JINSEI STORIES
滞仏日記「フランスは極右の国になっちゃうんですかとの質問。リヨンからお答えします!」 Posted on 2024/07/03 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、何度もここで書いていることだけれど、「フランスは極右の国になっちゃうんですか」と心配をしてくる日本の友人たちがあまりに多いので、もう一度いいますが、そうじゃない、のであーる。
極右政党、国民連合という言葉だけがメディアで独り歩きしていて(確かにextrême droite、の直訳は極右だが)、もちろん、もともとは、極右政党だったが、前の代表だった、マリーヌ・ルペン氏の頃から、ソフト路線に上手にシフトしだし、本気で政権をとる準備を続けてきたのだ。
その流れを見ての感じだと、過激なナショナリズムは避けようとしているし、柔軟な政策に軌道変更されており、国民の多くが、いわゆる極右という感じには捉えなく、なりつつある、というのが、現時点か、と。tとは、いえ、かなり右の政党だから、極端ではなくなった、という風に、認識してもらいたい。(イタリアのメローニ首相も極右と言われていたけれど、EUをけん引している)
現在のバルデラ党首は若干28歳の青年ながら、弁が立つので、保守層の人心も掴んだ。この人を前面に押し出した、マリーヌは、なかなか切れ者なのだ。
マクロン大統領が世界を飛び回り、グローバル化を中心に添えて動いてきたきたことで、逆にフランスの生活が苦しくなってきたと思う国民が増えて、年金問題とかもあり、その隙間に、ソフト化した国民連合が受け皿を作ってしまった、という感じなのだ。
外交はいいから、外のことばかりしないで、内政をちゃんとやり、国民の暮らしを楽にしてくれよ、と思う人々の不満をうけとっていることが、今回の根本にあり、これは、実は、日本でも起こりうることかな、と思っている。
なので、いわゆる過激な極右と思っているフランス人は昔ほど、多くないのが、実情かと。
で、確かにマリーヌのお父さんの時代(国民戦線と言ってました)は極右というべき存在だったが、マリーヌはその名前をも変えて、悪魔的に見えていたイメージの変更を上手に組み立てていった、結果の大躍進で、もし、ここで勝利をしたら、大統領はマクロンさんのままだが、内政を担当する首相はバルデラ氏になり、かなり厳しい国の状況になるだろうということで、株価とかにすごく影響が出ているが、その先のことはわからない。
友だちの一人は、オリンピックがなくなるかも、と心配している。
大統領と首相が別々の政治を目指す、状態になった場合、ようは、ものごとがスムーズに動かない事態になり、EUにも間違いなく、悪い影響が出るだろうと、・・・それでも、選ぶのフランス国民なんだよ、という「今」なのである。
もっとも、バルデラさんが首相になっても、即EU離脱とかユーロからフランに戻すということは考えにくい。
もちろん、保守的な政策へと、じわじわ、時代が昔へ戻っていくような感じになるだろうし、開いていた門がしまっていくことは予想される。
なので、反発する人たちが、仮に国民連合が勝利した場合、さらに大きな暴動などが起こる可能性もあって、7月7日からしばらくのあいだ、オリンピック期間とか、関係なく、デモ、暴動などが相次ぐかもね、という読みである。
もしも、オリンピックを観戦しに、パリに来る方々は、ちょっとだけ、気を付けてほしい、と書いておきます。
うまく言えないが、今月、フランスから、激震が欧州を揺さぶることは間違いないし、その暴風が、世界にどのような影響を与えることになるのか、・・・わかりません。
つづく
今日も読んでくれてありがとうございます。
とにかく、リヨン入りしたので、今日、7月3日、リヨンのローヌ川に浮かぶマーキーズでライブをやるから、その辺に住んでいる方がいらっしゃれば、ぜひ、穏やかな世界を楽しみにお越しください。
さて、お知らせです。
7月12日に、エッセイ教室をやります。文章を書くのが好きな皆さん、どうぞ、お気軽にご参加ください。
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ということで、この勢いで、リオンもお願いしますだ。
7月3日、リヨン、La Marquise
チケットはこちらから、どうぞ!
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