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滞仏日記「三四郎と父ちゃん、不審者と間違われ、警察の職質受ける?」 Posted on 2024/09/02 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、パラリンピックの警戒警備がすごい。
競技場周辺の警官の数が凄すぎて、というのも、事務所はパラリンピック競技場のすぐそばだから、50メートルおきに警察官のグループが立っており、しかもマシンガンを抱えていたりするので、ちょっと怖い・・・。
ま、テロリストとが近づきにくい状況なので、それは、すばらしい。
周辺にあるメトロ駅のホームにも見回りの警察官がいて、人々をチェックしている。
そんなさなか、昨夜のことだが、三四郎とちょっと遅い時間に散歩に出た。もう、すでに外は真っ暗なのだった。
父ちゃんの恰好はいつものオールブラック、それにニット帽といういで立ち。我が愛犬も、オールブラック、あはは、当然か。
で、エッフェル塔の近くにビーチバレー・コートがあって、そこを散歩していたら、さんちゃんが、木のたもとで、ポッポ(うんち)の体制に入った~。
まーるくうずくまって、なかなか、愛らしいうんちんぐスタイルなのである。
三四郎は、人目につかない、暗がりで、ポッポをするのが好きなのだ。わかります。
父ちゃんは、ポケットから、通称「うんち袋」を取り出し、さんちゃんのうんちを収集すべく、腰をかがめた。ぼくらは高木のたもとで、こそこそしていたわけだ。
すると、誰かが近づいてきて、サーチライト(たぶん、大型の懐中電灯だと思います。光に迫力があったので、大げさに書きました)を照射されたから、うんちんぐスタイルをとっていた、というか、すでにうんちが出始めていたさんちゃん、驚いて、飛び上がってしまった。
リードが父ちゃんの足に絡まって、倒れそうになった。
「うわーー」と大声が飛び出した。びっくりするよねー。
すると、ライトを顔にあてられてしまったのだ! まるで泥棒のような父ちゃん!
めっちゃ、眩しい。なんなん、犬がうんちしているだけやんか!
警察官が小走りで近づいてきて、怪しい父ちゃんとさんちゃんを包囲した。
「何してますか?」
と一人が言った。おいおい、後ろの人はマシンガンを持っているー。
「うんち、さんしー」(ポッポ、サンシー!)
もはや、仏語にさえなってない。
すると、警察官さん、ぼくの足元のさんちゃんを照らしたのだ。
驚くさんちゃん。ポッポがおしりにくっついているに違いない。動きが志村けんさんみたいになっている。

滞仏日記「三四郎と父ちゃん、不審者と間違われ、警察の職質受ける?」

滞仏日記「三四郎と父ちゃん、不審者と間違われ、警察の職質受ける?」



「ここは立ち入り禁止ですか?」
とぼくが訊き返すと、
「いいや、ただ、カメラに不審者がうつっていると通報があったので」
「カメラ?」
見上げると、競技場を囲む高い壁の、いたるところに監視カメラがあった。
「そこに住んでいるんですよ。犬だって、生きています」
「そうですね。パラリンピック期間中は、しょうがないですね。黒い人影が、競技場に侵入という知らせを受けたので」
みたいな会話があり、若い警官の二人、しゃがんで、さんちゃんに、ごめんね、驚かせちゃったね、と優しく言った。
一人が、三四郎に腕を伸ばしたが、ビビってるさんちゃん、リードを引っ張り、ぼくのまわりを逃げ回った。うんちは、どうなった???? 
和んだのだけれど、三四郎のうんちが、見当たらない。
「おまわりさん、すいません。この子のポッポを回収したいんですけれど、この辺、照らしてもらえます?」
優しいお巡りさんたち、三四郎のポッポを見つけてくれたのだった。いつもより、小さめな、さんしーのポッポが、高木の根本にぽつんと転がっていた。
ぼくはうんち袋で、それを素早く回収し、警官さんたちに、おやすみなさい、と告げて、そこを離れることに。
パラリンピックが終わるまで、こういうことがまだ続くかもしれない。
結局、さんちゃんは、昨夜はポッポが引っ込んじゃって、もう、しなかった。
これから、朝の散歩に出て、させますね。ごめんね、さんしー。
あはは。

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滞仏日記「三四郎と父ちゃん、不審者と間違われ、警察の職質受ける?」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
でも、夜も警備体制ばっちり、だということがわかりました。逆をいえば、競技場周辺はパリで今、一番安全な場所かもしれないですね。無事に、パラリンピックが終わることを祈っています。

さて、今度のラジオは、5日の日本時間22時からになります。父ちゃんのマシンガントーク、炸裂しますよー。和やかな時間をお過ごしください。
ラジオの申し込みは、こちらのツジビルバナーから、どうぞ!!! 毎年、イベントなどもやってます。
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