某月某日、光陰矢の如しである。
前のカルチエ（地区）にいたかわいいご姉弟、ニコラ君とマノンちゃん、覚えていらっしゃるだろうか？
NHKのBS番組「パリごはん」で1，2度出演してもらったことがある、当時7歳、小学生だったニコラ君、であーる。
ほら、父ちゃんと一緒に、ピザを作ったり、おにぎりの握り方を教えたご近所のお子さん！
親御さんが離婚をして、その後、両親はともに再婚をし、その家を行ったり来たりしていた、というのはマノンちゃんから、聞いていた。
ニコラ君は、聞きそびれたけれど、たぶん、中学4年生か3年生くらいじゃないか、と思う。マノンちゃんは、専門学校に通っているのだ。
お姉ちゃんのマノンちゃんとは、メッセージアプリで今も繋がっているのだけれど、ニコラ君、もうすぐ高校生なので、すっかりご無沙汰、なかなかね、子供のころのように、しょっちゅう遊びに来ることもなくなって、だから、びっくりしちゃった。
ま、当然である。
遊ぶことに忙しい思春期の青少年が、こんなロン毛のおじさんのところに来るわけがない・・・、来たら、怖いわ、あはは、と思っていたら、今日、来てくれたのだった。おおお、久しぶり～。
そして、大きくなっていた。
あんなに小さかったのに、今は、ぼくよりも背が高―い！
「何、やってそんなに大きくなったん？」
「あ、マーシャルアーツです」
「まーーーーしゃるあーーーーーーつーーー。そんな危険な格闘技やってるの？」
「ええ、まァ。けっこう、強いんですよ」
信じられない。豆ごはんのおにぎりを握った日が、かなり遠い昔のようじゃないか。
そういう、つもり話もいろいろとありーの、父ちゃん、二人のために、ごはんをこしらえてやったのだった。
※ 番組をご覧になっていないみなさん、豆ごはんのおにぎりの回の日記、どうぞ！
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https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-1737/

※　フランスではこの豆（グリーンピース）が、プチポワと呼ばれ、がけっこう高級な扱いなのである。

三四郎が、ニコラのことを覚えていて、尻尾を振っていた。
前に、一度、ここに引っ越したばかりの頃に、来てくれたことがあって、その時、三四郎がぼくのケーキをこっそりと食べやがって、そうそう、あの日、ニコラがいたのだった。
「あ、ケーキ食べる犬だね」
と言った。
「いやいや、普段は食べないけれど、そんなことあったね」
「ムッシュ・ドロール（変なおじさん、という意味。ぼくのあだ名なのであった）、この子は大きくならないんですよね？」
「ま、もう成犬だから。三四郎には、学校もないし、ずっとこのままだよ。ところで、二コラは、勉強しているの？」
マノンが笑った。
「この子、スペイン語、赤点だったんです」
「ありゃあ」
「だって、スペイン語なんか、どこで使うの？」
なんか、声が太くなって、いや、それだけじゃなく、鼻の下にちょび髭、たくわえているし、香水もまとっているし、色気だして、めっちゃ気になってしょうがなかった。
「パリごはん」に出て貰った時は、本当に小さな少年だったのに、光陰矢の如し、今や、見上げる髭男爵なのであったーまん。
ご両親が離婚をして、家庭環境が変わり、フランスの離婚制度に従い、その子供たちは、双方の親の家を毎週交互に行き来しないとならない。
そんな生活を、もう、数年、続けている。お父さんの方には新しい子供が登場し、その、お兄さんの役目も担っているのだ、とか。
フランスでは、離婚後に、再構成された家族のことを「複合家族」と呼んでいる。
つまり、ニコラには、お父さんの方の新しい家族と、お母さんの方の新しい家族が二つ、存在していることになる。
「ママも今、お腹が大きくって」
「えええ！？　まじか」
「うん、だから、ま、ぼくは複雑。マノンは一人暮らししているから、未成年のぼくだけが、行き来しているんだ」

※　大きくなったニコラ君に抱かれる三四郎。この安心しきった、態度・・・。

二人のために、日本のハンバーグ定食を作ってあげることにした。
フランスには豚ひき肉というのがないから、普通の豚肉の三枚肉を包丁でたたいて、なんちゃって豚ひき肉を作らないとならないけれど、牛豚あいびき肉で作った方が、ハンバーグは美味しくなるもんね。
ぼくがキッチンで、料理をしていると、ニコラがやって来て、
「前は、よく料理、教えてもらってましたね」
と言った。
「ああ、そうだったね」
ハンバーグをこねているぼくの手元を見ながら、ニコラは言うのであった。
「実は、マノンには内緒なんだけれど、ぼく、いつか、料理人になりたいなって」
「まじか」
「うん。ドロールさんの影響かな。家を行き来しているうちに、自分のごはんは自分で作ることを覚えたんだ」
「あ、なるほど、でも、大事なことだよ」
そこで、ぼくは日本風ハンバーグの作り方を教えてあげたのだった。
「そっか、隠し味に、醤油をいれるんですね。なるほど」
「ちょっと牛乳をいれると柔らかくなる」
「また、習いに来ようかな、料理」
「まじかよ、もちろんだよ。夏までは事情があって、パリにいるから、いつでもおいでよ」
ちょっと時間がかかったけれど、お皿にハンバーグを載せ、余ったチキンカツもあったので、揚げ焼きをして添えてあげたのだった。
とってもジューシーにできたので、おいしい、おいしい、と言いながら、姉と弟は、全部平らげてしまった。
ニコラは、しっかりお替りまでして、・・・なんか、久しぶりに親戚のおじさんになったような幸せな気持ちになった、父ちゃんでありました。
「また、いつでも、遊びにおいでね」

※　美味しくできました。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ニコラ君ももうすぐ成人だなんて、信じられないのであります。子供の成長は早いですね。どんどん、大人になっていく、彼らですが、ここからまた新しいつながりが始まりそうです。次に遊びに来るのはいつになることでしょう。ほんと、子供と犬猫にだけは愛される父ちゃんなのでありました。あはは、嬉しかった～。


さて、さて、日本での引退も決定したので、東京と大阪公演、これで当面、見納めになりそうですね。生涯、最高のライブにしますので、お付き合いください。
・東京3DAYS公演
7/30（火）ヒューリックホール東京
7/31（水）ヒューリックホール東京
8/5（月）ヒューリックホール東京
・大阪公演、ワールドツアー千秋楽！
open18:30/start19:00
8/7（水）フェスティバルホール大阪
open18:00/start19:00

Design Stories先行
受付期間:4/6（土）10:00～4/19（金）23:59・抽選
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https://w.pia.jp/s/jinsei24ds/
※デザインストーリーズ先行発売でーす。一般発売は５月です。

さらに、、、、
フランスツアーが６月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●６月３０日、パリ、Le Zebre　チケットはこちらから、どうぞ！
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

そして、７月３日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に！笑。
チケットはこちらから、どうぞ！
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

●７月２０日から７月２８日まで青山・新生堂画廊にて、個展！
●９月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。（こういう世界各地のフェスは今後もやります。これも決まっているので、やります）
●４月１９日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator