JINSEI STORIES
滞仏日記「引退父ちゃん、やっと、休暇に。田舎のオーベルジュにて一晩だけの贅沢をするの巻」 Posted on 2024/08/24 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、父ちゃん、さんちゃんと森の中のオーベルジュに到着した。
ネットで調べて、フランスの田舎にある、素敵な森の中のオーベルジュを見つけたのだった。
オーベルジュというのは、ご存じかもしれないが、ネット辞典によると、
「郊外や地方にあるレストランと宿泊場所を兼ね備えた施設で、フランス語の「Auberge」に由来します。フランスの田舎に多い料理が自慢のホテルや宿泊施設のついたレストランを指します」
となっておった。
ぼくの友人にも、オーベルジュの経営者がいる。軽井沢でやっている。呼ばれたことはないが、ごはんがおいしく、空気がきれいなんだという。
でも、オーベルジュの発祥はフランスなので、そっか、さんちゃんとオーベルジュに行けば、料理もしないでよくて、寝て、食べて、帰ればいいじゃんね、と思いついた、父ちゃんであった。
で、夕食と朝食付きのことを、ドゥミ・ポンションというのだ。覚えておこう。
はっきり言って、オーベルジュは最高である。
なんにもしないで、ぼんやりしながら、ごはん付きなので、お金の余計な心配をしないですむ。
で、ぼくが探したオーベルジュは、シャトーなのだった。
元貴族の館をホテルに改造したホテルなのだった。ふふふ。
「辻さん、そんなこと言って、どうせ、目が飛び出るくらい高いんでしょ?」
と、聞こえてきそうだが、父ちゃんは、高いところだと落ち着かないので、割とリーズナブルなところを選ぶ。
あの、東京で、高級ホテルに泊まると、一泊、高いところだと数万円くらいするし、いや、もっとするよね、けた違いの高級ホテル!
で、ごはんだって、銀座とかの、ちょっと名のあるレストランで食べたら、やはり、何万円もするのだ~。行かないけれど、父ちゃんは・・・。あはは。
具体的な金額は書かないけれど、高いのが当たり前なのだ。
でも、ここ、食事が47ユーロで、宿泊費は150ユーロもしなかった。(一人でも、夫婦でも、金額はたぶん、同じ。二人だったら、半額で済む!!!)
三四郎なんか、8ユーロなのであーる。
森をくねくね走ったところにだいたいオーベルジュはあって、その辺でとれる野菜とか、チーズとか、ワインが出てくる。
地元色が強いのも、オーベルジュの魅力なのである。
シャトーと書いたが、貴族の館風の建物というべきだろうか?
ゴルフ場とか、テニスコートもついているのだから、すごいよね。。
ホテルの玄関が、王様の石段(左右から登れるやつになっていた)ので、父ちゃん、三四郎を抱えて上までのぼり、下の広場を見下ろしながら、
「みなもの、ご苦労である。わたしは、みなものの健康と平和をねがっておるぞ」
と挨拶をし、手をふっておいた。
だいたい、父ちゃんって、そういうことをやるのが大好きなのであーる。
「お客様、ご宿泊ですか?」
ホテルの人が後ろにいた。恥ずかし~。
ということでチェックイン。
ふわ、中も、貴族感半端ないわー、すごい貴族が住んでいたんやろなー。
もしかして、ここの経営者はその一族かもしれない。
みなさん、上品なのだ。
ちょうど、帰っていくお客さんがいたのだが、リピーターのようで、エレガントなダムとムッシュが二人を笑顔で送り出していたのだった。
ふむふむ、リピーターの多い、オーベルジュか、いいね。
さっそく、荷物を持って(さんちゃんのベッドと、パソコンだけ!)、案内された部屋へと向かった。
3階の角部屋だった。おおお、素晴らしい!!
窓を開けると、どかーんと庭園が広がる。
これ、ベルサイユ宮殿じゃないけれど、フランスのこの手のオーベルジュ、貴族の館とか、昔の王様のお城とかをホテルにしたところが多いので、広い庭付き。
いいんじゃないのー。
「辻様、お気に召されましたか?」
「いやあ、もちろんです。日本の生家を思い出しました。父が九州の貴族でしたから」
「そうですか」
「ほほほ」
「どうぞ、ごゆっくり、ご滞在くださいませ」
あの、これは、心の中で、思った、ただの冗談で、実際には、言ってませんので、ご安心ください。
それくらい、気分が晴れやか、ということなのであーる・ぬーぼー。
さんちゃんが、部屋の中を走り回っている。かなり広い。
ぼくが東京で滞在していたホテルの、4倍くらいの広さはあるかな。光りがあふれた素晴らしいお風呂もあった。
で、今、これを書いているのが、ホテルの正面広場にあるリクライニングのソファの上。さんちゃんも、そこで、サングラスして、寝そべっている。あはは。☜、ウソです。
休むということに慣れてないので、何かしないと落ち着かないから、とりあえず、日記を書いているのであった。
どんな日であろうと、日記を書く、ここが、父ちゃんらしいですな。
とても、貴族にはなれませんね。
はい、貧乏性というやつでございまする。
えへへ。
※ ひゃあ、窓を開けたら、こんな世界が!!!!
※ お部屋、お姫様の寝室みたいです~。笑。
つづく。
やー、でも、来てよかった。
掃除も洗濯も料理も何もしないでいいんだから、らくちんです。さんちゃんと、ベルサイユ宮殿の庭のようなところを走りまわったのでした。このあと、夜ごはん、そして、朝ごはんを食べて、チェックアウト、12時ですからね、のんびりできます。晴れていて、よかった~。父ちゃん、引退、おめでとう。みなさま。長いこと、応援、ありがとう!!!
はい、ということで、父ちゃんからのお知らせは、いつもの、「エッセイ教室」と「ラジオ・ツジビル」に、ついてです。
エッセイ教室は、こちらからです。
☟
https://tunagate.com/community/xWZVvgZD/circle/92861/events/348688
そして、月三回、生放送をやっている、父ちゃんのおしゃべりラジオ「ラジオ・ツジビル」は、下のバナーをクリックくださいね。☜、働いてる~。笑。