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滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」 Posted on 2024/08/26 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、パリに戻って来た。
今日はラジオの生放送の日だったから、急遽、パリに戻って、マイクの前で一時間ちょっとしゃべりをたおしてやった~。
おしたおされた皆さん、おつかれさましたー。笑。
普段、創作活動中は無口なので、ひとたび、オンエアーになると、本来のおしゃべりな本質が出て、がんがん、言葉があふれ出てしまう。
三四郎と旅をしたこと、亡くなった知り合いのお墓に行った時のこと、命の大切さについて、子育てのこと、いろいろ、いろいろ、寄せられたお便りをもとに、マシンガントークがさく裂した。じゃじゃーん!
ああ、いい気分転換になった。えへへ。
そのあと、集まった事務所のスタッフさんらと大掃除をやった。明日から、事務所が再開するのだ。
しかも、パリでの個展が近いので、事務所は現在、そこかしこに絵があふれている。
その上、来年の個展も決まったので、そっちも描きだしたから、さァ、大変。
場所がない。
みんなで工夫して、仕事ができるスペースの確保などをやった。
マジで、ノルマンディに大きめのアトリエを借りないと、これはもう、限界かもしれない。
ある程度、片づけてから、みんなで軽く、アペロ、をやった。
長谷っちがスペイン帰りなので、ベジョータの生ハムを持ってきてくれた。
マネージャーのMMが日本から戻って来たので、大好物のキューピーマヨネーズを買ってきてくれた。あはは。
岡っちはポルトガル土産のチーズを持ってきてくれた。
会長と呼ばれているふぐちゃんことブノアがメロンをもってやって来た。メロン!
そういうもので、工夫して、酒のアテをみんなで作って、乾杯!

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

※ ニンニクをオーブンでじっくり焼いて、それをパンに置いて、フォークでつぶしたのが上のやつ。で、そこに、トマトのスライスを置いて、フラードセルを、ぱらぱら、これ、最高っす!

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

※ トマトと紫玉ねぎとツナのサラダ。これに、タブレをまぜまぜして、食べるというわけです。

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」



ぼくはパワーをつけるために、オーブンでニンニクをグリルした。これをパンに塗りつぶして、まぶし、その上に、トマトを載せ、なんちゃって「パンコントマテ」をこしらえた。
メロンにベジョータのハムを載せた。いったい、誰がメロンに生ハムがあうと思いついたのだろうね、という話しになった。
「とりあえず、この秋は、個展があるので、みなさん、よろしくね」
ということで、事務所が明日から、スタートすることになった。
ぼくは、もう一度、ノルマンディに戻って、来年の個展の絵を描き始めることになる。
それから、さすがに、アトリエがもう、ぜんぜん、狭すぎて、足の踏み場もないので、来年の個展の作品を保管する場所をノルマンディに探さないとならない。
パリに戻って来たばかりだが、明日か、明後日には再びノルマンディに戻り、ちょっと広めのアトリエを探すことになる。
イメージとしては、森の中にある、古い納屋のようなもの、でも、天井は高くないといけないかな。
倉庫+アトリエという空間を探そう、というミーティングになった。
「パリの14区とかにも、ありますよ」
と長谷っちが、国が運営するアトリエの写真を見せてくれた。かなり、いい物件だったが、ぼく的には、予算オーバーなのだった。
ノルマンディの山奥であれば、数万円で、100平米くらいの倉庫、たぶん、元ワイン製造農家の建物とか、が借りれるはずである。
そういう人知れずの場所で、絵を描く方が、ぼくにはあっているよ、とみんなを説得した。
「じゃあ、パリの事務所も思い切って、小さくしたら、どうですか? 家賃、バカにならないですよね」
とMMが提案した。
「そうだね」
「ネットで繋がって仕事ができるし、郵便物が届くだけの場所があればよくないですか?」
ということになった。

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

※「パパしゃん、狭いよね、屋根裏部屋は。・・・」と心配してくれている。あはは。



夜、ふぐちゃんことブノアと携帯紛失マネージャーMMと3人で、行きつけの和食店に移動し、今後どうするか、話し合った。
とりあえず、無理して事務所を維持し続けないで、ノルマンディにアトリエを構える方が大事じゃないか、とふぐちゃんが言った。
「ツジー、大事なことは、身軽になることだよ」
とふぐちゃんが言った。
「ここまで絵の依頼が増えたのだから、自由に創作できる広い空間と、すべての作品を保管できる倉庫は必要だよ。ツジー、それにあなたは、もっと大きな絵を描くべきだ。屋根裏部屋のようなこじんまりした場所で、ちまちま画布とむきあっちゃいけない。大きな器が必要な時もある。天井の高い空間で、計り知れない絵を描いてほしい。ぼくも探すから、やろうよ」
その通りだった。実は、ふぐちゃんの本業は不動産業なのであーる。
「ノルマンディでいい場所が見つかったら、そっちの方が家賃はうんと安いはずだから、その方がベストだと思うよ。楽器とかの保管はうちの地下室を利用して、あとは、みんなネット環境で繋がって仕事すればいんじゃないか? 個展とか、イベントの時だけ集まるようにしたらいいんだよ。その分、経費が浮く」
ということで、来年の方針が決まった。
ぼくらは、シェフに、天丼を三つ、お願いした。
この店のメニューに天丼はなかったが、大将は、もちろんです、と笑顔で、こしらえてくださった。ふぐちゃんが、笑顔になった。
「いつも、ツジーはぼくに美味しいものをご馳走してくれるんだ。ぼくにできることはなんでもするから、大船に乗った気持ちでがんがん絵を描いてくれ!」
ということで、ブノアのお墨付きが出たので、ぼくは、ノルマンディの森の中に心地よく仕事ができるアトリエを探すことに決めた。決めた。
そうだ、もうちょっとだけ大きな絵が描けるアトリエがほしい。

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」

※ ふぐちゃんは、シラノ・ド・ベルジュラックの劇作家を祖先に持つ、自身も小説を出版したりする異才で、面白い、仲間です。

滞仏日記「ラジオのためにパリにとんぼ返り、そして、来年の大方針が決まったよー!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
パリに戻り、ラジオをやり、ミーティングと大掃除をして、ふぐちゃんらと来年の作戦会議もできたので、明日、ノルマンディに戻ります。あはは、三四郎と!

はい、ということで、父ちゃんからのお知らせは、いつもの、「エッセイ教室」と「ラジオ・ツジビル」に、ついてです。
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