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退屈日記「東京でうまいものを食べ歩く。今年最後の日本滞在満喫、前編」 Posted on 2023/11/19 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、まだ、東京に着いたばかりだが、キッチンに立ち続けている。
でも、自分が作ったものは食べたくない。もう食べ飽きた。それにせっかくの日本だから、日本食が食べたいじゃないか。
ギャラリーTの一階にあるレストランで御簾総料理長(ギャラリーTの責任者)のサバ塩焼きを食べたり、ちょっと足をのばしてヒルズで鰻を食べたり、赤坂で塩昆布つゆの蕎麦を食べたり、自分は欧風料理を作りながらも、和食店荒らしを繰り返している食い意地のはった父ちゃんなのであった。
だって、パリは本格的和食店が少ないし、あっても食材が違うから、やはり、和食は日本で食べるに限るのだ!
昼、夜、昼、夜、と前もって、リストアップしておいた料理店を急襲し、一人で、盛り上がっておる変わり者。
今回、しまちゃんとはもう会う予定なく、友だちもいないので、東京でも一人飯、なのだった。
もっとも、スタッフさんたちと、うどん、焼き鳥屋には行ったが、もともとぼくは一人で食べるのが好き。
美味しいものを食べている時に、横から話しかけられるのが、苦手なのであーる。
ラーメン屋も一人、寿司屋も一人、鰻も、何もかも一人で出かけ、食べている。たまに、気の合ったスタッフ、天野、山下同行・・・。
普段、2食しか食べないが、時差ぼけも手伝って、3食、食べている。笑。
まだ、東京について2,3日というところだが、すでに、4店舗の食べ歩きをした。

退屈日記「東京でうまいものを食べ歩く。今年最後の日本滞在満喫、前編」

※ この右下になすりつけているものが、その、生山椒なのであーる。これを日本酒とやって!!!最高だから。鰻は、歯ごたえのあるタイプだが、ごはんが逆に一瞬蒸しており、それが、歯ごたえ鰻と、不思議な相性。支配人、イイ感じですよ。楽しい人。



ヒルズの黒長堂という店の、鰻重についてくる、人の好さげな店長がすりおろした生山椒は食べる価値がかなりあった。
というのは、それだけを食べに来るお客さんもいるという。
店長が毎日、自ら擂るという生山椒は、粘り気のあるジュレ状で、それを酒の肴に、おすすめの日本酒を飲む、これがたまらない。
鰻は、蒸さない珍しいタイプで歯ごたえがある。これも、面白かった。ランチなので、他よりも安く頂けたのも納得であった。
赤坂に、浅田という料亭がある。料亭というと高いイメージがあるのだが、ランチだと、お安く食べることが出来る。
お蕎麦ご膳というのがあって、3500円(調べてね、蕎麦ご膳)だったかな。
いろいろお膳にのった料理が出て、最後にお蕎麦が出るのだけれど、ここ、石川県出身の料理長が作る料理は、3500円では食べられないマジで美味しいので、たまに顔を出すが、最後の蕎麦のたれが、透明の塩昆布つゆが超絶品で、これには驚き、とにかく、もう一度食べたいと思った、いや、すすりたいと思った蕎麦つゆなのであった。
石川県、ぼくはここでしか接点がないが、デザートの蒸し羊羹になんといちじくが入っていて、苦手な和菓子なのに、完食、雰囲気も空気感も最高で、ぼくはカウンターでこっそり食べるのが好きなのである。個室は個室料金かかるので、・・・。
パリからの帰国命令が出る可能性があるが、もうちょっと滞日し、美味しいものを漁って帰りたい、和食好き父ちゃんなのでありました。

退屈日記「東京でうまいものを食べ歩く。今年最後の日本滞在満喫、前編」

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※ これだけ食べることが出来て、3500円。蕎麦ご膳、最高です。五段弁当が5000円くらいで、これも美味い! 行く場合は、ネットのメニューには載ってないので、お店で金額を確認してから、必ず行ってくださいませ。

退屈日記「東京でうまいものを食べ歩く。今年最後の日本滞在満喫、前編」



あと、深夜にうどんが無性に食べたくなって、ネットで調べて行った、麻布うどん、という店の「こぶ締め炙り明太子」にやられた。うどんを頼んでいたのに、白ご飯を追加した父ちゃん。絶品でした。シェフ、も最高。マスターも優しい人。本当に、おすすめの味です。

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後編につづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ラーメンも深夜に行ったし、ロブションでパンも買ったし、次回は新宿方面(個展期間中につき)で暗躍したいと思っています。おすすめのお店があれば、教えてね。ランチ狙い、です。あはは。

退屈日記「東京でうまいものを食べ歩く。今年最後の日本滞在満喫、前編」

そして、今日も、ギャラリーTのチェックをする父ちゃん仕事人でした。あはは。

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