JINSEI STORIES

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」 Posted on 2024/08/03 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、もう、半年以上経つのに、消えないおできがひたいにある。
長谷っちに、先生、東京で検査しておきましょう、としつこく言われていた。
長谷っちも、同じような気になるところがあって、検査をして病気だとわかったから、なおさら、検査の重要性を説くのだ。
年齢的に、気を付けないといけないことはわかっている。
でも、たしかに、ぜんぜん、消えないのである。
半年くらい前に、ぽつんとおでこに出来た。おできだよね、と思っていたが、小さくならないし、なんとなく、存在感が際立ってきたので、さすがに心配になった。
ということで、今日は、ライブの中日、この時間を利用して、皮膚科に赴いた、父ちゃんであった。

それにしても、円高の勢いが凄すぎる。☜、あは、ちょっと話が脇道へ、おできとは、関係ないけれど・・・。
ぼくがパリから東京に入った時、円はユーロに対して、1ユーロ173円くらいだった。
それから円安がさらに進み、175円くらいまで続落したのだけれど、先週くらいから、急激な円高がはじまった。
で、ついさっき、換算レートを覗いたら、161円台まで円高になっていた。おおお!
わずか一週間程度で、14円前後も円が上がっちまった~。そんな経験なかなかない。
ぼくは通過価値の乱高下は仕方ないと思っているから、なるべく、気にしないようにしているのだけれど、ここまで円が上がると、さすがに、びびる。
この円高、日本国民の皆さんにどういう影響があるのだろうか? 海外から来ている観光客の皆さんには???
しかも、今日は、世界的な株安に見舞われて、日経平均終値、36000円割れ、というブラックマンデー以来の下げ幅、なんと2216円、というのだから、びっくり。
円高も影響があるらしいが、全世界的に株安なのだとか・・・。
原因は、米国の景気後退懸念だと言われているようだけれど、それだけじゃない気がするにゃ~。世の中、何ものかに、振り回されている感がはんぱない。
ぼくは、思っていることがあるのだ。
この引退ツアーが終わった後に、いろいろとお伝えしたいとは思っているが、このような政治や経済の振れ幅に影響されず、三四郎や息子との関係を強化し、逆にパリの比率を減らし、ノルマンディでの静かな田舎生活をもう少し増やそうかな、と・・・。
パリの仕事は縮小し、ノルマンディに広めのアトリエを借りようかな、と。そして、フランスを中心に、美術創作と小説執筆の時間を増やそうかな、と思っているのだ。
うん、規模を小さくして、動き回らず、狭い範囲で生きていく、ということである。
いいね。

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」



今日は、午前中、日テレの松村さん(演劇のプロデューサー)さんがホテルまでやってきて、くださった。引退報道で、心配されたのだろうか・・・。
「辻さん、今後どうされるんですか、引退されるって、訊きましたが」
と、長いお付き合いなので、心配してくださっているのである。
「あ、いや、引退します」
「でも、大きなライブをやめるだけですよね? 和田アキ子さんも、ホールコンサートは引退されて、小さな会場でライブをされています」
「ああ、ま、そうですね。ちょっと、自分の目が行き届く範囲で、プライベートなライブは続けます」
「あ、そうですよね。わかります」
その後、もしよければ、ちょっと落ち着いたタイミングで、再び舞台演出をされませんか、とお誘いを受けた・・・。
「いいですね。引退した後、お話をしましょう」
そのあと皮膚科に向かうのだけれど、(やっと本題に)お腹がすいたので、まずは、家系ラーメンを食べてから、目黒にある友だち、Y先生の皮膚科にいって、おでこにできた怪しいできものの検査をやったのだった。
何か、小型の顕微鏡のようなもので、診てくださったのだけれど、癌、ではない、らしいことがすぐに判明・・・。
ま、そうは思っていたけれど、やっぱりね、気を付けないといけない年頃だから。
「よかったですね、悪性ではありません。血管がちょっと詰まって、実は、こうなるんです。消えもしないけれど、悪くもなりません」
「どうやったら、とれるんですか?」
「簡単な手術。二週間絆創膏貼らないとならないけど、どうします?」
「別に、ぼくは気にならないから、放置でいいです」
ということで、悪性ではないことがわかり、ホッと一息・・・。
「でも、辻さん、本気で、引退なんかしないでしょ?」
またまた。そういう話しに、どこにいっても引退の真意を聞かれる。
「え、ああ、いや、引退します」
「引退するの?」
「え、みんなにそういわれるんだけれど、やめれる時って、ある程度目が黒いうちがいいんです、つまり若い方がいいんですよ」
「なるほど。辻さんらしい」
「でも、音楽はやめません」
「よかった。それを聞いて安心しました」

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」

※ 寝起き顔の自撮り。で、赤い丸の中に、ちょっと黒い点が、見えます、心配し過ぎでしょ? あはは。でも、消えないから、心配になりますよねー。

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」



そういえば、イタリアで来月、また本が出ることがわかり、今度は「グラスウールの城」という作品で、このItaly出版社、毎年のようにぼくの本を出してくれるのだけれど、創作、頑張らないとね。
韓国でも「愛のあとにくるもの」がリニューアルされて、再び書店にドンと並ぶらしいのだけれど、さ、韓国とイタリア、同じ半島だからね、ふふふ、半島受けするのかな、楽しみなのだ。
ということで、今は、小説ももう少し大きな展開を準備しているのだけれど、それは、まだ、内緒にしておきましょう。お愉しみに。
父ちゃん、ノルマンディの海沿いで、静かに生きつつ、虎視眈々と創作の手を広げていきますよ~。この引退は大きなスタートラインになるはず。
死ぬまで、熱血表現者で頑張るからね。
東京、最終公演まであと、3日!
よっしゃー!!!!!

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」

※ こちらが、イタリア版「グラスウールの城」の表紙カバーデザイン! 

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、5日、ついに、東京での最終引退公演、そして、7日が大阪千秋楽引退公演となります。だんだん、終わりが近づいてきましたが、加藤登紀子さんが言ったように、ここから、ぼくははじまるのかもしれませんね。Y先生も、日テレの松村さんも、何をしでかすんですか、と興味津々で、引退を本気で信じている人がいない、のが、不思議。でも、マジで、引退するんですよ。日本での公式興行ライブはこれで最後です。お見逃しなく。東京は売り切れていますが、大阪はまだ、間に合います。えへへ。 

引退後ですが、日本におけるJINSEI・TSUJIの公式興行は発表通り、しません。でも、プライベートでは、こそこそ、個人的な弾き語りとかやろうと思っています。その非公式の発表は、ぼくのラジオでのみ、のみ、することになります。限られた小さな世界で、だけ、生きていく所存です。
ということで、ラジオ・ツジビルは、月3回、放送しています。詳しくは、下のtsujivilleのバナーをクリックください。

TSUJI VILLE

滞日日記「半年消えないおできがあって、心配になり、検査に行った、そういう年頃だからね」



自分流×帝京大学