JINSEI STORIES
パリごはん日記「よい季節になった。夏の前哨戦、アペロの季節到来、人生を楽しもう」 Posted on 2024/05/16 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、日本では「アペリティフ」つまり、食前酒のことだが、まず、アペリティフ何呑む? みたいに言うことが多い。フランスでは「アペロする?」となる。
何がどう違うのか、というと、実は大きく違うのだ。
仕事が終わって、ちょっと帰り道にカフェにより、仲間たちと、軽く「アペロ」をやる習慣が昔からあって、スペインやイタリアにもあるので、欧州的な習慣だと思ってもいい。
これが意外と長くて、17時くらいから20時くらいまで、だらだらと続く場合がある。
とにかく、フランス人は、父ちゃんもそうだけれどおしゃべりが大好きなので、ワインを飲みながら、終わりのない会話をしつつ、飲んで、つまむ、のだ。
これが、日々のストレス解消になっているらしく、仕事終わり、
「アペロしようぜ」
というのが、みんなの当たり前だったりする。
ハッピーアワーとこれが重なっていることがあって、カフェ側もあえて飲みやすい料金に設定しており、場を盛り上げる。
で、夕食をちゃんと出す、レストランではこれはやらない。
カフェでも、夕食のためのテーブルにはフォークとナイフ、テーブルクロスが整えられ、ここではアペロはダメ、みたいな区別がなされている場合が多い。
なので、アペロを目指す人たちはテラス席で呑むのが、ふつう。
もっとも、フランスの割と若い20代、30代の会社員は、歩道で、ビール片手に立って、アペロをやっている。
しかも、ビールいっぱいに費やす時間がやたらと長い。
見ていると、ビールのパインツ一杯で1時間なんて人もざら。日本人だと冷えてないビールは受け付けないが、こっちは、関係ない。冷えてないビールでも、なかなか減らず、とくに、会話を楽しむのだ。
で、昨今、このアペロの流れに変化が出てきており、フランスもやっと近代化したというか、今時の若者は、ワインじゃなく、カクテルを好むようになってきた。
ちょっと前だと、キールというカクテルなんかが人気だった。カシスリキュールと白ワインで出来たカクテル、父ちゃん的には甘すぎて、ゲッという感じなんだが、みんな大好き。
これにシャンパンをいれたものを、キール・ロワイヤルと呼ぶ。
そういえば、昔のパリジャンは、パスティスをよく呑んでいた。アニス風味の薬草酒的なアルコールで、水で割ってのむ。これは、正直、おやじの世代の飲み物かな。
白ワインにハービーなスパイスをくわえたベルモットなんかも、人気。
でも、ここ数年、だんとつ人気なのが、スプリッツだ。
日本でも流行ってきているようだが、フランスのカフェ、夏のこの時期、みんな、とくに、パリジェンヌはスプリッツを呑んでいる。
イタリア産のリキュールのひとつ、アペロール(ビター系)をベースにプロセッコで割る派と、ペリエ+白ワインで割る派に分かれるようだけれど、要は、オレンジ色のすかっとさわやかなお酒ね、蒸留酒のスピリッツじゃなく、スプリッツ! プ、プ、プ!!!
もう、パリジェンヌはみんなこれ!
で、おつまみは、大したものはつまんでない。
オリーブ、チップスやナッツ、あとしょっぱい系のビスケットみたいなやつとか、ちょっと食べたい人たちは、みんなで、シャルキュトリーと呼ばれるハムセットを頼んでいる。
ここには、様々な生ハムにくわえ、パテなんかも混じっていて、かなりボリューミーなバカでかい、プレート。
あと、ぼくが仲間たちと頼むのは、クロックムッシュ! これを16等分にカットしてもらい、爪楊枝を指して、つまむんだけれど、わいわい、楽しいね。
こういうのをみんなでちょっとつまんで、でも、食事は家に戻って、質素にしている感じかな。
アペロであまりお金を使わないで、楽しい思いをして一日を締めくくり、家に帰って家族と軽く夕飯、というのが夏の時期のフランス人の一般的な夜の過ごし方かもしれない。
父ちゃんは、三四郎とキッチンでアペロなのであーる・ぬーぼー。
いろんな人生があって、いいじゃないか!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、スペインに行くと、ピンチョスつまみながら、呑んでますね。彼らはそのあと、夕飯ですからね。イタリア人も、アペロティーボとか、同じような習慣があって、人生の夕刻を謳歌しておりますな。あはは。アペロ、します? 今夕あたり!
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