JINSEI STORIES
絶対美味しいやつ日記「トスカーナの手作りパスタ、ピチで創作の合間を豊かに」 Posted on 2024/07/11 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、手で一本一本こねて作る「ピチ」というパスタを作った。
日々の創作の合間だからこそ、手の込んだものを作ることを楽しむ、父ちゃん。
「冷静と情熱のあいだ」という小説が世に出て25周年となることを記念し、(ひゃあああ~、光陰矢の如し。江國さーん)ぼくが受け持った街、フィレンツェ(トスカーナ州の州都)で、よく食されている「ピチ(Pici)」なる手作りパスタを食べたいと思い、実際に、作ってみたら、これが、これが、今年、作ったパスタの中で、最高峰だったので、ご報告であーる・ふぁろめお。
これ、日本のすいとんに食感はそっくりだが、トマトソースなどで絡めることで、信じられないほどに、美味しくなる。
使うのは水と薄力粉(ファリーナ00,グラーノ・テネーロとかね。日本の薄力粉でも行けると思います)、オリーブオイル(気持ち)だけ、・・・。
コシのつよいうどんにそっくりなんだが、これが、もちもち、しこしこして、実に美味いのだ。水分と薄力粉の分量、そのこねかた、微調整で、味や食感が違ってくる、ま、マンマのごはん、家庭のパスタ、なのである。
とはいえ、紀元前7世紀ごろにはすでに食べられていた、という文献もある。古代ローマよりも前から、存在するピチ!!! 食べない手はない。
※ イスキアで頑張る、八重樫シェフの写真をお借りしました。八重樫さん、レシピ、お待ちしておりまーす。
薄力粉の山をつくり、中心部に穴をつくり、そこに塩を少し、ふって、水分を粉に吸わせながら、中心部からくるくる、練り上げていく。最後は山が全部まとまるように。
水分量と薄力粉の割合は、お好みなので、水分は様子みながら、微調整していくといいね。
硬すぎないよう、練って作るのがコツ。すいとん、を思い浮かべてもらえれば、いいのであーる・はんぶら宮殿。
捏ねて練り込んで出来上がると、ちょっとあんぱんみたいなサイズの丸みある生地ができる。
練り続けると弾力が出てくるのだが、硬すぎるといけないし、柔らかすぎても、いけないので、そこらへんは、いろいろと試行錯誤ね。
タリオリーニとは違うので、すいとん、を作るイメージで・・・、笑。
出来たら、丸まったまとまった生地の中心をちょっと押してもらい、上から押すと、戻って来るくらいの弾力なら、最高。2~30分ほど、寝かせる。
で、うどんと全く同じように、麺棒で伸ばしていくのだ。これが楽しい。
麺棒で伸ばしている時に、下の板にくっつく場合は、打ち粉をする。
厚さが5ミリ程度になるまで伸ばしたら、生地が渇く前に、包丁でカットし、鉛筆くらいの太さに適当に切って、それをセモリナ粉(打ち粉)ちょっとふりながら、まとめやすくする。
太さは家庭によっていろいろと違うのだけれど、うちの場合は、鉛筆サイズにこねる。太さは一定じゃなくて大丈夫、その方がおいしいという結論。
めっちゃ不格好なうどん、・・・うどんでいいじゃん、と思うでしょうが、違う。食べれば、わかる。
鉛筆サイズに成形した麺は、あらかじめ打ち粉をひいておいたパッドとかに並べていく。くっついちゃうからね。(茹でると予想以上に太くなるので、あまり厚くし過ぎない)
とにかく、打ち粉をする。これも、うどんとか、蕎麦と一緒だね。写真、参照。
※ こうなります。一本一本、手で不格好を目指して形成しました。縄を結うみたいな、ごしごし、と。やり方は千差万別で、まな板みたいなもので丸める人もいます。でも、太いところややや細いところがある方が、触感、がおいしい。すいとん、方式。
※ サルシッチャのソースだけれど、サルシッチャ買うのが面倒な人は、豚肉のひき肉に、スキンァスパイスをいれて、塩胡椒多めにして、こねて、ハンバーグのもとみたいにして、一晩寝かせるだけでも、いい感じになりますよー。それを炒める前に、小さな団子状にするとか、したら、いいでしょう。サルシッチャって、ソーセージの中身、ということだから、・・・。
今回は、プティ・トマトを使い、トマトソースを作り、そこにサルシッチャ(生ソーセージの中身。ネットで買えますよ、日本でも)にフヌイユシードなどのスパイスを入れて自分の好みのスパイシーに味付け、要はソーセージの中身を一緒に炒めて、そこに、茹で上がったピチを入れたら、完成となーる・しすと。
いろいろな種類のピチがある。ニンニク、唐辛子をオリーブオイルで炒め香りが引き立ったら、パン粉を入れて、軽く炒め、香りが引き立ったら、そこに茹で上がったピチを入れ、あわせるだけのシンプルなバージョンも、実に、トスカーナっぽくて、美味しいのだ。
パッタ・フレスカ(手打ち麺)なので、茹でる時、最初は麺を動かさないのがコツ。ピチは太いので、3,4分で出来るのだが、火が入ると麺が浮いてくる、それが合図。
でも、麺が太いので、中が生じゃないか、ちょっと味見をしようね。
わかったかな?
で、完成がこちら、どう?
絶対美味しいやつでしょ?
マジで、最高であった。今年、一番、まだ、7月だけれど・・・。
おかげで、元気になり、素晴らしい創作ができた、普段はぼろぼろの父ちゃん。
今日は、髪の毛も洗ってない、普段の画家風おやじをご覧ください。
ボナペティ!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
今日はこれから、三四郎を散歩に連れていき、近くの額縁屋さんで母さんに描いた絵ができたので、それをいれる額縁を買うのだ。で、ケースにいれて、福岡にもっていきます。89歳の母さんへの息子からのギフト、喜んでくれるかな~? あはは。
※ ゲゲゲの辻郎、あはは。今日は筆を洗いました。
※ 夏の個展は、完全予約制です。新生堂でご確認ください。そして、画集、いよいよ、明日くらいから発売開始ですが、数かなりが少ない(2500部初版)ので、気を付けて、増刷ないかもしれないので。あはは。ご予約などは、こちら。
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https://www.teikyo-service.com/press/books/978-4-434-34119-9/