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滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」 Posted on 2024/08/11 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、東京に戻り、仕事の合間、たまたまテレビをつけたら、NHKBSの「パリごはん」の再放送に遭遇してしまった、父ちゃんであった。
あはは。
自分がツイッターとかであれだけ宣伝しておきながら、そのことをすっかり忘れていたのだから、驚くね。
あ、俺じゃん? 
そうか、今日だったよね。すげー、と思わずうなった、父ちゃんだった。
さらに、フランス在住なので、こうやって、放送されている時間に、生で、みることもないので・・・、超、新鮮。
ということで、ソファに座って、背筋を伸ばし、見入ってしまった、父ちゃん。おおお、いろいろと気になることを思い出した~。
この番組、コロナの三度目のロックダウンの時期に第一回目の撮影がスタートしたのだけれど、そこから2023年まで計七回、続いたのだった。
しかも、自撮りで、携帯で4K撮影・・・。

滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」

滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」

滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」



コロナ禍、高校生だった息子との生活の場面からスタートし、その子が受験に受かって大学生になり、どこからか三四郎(ミニチュアダックスフンド)がやって来て、入れ替わるように息子が巣立ち、わんことの珍道中生活がはじまり、おっと、その前に、ノルマンディにアパルトマンを購入し、二拠点生活がスタート、「一人で生きる飯」ライフを意識しはじめ、そんな中、コロナ後、ミュージシャンとして一台奮起して、パリでもっとも有名なコンサートホールでのライブを決意、と物語は流転していくのだった。
ということで、今回の再放送はオランピア劇場ライブまでの父ちゃんの足取りをおう、2023年春ごろの自撮りドキュメンタリーである!
ふむふむ、よくがんばったものだ。
しかし、この番組をみながら、実は、裏のドラマがあったことを思い出してしまった。
たとえば、番組の途中で、階段から落ちて怪我をする場面があるが、今だから言えるのだけれど、実は、その時、父ちゃんはコロナに罹っていたことも判明したのだった。
捻挫よりも、もっと恐ろしい事態だったので、そこは日記にも、書けなかった。(この番組は日記をもとにドキュメンタリー映像を撮影しているので・・・)
陽性反応が出た検査キットを眺めながら、皆さんを心配させてはいかん、と思った父ちゃんだった。
初コロナから回復するまでに2週間ほどがかかった。
最初の一週間は、熱も39度ほどあり、捻挫もしているし、身体中が痛んで、地獄のようだった。
その時、ぼくは、「パリごはん」の撮影をしながら、もしも、重症化したら、オランピアライブは中止になるよなー、などと、ふらふらする頭で、考えてもいた。
息子や、事務所スタッフが、FFP2マスクを装着して、食料を届けてくれたっけ。
もちろん、コロナなんて風邪みたいなものだから、いつか治るとはわかっていたのだが、でも、喉が痛くなってきたので、それはそれは、不安でしかたなかった。

滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」



ついでに、言うと、今でこそ、ぼくは個展をやって、絵描きのはしくれ道を歩みだしているが、「パリごはん」番組内で、絵のことにはほぼ触れてない。
大学生の頃から絵は描き続けていたが、これを仕事にする気はなかった。
しかし、番組がスタートした直後、日本画家の千住博さんに、絵の道、をすすめられ、個展への道のりを決意する。
まだ、どうなるかもわからなかったし、このことも番組内では一切触れずにきた。言ってもよかったが、ダメだった場合、超・かっこ悪いしね・・・。あはは。
しかし、今回の2023SP再放送を、よく見ると、キャンバスや油絵具がうつりこんでいたのだった。
というか、料理がうつりこんだ画面の端っこに、先の個展で発表した作品が数点、ちらっと見えているではないか。(キャベツ麺の場面でーす)
ま、みなさんに自慢したい、見せたいという気持ちもありながら、自分の未来に自信も持てないし、事務所にも反対されて、はっきりと決まるまでは言わないでおこう、となった。
一度、白いカンバスの映像を西山ディレクターに送ったら、
「ちゃんとした作品があるなら見てみたいです」
と言われ、悩みに悩んで、いや、まだ、ダメ、と返事を戻したような・・・。
何せ、父ちゃん、いろいろな表現活動を持っているから、全部を追い切れないし、うさんくさくなってもいけないので、笑、オランピアライブだけに集約して撮影をしたのだけれど、実は、いつも、同時進行でいろいろな創作が続いているのだった。
終わりなき、休みなしの、ローリングロックライフなのだった。
つねに、その時、時代は動いているのであーる・ぱちーの。

滞日日記「偶然、辻仁成のパリごはんを観た。隠された当時の裏側を思い出した」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
人生って、面白いですよね。2023年は「オランピア」一色だったのに、その時すでに、その後の個展の準備に入っており、しかも、今年、2024年は、東京とパリで、合計3度個展があって(パリは10月)、しかも、大阪フェスティバルホールにて人生最後の引退ライブまで・・・。いやはや、みなさん、人生はままならぬものですな。応援ありがとう。父ちゃんはこれからも、熱血で、いくよー。

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