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滞仏日記「三四郎と暮らす父ちゃんの一日、申し訳ないが、幸福なんだもん!」 Posted on 2024/08/30 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということで、日記で、三四郎との一日を細かく紹介しようと思ったら、書くべきことが多すぎて・・・、
ということで、今日は、その後編なのであーる。あはは。
ランチの後は、一緒にソファで昼寝なのだけれど、昼寝は寝すぎると、夜眠れなくなるので、タイマーをかけて、15分と決めている。
起きたら、午後の仕事をする。
ここは小説を書いたり、エッセイを書いたり、している。
その間、もちろん、さんちゃんは、パパしゃんの仕事が終わるのを、ひたすら、待つのだ。
休憩の時に、仕事場からキッチンに向かうと、後ろに三四郎・・・。
さんちゃん、水がない時は、水の皿の前に座り、物言わぬポーズをとる。
「あ、ごめん。水がないね、すぐいれます」
さんちゃん、おしっこしたい時とかは、玄関の前に座り、物言わぬポーズ。
「あああ、さんちゃん、ピッピかい? ごめんごめん、すぐ行こうね」
物言わぬし、吠えないので、意思疎通に時間がかかるのだが、とにかく、根気強い子なので、気長にぼくが気付くのを待っている!
15時くらいになると、コーヒーブレークだから、さんちゃんにもビスケット。
それから、16時くらいに、再び、散歩に出るのだが、ここがけっこう、大変なのだ。
朝はちゃんとしてくれるが、夕方のピッピとポッポ(おしっことうんち)はかなり気まぐれで、遊びが優先になるから、ひっぱりまわされる!
なので、ひたすら、ついていく、家来になっている。
仕事の続きがしたい父ちゃんだが、でも、しょうがないよね。
行ったり来たりするさんちゃんの、あとをくっついていく、亡霊のような父ちゃんなのだった。
で、ポッポの時は、お尻をふりふりしだすので、それが合図になる。よっしゃー、来た!
でも、生き物を飼うというのは、こういうことが大事だからね。
忙しい人間の父ちゃん、自分らしさを保つために、さんちゃんがいるんだ、人間性回復の時間だ、と言いきかせて、つきあっているのであった。
あはは。

滞仏日記「三四郎と暮らす父ちゃんの一日、申し訳ないが、幸福なんだもん!」



滞仏日記「三四郎と暮らす父ちゃんの一日、申し訳ないが、幸福なんだもん!」

近くに、若い夫婦がやっているカフェがあり、そこのビールが冷えていて美味しいから、三四郎と顔を出す。
ビールを飲んでいるあいだ、さんちゃんはまたまた、足元で、ごろん。
時々、そこに犬がやってくると、がばっと起きて、なぜか、この時だけは、めっちゃ勇ましく吠えるのである。
月に一度、吠える時があるとしたら、こういう時なのだ。
自分のテリトリーを荒らされる感じがするのだろうか、レストランだろうと、カフェだろうと、吠える!
ま、でも、ちょっと安心する。
「さんちゃんはちゃんと番犬ができるえらい子だね。よく、吠えたね。大丈夫だからね、パパしゃんが一緒だから、もう、怖くないよ」
と言ってあげる。
さんちゃん、番犬面して、うーうー、としばらく、唸っている。
あはは、わかったわかった、君は強いよー。

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※ イワシ丼にする予定でしたが、タコもあったので、タコのペペロンチーノにしました。定番です!!!! そこに、ジャコと、葉唐辛子を加えて、ひゃあ、美味かった~。



夜は、19時になると、三四郎が、パパしゃんの足元にやって来て、見上げてくる。
「え、まさか、もう、そんな時間?」
時間を確認すると、ジャスト、19時なのだから、犬の腹時計って、すごい。
いつも同じグラム数の餌を与えているから、ちゃんと規則正しく消化している証拠。
ところで、三四郎のごはんだが、ドッグフードの上に、自家製の蒸し鶏野菜スープを載せて食べさせている。これの喰いつきが凄い。
朝は、ただのドッグフードなので、食いつきが悪い。
鳥のささみを野菜と一緒に煮て、ダシとって、そりゃあ、美味いだろうな~。
さんちゃんが、一日の中で、一番好きな時間なのだ。
食べ終わると、爪楊枝くわえて歩くぼくの父親みたいな感じになって、サロンにやって来て、前脚で頭をかいて、うめかったなー、という顔している。
今度は、ぼくの夜ごはんなのだけれど、こっそりキッチンに行き、こっそりと料理をしていても、気が付くと、足元にこやついるのであーる。
しかも、今、自分、腹いっぱい食べたくせに、ぼくが食べているあいだ、ずっと、見上げているのだ。目力、強すぎやろ。
「さんちゃーん? さんちゃんは、今、たくさん、食べたでしょ? これはパパの!」
やれやれ。
食後、ぼくも運動をかねて、ちょっと長い散歩に出るのだ。一日の締めくくりとなる。
夜の公園とか、遊歩道とかを、とにかく、歩く父ちゃんとさんちゃんなのでありました。
22時、就寝。
だいたい、こういう毎日なのである。
さんちゃんは、自分のベッドがあるのだけれど、お風呂場の竹製の洗濯籠の上がお気に入りで、中には、タオルしか入ってないのだけれど、いつも、そこに飛び乗って、高いところで、寝ている。
そこがいいんだよねー。
笑。
んで、けっこう、寝言いいます。
他の犬と格闘をしているのか、前脚を蹴って走っている夢のようで・・・。幸せなのかな。
微笑みがたえない、犬との日々でした。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
たかが犬かもしれませんが、されど家族なのであります。普段の二人のやりとりが、かなり、かわいいんですよ。コメディのような二人です。どんなことがあっても、大切にしていたい、わんこ様なのでした。

滞仏日記「三四郎と暮らす父ちゃんの一日、申し訳ないが、幸福なんだもん!」

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はい、ということで、お知らせでーす。
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