JINSEI STORIES
滞仏日記「父ちゃんの節約ランチ作戦、でもまいうー! きゅうりのキューちゃんも作った」 Posted on 2024/07/09 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、きゅうりのきゅうちゃんを作った。
これは、知り合いの大阪の人から作り方を教わった、大阪のある地域ではかなり一般的なおしんこらしく、たまにつくると、美味しすぎて、ごはんが進んで太りそう・・・。
でも、うまい。
パリで、日本のおしんこ、最高である。
リヨンで、二つ星レストランに行くという贅沢をしてしまったので、金融引き締め策的なランチを作った。でも、美味しいというものに、なんというか、星は関係ない。
きゅうりのきゅうちゃんに叶わないものがあることは、世界的なシェフさんでも、きっと知っている。ぼくも知っとる。キューちゃん、と書くべきか・・・。
あと、ソーセージも茹で、茹で卵+卵焼きランチを作って食べることにした。
大谷選手を見習い、なるべく卵の摂取を心がけておる。ぼくもあんな肉体がほしい。あはは。
ということで、きゅうりのキューちゃんの制作過程はこちら!
もうすぐ、日本の夏の陣(個展&引退ツアー)がはじまるので、走ったり、運動したり、健康を整えたり、しつつ、荷造りをしたり、引退公演の歌の練習をしたり、日記を書いたり、秋の個展の絵を描いたり、エッセイ教室の課題を読んだり、アトリエの片づけをしたり、穏やかながら、静かに過ごしているのであーる・ふぁーろめお。
昨日は、それにしても、我が在仏歴22年の人生で、もっとも驚いた日となった。99%、極右政党の国民連合が勝利し、パリは大暴動がはじまり、オリンピックが中止になるかもしれない、と思っていたのだから・・・。
(余談。左派連合の主張が今後反映されるとなると、最低賃金は日本円で月30万円くらいになり、年金も、64歳から支給されることになるのだとか・・・。)
マスコミも含め、大方の予想は一瞬で消え、その肩透かしのせいで、予想されていた暴動も大規模なデモもなく、パリは、ウソのように穏やかで静かな月曜日をむかえている。
人種差別や移民排斥をかつて訴えていた前進政党の流れをくむ国民連合に対し、フランス人はNOを突き付けた格好だが、それでも極右政党、3分の1の支持を集めているので、3年後、どうなるか、これは、まったくわからない。
ぼくも思えばフランスで生きる日本人なので、さて、どうなるのかなぁ、という漠然とした不安はあったが、ひとまず、それも、先送り・・・。
ただ、左派連合と与党がどうやって保革共存内閣を作るか、そこはかなり不透明で、ここから暫くはぎくしゃくが続く(政策が真逆なので)。
もっとも、オリンピックは無事に開催される運びとなった。(政府の人がそう言っていたので、大丈夫であろう。今はテロ対策を強化中だとか・・・)
※ これは、前の日につくった、鶏ごぼうごはん。で、ちょっと多めに創って、残ったものを翌日に、出す、節約ランチ作戦・・・。
※ おにぎりは、いつでも、お腹すいたら、食べられるように、しておく。
ぼくがトランクを持ち出し、荷物を詰めはじめると、驚いた顔の三四郎が、ぼくからいつになく、離れなくなった。個展&引退ツアー、すまん。
しかし、来年から、もうツアーもなくなるし、絵もストックが切れつつあるので、来年はフランスにいる時間が増えそうだ。だから、この夏だけ、我慢しておくれよ。
息子から、メッセージが入った。
「大学のお金、103ユーロ、税金、175ユーロ、貰いに行くけど、お金ある?」
「え? ええと、なんとかするよ」
ということで、息子がお金をとりにくることになった。
なるべく、食費をかけない、節約ランチで、がんばろう。
円安だからさ、えいえいおー!
※ いまここ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
昨日の選挙の時、フランスが一瞬、不安定になり、円高にふれて、やった、と思ったら、月曜日になったとたん、円がまた落下して、1ユーロ=174円に戻っていて、大方の予想を裏切って、冷水を浴びせられた格好の父ちゃんなのであります。子育てが終わるまで、どうか、ぼくが健康で、ちゃんと働くことが出来て、息子を支えられますように・・・。