某月某日、パラリンピックの開催日、ぼくの事務所に一通のメッセージが届いた。
スタッフの岡っちが、先生、こんなメッセージが届いています、と連絡があり、覗いたら、びっくりした、父ちゃん。
「辻仁成様ブログ拝見しました。パリ・パラリンピックを取り扱って頂き嬉しく思います。自分は車いすラグビーの日本代表としてメカニックをしています。 5日前から選手村で寝泊まりしています。明日は開会式、明後日から競技が開催されます。自分は今54歳で初のパラリンピックです。自分の事ばかり一方的で申し訳なく思ってます。日本でのライブも全部行きました。金メダル取れる様にしっかり準備していきます。応援よろしくお願いします。川﨑芳英」
ちょうど、日本での引退公演が終わり、パリに戻って来たら、パリ市内がパラリンピック一色に染まっていた時で、まさに、「日本を応援に行かなきゃ」とちょうど思っていたタイミングでの、このメッセージ！
思わず、驚いたのだった。
※そのあと、開会式の様子の動画も届いた。ご本人の許可をとり、抜粋して、掲載させていただきます。

で、調べたら、佐賀県出身の川崎さん（５４歳）、ＮＨＫ佐賀でも取り上げられていた。
普段は、しょうがい者福祉施設の職員として働いていらっしゃる。しかし、今日は、パラリンピックの日本代表のメカニックとして、パリにいるのだ。
メカニック？　と思われる方も多いと思う。車いすラグビーの映像を見て頂くとわかるのだが、ものすごい迫力で車いすと車いすが体当たりを繰り返す。
パンクはするし、壊れるし、横転はする。
その車いすの整備などをする人がチームには不可欠になるのだ。川崎さんは、日本代表をサポートする、縁の下の力持ち、なのであった。
そんなすごい方が、父ちゃんのライブを全部見た、というのに、じっとしていられない。
で、すぐに、スタッフ全員で応援に行こうということになったが、チケットは、大人気で、ソールドアウトだった。
ラグビー熱、フランスはすごいのである。しかも、パラリンピックそのものが、盛り上がっている！！！　もう、席はない。
結局、日本はドイツに勝ち、アメリカに勝ち、カナダに勝って、今日、フランス時間の１３時３０分から、強豪オーストラリアを相手に、準決勝に挑むのである。
このチケットもなかった。
その上、父ちゃんは気管支炎になってしまい、ほぼ治っているとは思うのだが、コルシカのライブがどうなるか、わからないくらい、喉が悪化しているので、試合には行けそうもなく、同じ空の下で、応援をしようということになった。

※　岡っちが探してくれた、川崎さんの動画。NHK佐賀放送局さま、お借りします。笑。

で、いろいろと調べたら、車いすラグビーは男女混合チームで、重度のハンディキャップを抱えている選手の人も出場し、試合方法がいわゆるラグビーとは全然異なって、それはそれは大変な競技なのだった。※一番驚いたのは、パンクなどによるタイヤ交換の中断は一分間しか認められていないのだ、という・・・。一分！
別のＹｏｕＴｕｂｅで知ったが、キャプテンの池さんがまた、すごい方で、若い頃に交通事故にあって、３人の友人を失い、ご自身はしょうがいを抱えてしまった。バスケットをやっていた彼に恩師がパラリンピックを紹介したことがきっかけで、この世界で頑張っている。亡くなった友人たちに「生きている証」を見せたくて、挑んでいるのだそうで、金メダルを目指しているの、だとか。
現在、４４歳なのだそうだが、インタビューを見たが、いい顔をされていた。
我が事務所周辺にも、いくつかの競技場がある。車いすの人たち、選手たち、関係者さんたちが、大勢、いらっしゃって、彼らの生きる力というものに、自分でも驚くくらい励まされている。
こりゃあ、歯を食いしばって、もっと生きなきゃいけん、と思うのだ。
川崎さんは、そんな池さんら、日本代表を支えるメカニックなのである。今日は、試合には行けないけれど、決勝へ進出することをいっしょうけんめい願っています。
がんばれ、ニッポン！

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
そわそわしますね。大舞台、池さん、代表の皆さん、そして、川崎さんや関係者、スタッフの皆さん、思い残すことなく、精一杯、楽しんで、やってください。近くにいるので、祈っていますね。あと、４時間後くらいかな～、ふぁいと！！！