JINSEI STORIES
滞仏日記「ついに、作品の展示作業がはじまった個展会場へ赴く画伯の父ちゃん」 Posted on 2024/07/19 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、いよいよ20日から新生堂画廊にて「パリ情景・動かぬ時の扉」展がスタートする。
ということで展示作業がはじまるというので、配置図通りになっているか、チェックするため、青山骨董通り近くにあり老舗画廊の「新生堂」さんへと向かった、画伯の父ちゃんであった~。
ミュージシャンになったり、愛情料理研究家になったり、画伯になったり、忙しい男やの~。
何者かわからない得体のしれない不思議な職種の父ちゃんであった。
ある時は小説家、ある時はエッセイ教室の先生、ある時は帝京大学冲永総研の特任教授、ある時は映画監督、ある時は舞台の演出家、ある時は詩人、ある時はブロガー、ある時はパリジャン、とまァ、いろいろ変幻自在な7変化男であーる・はんぶら~宮殿。
もっとも、油絵は学生時代から描いているので、最も古い表現の一つ。ネアンデルタール人のようなもの・・・。意味わからん。
ということで、新生堂さんは大きな画廊だが、大きくわけて3つのセクションがあり、入場者は、まず、建物に入ると左手の1階の展示室を楽しんでもらうところから順路がスタートする。おおお、順路解説か!
1階は今回の目玉作品のNEHAN(50F号×3枚の大作)がどんと皆さんをお迎えすることになっている。(これは外からも眺めることが出来る)
その部屋の奥にもう一つ展示スペースがあり、ここには割と小さ目の作品が10枚ほど展示される。(サイズ8号から25号まで)
そこを観終わったら、階段で地下1階へと下って頂くと恐ろしく天井の高い地階展示場へと出る。
ここが今回メインの舞台になる「パリの情景」をとくにテーマにした作品群がずらりと並んで皆様をお迎えする空域だ。天井高い~。素晴らしい。
とくにぼくのパリのアトリエ、パリ中心部、9階にあるアトリエから見えるパリの建物の屋根をモチーフに描いた「煙突シリーズ」作品群と、そこからやはり見えるエッフェル塔の鉄塔部分だけをモチーフにした「鉄塔シリーズ」作品群とが、交互に、ずらり展示されるという寸法。
在仏歴22年の父ちゃんが描き貯めてきた、ぼくが見てきたパリを存分にご堪能頂きたい。中には、発声練習をよくやっているセーヌ川の川岸からの眺めの絵などもあるのじゃ。
あはは。
さて、そのあとは、再び階段を上がって頂き、中二階にある真っ黒な壁で覆われた小さな展示スペースへと進んでいただく。
ここには8枚の対の作品群が並んでいる。
この不安定な今の世界のバランスを描いた、「動かぬ時の扉」展示室となる。
リリカルで、ある種父ちゃんなりの思考が充満した、哲学の小部屋的空間が、構成されている。
ここのライティングが難しいので、今日と明日はその光の具合について、調整を行うことになるだろう。
その小部屋を出ると、外へと向かう長い廊下を移動してもらうことになるが、廊下の角に、もう一つ、1995、9月~1996年に描かれたたKIHADAという古い絵が展示されている。
これは、長男(彼は絵描きをしております)が誕生した時に描いたもので、赤ん坊だった長男に見せた大樹の表皮を題材にしたもの。
ぼくにとっては大変重要な作品になるので、とくとご覧頂きたい。(この作品のみ、非売品であーる・ぬーぼー)
このシリーズの未発表の作品が、実家などに数点保管されている。懐かしい作風であり、ぼくの中期の作品となる。今は、末期・・・。あはは。
入場された皆さんはKIHADAを観たあと、外に出るのだが、制限時間の45分以内であれば、再び入場できるようなので、焦らずに観て回って頂きたい。熱中症になるといけないので、外で待たないように、住宅地なので、注意される場合があります。
つづく。
ということで、明日はライブに向けて個人的なリハーサル日になるので、さらに慌ただしくなります。引退公演ツアーと大事な個展の板挟みですが、他にすることもない東京おひとり様暮らしの父ちゃん、忙しいのは何よりですな。えへへ。熱中症には気を付けてくださいましねー。
はい、ラジオ・ツジビルでもしかすると、今回の個展について、ラジオ解説をやれたらと思っています。アーカイブで2週間過去放送分を聞けますので、ぜひ、ご参加ください。辻村村営放送、ラジオ・ツジビルは村人募集中だそうです。詳しくは下のバナーをクリック!