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滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」 Posted on 2024/08/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、魂の洗濯中である。
このホテル、欧州中を車で旅するご夫婦たちの通過地点になっていることがわかった。
ドイツ人、スイス人、イギリス人、ルーマニア人、・・・。
半分ほどがフランス人だった。
車のバンパーを見ると、どこから来たか、が一目瞭然であった。
スポーツカーで回っている、ドイツから来たご夫婦が、最初に三四郎に反応し、ちょっと話をした。
「かわいい、わんちゃんね」と、英語で言われたので、
父ちゃんも得意な英語で、
「さんきゅーべりーまっちょー」
と返しておいた-。あはは。
スイスからやって来たご夫婦はここに毎年宿泊しているのだという。
みなさん、もう、引退をされて、残りの人生をのんびりと過ごしているリタイア組なのだった。でも、若いカップルもいたよー。
それから、一人旅はぼくだけかな、と思ったら、もう一人、いた。
みなさん、ちゃんと、挨拶をしていく、同じ旅人どうしだから、「よい旅をね」というのが合言葉なのだ。
いいよね。
ホテルに、広々としたテラス席があり、ぼくはそこで、夕食までのあいだ、三四郎とまったりした。
夕食は、19時から21時半までにレストランに入れば、いいので、ぼくは、20時過ぎに顔を出した。
もちろん、三四郎もレストランに入ることが出来る。
欧州では、犬もいいホテルが多い。予約する前に確認をすると、いい。
しかも、レストランに一緒に入ることもできる。
ここのホテルは、階段の踊り場に、元貴族の当主とその愛犬(たぶん、狩猟犬)のステンドグラスが飾られてあった。犬好きの貴族さんだったのであろう。
なのでか、さんちゃん、のびのびしていた。
犬がOKなホテルはフランスにごまんとあるので、一緒に旅をするの、おすすめです。
「ねー、さんちゃん」
「わんわんわん♪」

滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」

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で、夕食なんだけれど、美味しかったから、写真をとるのを忘れてしまったのだった。
あはは。
アミューズがあって、そのあと、前菜の卵のフリット、ハーブのソースがかかっていたのかな、これ、美味しかった。
要は、半熟卵の天ぷら、みたいな・・・。
卵好きな父ちゃんとしては、ここで、100点。
そのあと、仔牛のグリルが出てきたけれど、これも見た目は今一つだったが、味がとっても、美味しかった。絵にならなかったので、写真撮らなかったけれど、ま、いいね。
そのあと、チーズ、デザートと続いて、47ユーロ・・・。
物価の高いフランスの相場を考えると、かなりリーズナブルな方かな。
食後は、再び、外に出て、広い敷地を三四郎を散歩した。
綺麗なお月さまが森の向こうにかかっていて、疲れ切った父ちゃんを癒した。
あー、疲れたけれど、心地いい疲れかもしれないね。
今日はのんびりしよう。
広々としたベッドで寝たのだけれど、霊感の強い父ちゃんだったが、幽霊はでなかった。よかった、よかった。
さんちゃんは、父ちゃんがわざわざベッドを持ってきたというのに、クローゼットの中がいいみたいで、そこで、寝てました~。あはは。

滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」

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で、爆睡であった。
よく寝た。ああ、癒された。
カーテンをしないで寝たので、美しい光に瞼を優しく押されて、目が覚めたのであーる。
「ああ、素晴らしい、朝だ! さんちゃん、森を散歩しようよ」
ということで、二人は、館も庭園を、貴族になりきって、歩いたのであーる。
噴水の先に森が広がり、その向こう側に、テニスコート、ゴルフ場などの施設があった。
ぼくはゴルフもテニスもやらない知性派なので、笑、さんちゃんと、追っかけっこをして遊んだのだった。
光がきれいだった。
バラの花が咲き誇っていて、美しかった。
高級ホテルに泊まるよりも、こういう家族経営のオーベルジュで、何もしないで、一日ぼんやりするの、すごくいいんじゃない? 
朝食は、昨日と同じ場所で、ほぼ同じメンバーと朝食をたべた。
ドイツ人も、スイス人も、英国人も、一人でやってきたおじさんも、みんな、いた。
顔見知りなので、みなさんにご挨拶!
「ボンジュール」
「グッモーニン」
こうやって、こういう場所で、こういう風に旅人たちと出会っているかぎり、この世界には、憎しみや戦争がないような気持ちになる。
でも、現実は違うのである。
ぼくは、ウフ・ア・ラ・コック、という半熟ゆで卵のてっぺんを開いて、そこにパンをつけて、食べる朝食にした。
朝はそんなにたくさん食べられないので、ちょっとだけね、それと、コーヒーと。
いい朝である。
12時がチェックアウトタイムなので、食後は再び、三四郎と再び、時間の許す限り、散歩をした父ちゃんであった。
ドイツ人のご夫婦は、赤いスポーツカーに荷物を載せていた。
「出発ですか?」
「そうですよ。次のオーベルジュに向かうの」と奥さん。
「ずっとフランス中、旅されているんですね?」
「ええ、二泊ずつ、少しずつ南下して、また、北上して、パリにも立ち寄って、それから、ベルギーを経由して、ベルリンに戻るのよ」
「いいですねー。お二人の道中が安全でありますように!」
「ありがとう」
最後は、ドイツ語、であった。
「さんきゅーべりーまっちょーーー」

滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」

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※ ウフ・ア・ラ・コック! この中に、パンを突っ込んで、半熟をつけて、食べる。要は、フランスの卵ゴハンね。笑。発想は一緒。でも、うまいよー。

滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
再び、ゆっくりと、ノルマンディに戻り、さんちゃんと海に行きますね。少しずつ、身体ももとに戻ってきました。あー、楽しかった~。

滞仏日記「田舎のオーベルジュで、旅をする人たちと出会い、人生を分かち合う!」

ぐっーーーーーーーーー!

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