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滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」 Posted on 2024/03/08 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ギャラリーTに関係者を招いて、お披露目式が行われたのだ。
そこに、世良公則さんが松山から駆けつけてくれた。南こうせつさんが主催するイベントに出演された、その足で・・・。(こうせつさんが、辻君によろしく、本当によろしくね、と言ってくれたこと、めっちゃ、伝わっています! こうせつさん、お元気ですか?)
お疲れなのに、本当に、ありがたいことであーる。
世良公則さんといえば、映画「中洲のこども」に出演してくださったことが大きなご縁で、親交が深まっている。
ぼくはあまり音楽業界に親しい知り合いがいない。世良さんは、本当に数少ない話の通じる先輩だといえる。
いつもいろいろなことを話すが、今回は、世良さんが焼いた陶器(抹茶の器)を頂いた。これが、実に美しい出来栄えで、思わず、えええ、すごー、と声が飛び出した。
やっぱり、ただものではないと思っていたが、こんなにすごいレベルの陶芸をされていた、とはね、ううう・・・。
陶芸についての深い含蓄から、日本の文化を大切にしていきたいという精神世界のこだわりについてまで、実に有意義な話ができたのであった。
世良さんの作品、御覧いただきたい!

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」

※ 名古屋で個展があるそうです!

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」



世良さんはオープニングパーティ開始より、一時間前に来て頂き、普段なかなか話せないので、静かな時間帯に、様々な話をしたのだけれど、一番、印象に残ったのは、
「ぼくは後輩たちから、怖がられていたんだよ」
という言葉であった。
37歳の時に、今のマネージャーさんと出会い、「世良さんは死ぬ時、何者と言われたいの」、と問われたのがきっかけで「歌手だよ」ともどし、そこから人生が変化したのだとか。
たくさんの映画やドラマやCMに出ていたのだけれど、一度、歌一本に絞って、歌う人生に戻した、のだとか・・・。なるほど・・・。
ここ最近、再び、俳優をやるようになった、その流れの中で、ぼくの映画に出演してくださったのであーる。
「でも、辻くん、ぼくは、実際、怖くないんだよ」
ロックの世界って、先輩は、骨太じゃないとならないみたいな神話がある。
ぼくは、普段の優しい世良さんしか知らなかったから、この笑顔を見て、怖いと思う人がいるのか、と思ったけれど、印象というものは、そういうものかもしれない。
「昔はね、ギター担いだだけで不良って言われた。バット持っていると、甲子園頑張って、と声援が飛ぶのに、ロック少年は随分と色眼鏡で見られたものだった」
ぼくは、世良さんがYAMAHAのコンテストで優勝したのを知って、いいな、こういう人生、ぼくも生きてみたい、と思った後輩の一人だったけれどね・・・。
世良さん、めっちゃ大きくて、いくつなんだろう?、年齢を感じさせない貫禄とかっこよさがある。
そういえば、ぼくは河島英五さんも大ファンだったけれど、大きくて、強そうな、先輩って、やっぱ、憧れるなァ。ぼくにはいつも欠けている部分・・・。父ちゃんは、小さな巨人を目指すか、あはは。
いい先輩は、みんな、悪口言わないし、心優しい巨人たちなんだよね。ぼくは口の悪い先輩とはそもそも付き合わないから。
知らんど、あはは。

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」

※ ここで開催した文化サロンに名を連ねる方々の芳名帳、みたいな。様々なジャンルの第一人者たちが、ここで、未来を見つめていくのであーる。

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」



ということでギャラリーTには各方面からメディア関係者が集まり、しまちゃんの会社の広報部長のマダムAさんが素晴らしいスピーチをして、ぼくはダンチューの植野元編集長と「ダンチューでござる」というユニットで漫才をやって喝采を浴び、ボルドーワイン協会から頂いたワインをみんなで楽しんで、ギャラリーTの船出を喜びあったのであった。
ということでギャラリーTは船出したので、ある意味、ぼくの役目は終わった。
たくさんのメディアの方々をご招待し、デザインし、サービスし、やりきった。
ここからは、時々、西麻布文化サロンをやって、日本文化の衰退を防ぐ潤滑油になって、ここから日本文化の新しいルネッサンスをスタートさせたい、と思っている。
いいものを作った。
ぼくが作ったのはここの空気、エアーである。
明日からは、マダムAさん、ソムリエの矢吹さん、ギャラリーT管理人のユゴーさん、料理長の御簾さんに、ゆだねたい。
みんな、頑張ってね、じゃあ、さようなら。

滞仏日記「世良公則さんとギャラリーTのオープニングパーティで語り合った」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
いやあ、最初はタイタンの宿から出て行かないとならなくなって、しまちゃんがここに住めば、という話しからはじまり、ギャラリーTが誕生したのですが、ぼくの東京拠点にはなるのかねェ~。ここで絵を描くわけでもないし、寝泊まりもしないし、現在、ぼくは都内の別のホテルにいるし、でも、かわりに、ここにいつか、ぼくの絵が飾られることになり、ここの運営の方々が末永くギャラリーTを守ってくれるのであろう、ということは間違いないように思うのであります。あはは。

父ちゃんの昨今・スケジュール

●小説「十年後の恋」集英社文庫版、重版!
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月28日、ボルドー・ライブ、予定。(詳細待って)
●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ。(詳細、お待ちー)
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(詳細、待って)

https://www.instagram.com/japan.stories?igsh=MTA2dWFjODdsZnNrZA%3D%3D&utm_source=qr
新しいデザインストーリーズのインスタも再始動! 
https://www.instagram.com/designstories_paris?igsh=cHlpdGFvdWkyYmdj&utm_source=qr
・それから、ぼくのなりすましが、ファイスブックで暗躍していて、問題が起きている、というので、皆さん、フェイスブック、ぼくはやっておりません。なりすましには、近づかないように、友だち申請とかしないでくださいね。要注意です。
お知らせ、以上です。

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