JINSEI STORIES
パリごはん日記「父ちゃんの最終ライブを生前葬にはさせないと、有志たちが立ち上がった。男の冷やし中華」 Posted on 2024/05/12 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、パリ事務所のすぐ近くに、市営のサッカー場がある。
ここは誰でも使うことができる。仕組みはわからないが、24時間ドアが開いているので、早い者勝ちで使えるのかもしれない。隣にはバスケットコートもあるし、雨の日も使える卓球台もある。
で、いつも、サッカー好きの若者たちがサッカーをやっているのだけれど、(時々、消防士の人たちが消防車で乗り付けてやりに来たりする)、三四郎との散歩コースにあるので、近づきよく観察をしてみると、どうやら、元締めのような人間がいて、彼が人々をコントロールして、チーム分けし、ようは運営をしているようだ。
だから、白人も黒人もアジア人も子供も大人も、いろいろな人、ま、基本は20代の若者たちが元締めの指示に従って、サッカーをやっている、という健全な世界なのだった。
ところが、今日も三四郎とサッカーを見ていたら、ぼくと同じくらいの年齢の、見た目はもう少し老けた感じの、お腹はかなり出ているし、白髪だし、顎はかなり下がっているおじさんがやってきて、元締めと握手をした。持っていた携帯を元締めに渡すと、彼がリュックの中にそれをしまった。全員の携帯がそこに入っているのだ。彼が泥棒にとられないように、管理しているのだった。
「このおじさん、なんやろ」
と思ってみていたら、試合に参加したのだった。
ポジションはディフェンスで、ゴール前を守っていたが、かなりの足手まといだった。それでも、おじさん、何度かボールを奪いとり、果敢に走るのだけれど、パスは全部、敵チームに行くし、あっさりとゴール前は奪われるのだが、見た目不良のような若者たち、文句も言わず、おじさんにボールを回すのだ。おじさん、くるくる回転しながら、ボールを必死で追いかけていく。たまに、バックパスとか、やっている。サッカーが好きすぎて、おさえられない衝動から、ある日、元締めに、参加を申し出たのだろう。
フランスのこういう連中、実に心は広いのだ。中には、よく見ると、小学生風の子もいた。この子は、逆に、めっちゃうまくて、20代30代の大人たちの間をドリブルしていく。一度、おじさんとの直接対決があったが、阻止しようとしたおじさんの股の間を少年がけったボールが抜けて、ゴールへと向かう場面があり、笑った。
おじさん、10分くらい頑張ったが、足ががくがくになり、選手交代の指示が出されてしまった。ピッチ?を出る時、交代の選手と握手をしたおじさん、でも、その顔は実に清々しかった。
あはは。
パリは25度の真夏日で、サッカー見学は楽しかった。
おじさんの出番が終わったので、ぼくは三四郎と家に戻った。
こんなに暑い日は、冷やしラーメンに限る。
ということで、まずは、冷やしラーメンのソースを作った。
父ちゃんの冷やしラーメンのソースは、黒酢(50ml)で作る。醤油(50ml)、水(50ml)、ごま油(小さじ1)、マスタード(大匙1)、砂糖(小さじ1~2)ラー油(適当)を混ぜるだけ。めんつゆを大匙1程度、バランスでいれる。
トッピングするものは、なんでもいい。冷蔵庫にあるものを適当に、いれて、盛り付けるが、でも、煮卵はやはり必須であーる。
これが、サッカー観戦のあとに食べると、実に爽快なのであった。
たっぷりの胡麻をふりかけ、いただきまーす。
ぼくも、身体を鍛えて、あのおじさんみたいに、街角サッカーデビューを果たしてもいかな、と思ったが、見上げる三四郎に、やめとけわんわん、と言われてしまった。
あはは。
引退ライブまでは、我慢しとこ。
※ 煮卵、作りすぎた。大谷選手は一日15個食べるらしい。父ちゃんも頑張って食べるぞ!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
なんか、引退ライブがしずんでいる、とぼくの仲間たちが騒ぎ出し、このままじゃ、辻仁成のラストライブが生前葬になるということで、彼らが立ち上がり、宣伝や、キーイメージを作ったり、グッズを作成したり、応援団を結成しようという動きが出ています。回りのECHOESファンの仲間たちが黙ってられないと、めっちゃ頑張っています。最終日、ベースのトシも宮崎からやって来てくれます。皆さん、ありがとう。ECHOESのナンバーは10曲、ソロ時代の曲10曲、辻仁成の決定版ラストライブ、ぼくはは最高を目指しますので、お楽しみに!
ま、終わりよければすべてよし、ですからね、毎日が、自分の自己ベストなのだから、そういう一生を切に、生き切りましょうね。
で、父ちゃんが毎月、5のつく日に、5日、15日、25日に、楽しく語るラジオ・ツジビル、やってます。ラジオはいいよ、元気になるよ。
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そして、エッセイ教室のお知らせです。
それから、文章というのは、簡単そうで、実に難しい。じゃあ、どうやったら、楽しいブログや日記やエッセイがかけるようになるのか・・・。そこです。
そんなエッセイを書きたい皆さんへの、熱血父ちゃん先生の勉強会になります。
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そして、フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html
そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html
●7月13日ごろ、帝京大学出版会から、父ちゃんのアートブック「パリ情景、動かぬ時の扉」が出版されます。全176ページの画集&小説集です!!!
●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)