっていったのか、がよくわからなかったが、とりあえず、息子君から送られてきた蟹クリームコロッケ制作過程の写真はこちら!
まずは、御覧いただきたい。
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この作り方って、スペインのタパスとかで出てくるコロッケの作り方と一緒じゃん、と思った、父ちゃん。
大昔、たまに息子に作ってあげていたクリームコロッケ、それは一度、冷凍し、というか、完全に凍る手前くらいのものを、コロッケの形に包丁でカットし、揚げると、イイ感じに揚がるよ、とスペイン人シェフに習ったことがあり、たまに、作っていたのだけれど、これが結構、難しいのだ。
しかし、それを真似た、とは思えない・・・。
義人シェフが「うまい」と絶賛したこのコロッケ、どうやって作り方を習得したのであろう。YouTubeが考えられるが、謎である。
それに、最近の若者は、とくにフランス人の男の子たちは料理好きだが、うちの息子、毎日、料理をしているというところが、気がかりではある。
落ち着くのだろうし、ガールフレンド君に作ってあげているのだろうけれど、親としては、いろいろと気になる。
上達し過ぎだからだ・・・。
この蟹クリームコロッケと一緒に送られてきたのが、カツカレーの写真なのだけれど、
「ルーから全部作った」
というコメント付き。
ルーから、って・・・ハウス食品さん、ごめんなさい。
そんな子に、育てたつもりはないのに、ハウス、バーモント・カレーもおいしんだけれどな~・・・。
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※ これ、自分でスパイス調合して作った、らしい・・・。
※ ちゃんと毎回、二人分、作っとる・・・。
ガールフレンド君、とっても優しい子なので、父ちゃんは、安心している。よかった。何よりである。
※ このトンカツも、カレールーも、全部作ったというのはすごいが、なんか、カレーの上に丸まったものがあって、もしかしてこれ、なすび??? ひゃああ。
あと、すべての料理にレンコンが入っている! 実は、ガールフレンド君の好物なのである。あはは・・・。
※ 義人へ、いつか、息子を雇ってください。
とにかく、義人シェフの子供たちと遊んでいる写真が送られてきたので、それはよかったのだけれど、コロッケを作って、シェフの家にもっていく、その度胸というか、息子くん、恐れ入りました。
「一人で来た?」
と訊いたら、
「一人出来ました」
と義人の奥さん。
なるほど・・・。ま、いいか。
それにしても、下のようなまるで新婚家庭のようなご飯の写真をぼくに送り付けてくるのは、「ぼくは元気で幸せだよ」というシグナルなんだろうな、と想像している。
「だから、パパも頑張ってね」
ということ?
解せないのは、なんで、じゃあ、その蟹クリームコロッケを、パパに届けないで、義人なんだ、と、思いますよね?
嫌われているのだろうか?
息子の蟹クリームコロッケが食べたい、そんな年頃なのでありました。
えへへ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、ぼくは、何を食べたのかといいますと、冷凍していたカレーを解凍し(ゴールデンカレーです)、十割蕎麦を茹でて(まだある!)をそこに、蕎麦湯を入れ、麺つゆをちょっと、そこにカレーをかけ、温泉卵をそえて、じゅるっと食べました。ノルマンディに戻らないとならないのだけれど、まだ、ぼくの空輸中の作品が行方不明のままなので、パリに残り、対応を協議中なのです。ノルマンディでも、問題が発生しているという連絡があり、行かないとならないというのに、とほほ。人生、苦難の連続じゃあああああ。
蟹クリームコロッケが食べたい~。