JINSEI STORIES
息子の料理教室「今日は息子君がナビゲーションします。世界最強ボロネーゼの作り方」 Posted on 2024/04/08 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、パパ、じゃあ、そろそろ料理をしようか。
ボロネーゼは煮込み料理だからね、時間をかけることがおいしさを引き出す一番の方法なんだ。
材料は買ってきたよ。
右岸にあるイタリア食材スーパー「イータリー」で、全部揃えた。あそこ、とっても楽しいね。なんでもあった。
今日は、だから、スパゲッティではなく、この太いパッチェリというパスタを使うね。
ゆで時間がわからないから、でも、たぶん、だいたい14分かな、途中で、確かめつつやればいいよね。
あ、玉ねぎ、ある?
ないのか、玉ねぎ、いつもあるから、買わなかった。
でも、玉ねぎくらい、なくても大丈夫。かわりに、セロリとニンジンがあるから。
ボロネーゼは、本当はトマトはいれないんだって、それにお肉も仔牛らしい。
でも、ぼくは牛ひき肉と、それからこのピリ辛の豚のチョリソーのリエット(ソーセージ)をちょっと使う。ここ、息子流なんだ。
あと、トマトピューレとトマトペースト、そして、赤ワインを使うね。
とにかく、ボロネーゼは煮込み料理だから、煮込む時間が命になるので、パパ、覚えておいてね。
じゃあ、まずは、セロリとニンジンを細かくカットしていきます。
こんな、風に。
「手つき、すごいね。いつも料理をしている人の包丁さばきだね。どこで、学んだの?」
パパ、ぼく、毎日、自炊しているから、こんなの当たり前だよ。でもね、実は、ユーチューブで学んだ。便利だよね、ユーチューブ。
にんにくをオリーブオイルで香りだししたら、まず野菜を炒めるんだけれど、ニンジンとセロリが、心を打ちとけるまでにちょっと時間がかかるよ。
しんなりしてきたら、牛ひき肉を入れて、へらで混ぜてね。
そこに、赤ワインをいれて、ぐつぐつやっていく。
牛ひき肉と野菜がハーモニーを奏で始めるのがわかったら、そこに、トマトピューレめを流しいれ、トマトペーストも加え、大事な塩胡椒をし、ここから、じっくりと煮込んでいくの。
「豚のピリ辛のリエットは?」
「もう少し、あとで。あ、これね、バゲットにぬって食べてもおいしいよ」
「へー、どこで学んだの?」
「これはね、フランス料理だとよく高級店とかでソースに入れて使うんだ。お肉なんだけど、肉の風味を使うソースとかに」
「ああ、そういえば、友だちのチャールズがよく、チョリソーのソースを作ってる」
「そう。そういうの。でも、これを入れると入れないではボロネーゼのコクがぜんぜん違ってくるの。バゲットに塗るから、ワインと食べてみて」
「わ、ほんとだ。辛~、でも、うまーい」
じゃあ、ここで、この辛いチョリソーのリエットをいれるね。適量だけど、ぼくは好きだから、ちょっとだけ、多めにいれるよ。
じゃあ、あとは時間が料理してくれるから、音楽でも聴いてようか。
※ 半生タイプのチョリソーソーセージだと思ってもらえたらいいです。時々、売っているので、半生のチョリソーを使うのも手です。イタリア人の友だちは、硬いチョリソーをみじん切りに使っている人もいました。ぜひ。
※ 半生タイプなので、そのままがゲットに塗ると、うまいんですな。笑。
※ この至福の時間。父ちゃんは、赤ワイン飲みながら、後ろでニヤニヤしておりました。幸せでした~。
※ トマトピューレ、鮮やかな。
よし、そろそろ、いいかな。はい、味見をしてみる。
うーん、おいしい。
あのね、ここで、うまみを引き出すために、ぼくは、ちょっとだけ醤油をいれるんだ。小さじ1とか、そうすることで、イタリア料理では出せないうまみがでる。大豆の力だね。
パッチェリを茹でて、お皿に盛ったら、ボロネーゼソースをかける。
そして、最後に、イータリーで買ったパルメジャーノ・レジャーノの24か月を削って、はい、ボナペティ!!
「うわ、めっちゃ、うまいやん」
「でしょ」
「ひゃあ、ボルドーの赤ワインにあうね」
「ぼくは飲まないからわからないけれど。パパは大使だからね、飲まないと」
赤ワインで作ったボロネーゼだから、赤ワインとの相性はきっといいだろうね。ぼくは、お酒は基本好きになれないんだ。ペリエで十分。笑。
でも、パパが幸せそうに飲んでいるの、すごく好きだな。
いつか、ぼくが結婚をして、奥さんが見つかったら、パパに紹介したい。
そして、子供が生まれたら、ノルマンディの家までみんなで遊びに行くのが夢なんだ。
でも、パパがおじいちゃんになるのは、嫌だなァ。
パパには、おじいちゃんになってもらいたくない。
ずっと、そのままでいてもらいたいんだ。
※ いい感じです。めっちゃ、おいしそう。
※ 手つきがね、もう、プロ!
※ ひゃあああああ。ボナペティート!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
今日は、息子君が、ボロネーゼをつくりながら語ってくれたことをそのまま、文字におこしました。最後のところは、ちょっと衝撃的でしたが、この子はぼくに変わらないでいてほしい、と思っているのだな、と思ったら、ぐぐ、泣きそうになりました。45歳の年の差があるので、いつまでも、若々しい父親でいてほしい、という願いなのでしょう。がんばらなきゃ。今回のライブのポスターは彼の親友のルイ君がパリのスタジオで撮影したものなんです。それをルイにあげたいから、と1枚、持って帰りました。幸せな時間でした。完璧な料理男子ですね。外食はほぼしないということなので、お金が減らない、とわけのわからないこと言うておりました。あはは。
父ちゃんのワールドツアー2024がスタートします!!!
・東京3DAYS公演
7/30(火)ヒューリックホール東京
7/31(水)ヒューリックホール東京
8/5(月)ヒューリックホール東京
・大阪公演、ワールドツアー千秋楽!
open18:30/start19:00
8/7(水)フェスティバルホール大阪
open18:00/start19:00
Design Stories先行
受付期間:4/6(土)10:00~4/19(金)23:59・抽選
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https://w.pia.jp/s/jinsei24ds/
※デザインストーリーズ先行発売でーす。一般発売は5月です。
さらに、、、、
フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html
そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html
●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(詳細、待って)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟
https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator