JINSEI STORIES
献立日記「冷え込む今日の夕飯に!あたたまる美味しいスープを作りましょう!」 Posted on 2023/11/16 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、急に、寒くなってきたのであーる。
こういう季節に食べたいスープ献立を、今日は、ご紹介いたいたーい!!!
温まる、スープ、大特集なのだ。
さて、日本だと、「スープを飲む」と言うが、フランスでは「スープを食べる」と言う。
というのも、フランスのスープは、飲むというよりも食べるというべき、しっかりとしたものが多い。
ただ吞むスープだけじゃなく、これからは、フランス人のような一品としてなりたつ、スープをおかずにする時代が来るに違いない。
そこで、今日は「食べるスープ」をご紹介するのだ。
しっかりとした栄養と存在感があり、添えられるお吸い物やみそ汁の立ち位置とはちょっと違って、メインのような扱いの時もあり、ぼくのような胃の小さな人間には、一汁で十分に腹いっぱいになるメイン料理なのである。
たとえば、20年前、渡仏してまもなくだったが、カフェに入り、オニオングラタンスープを注文したら、ココット鍋の中にオニオンとチーズのこってりとしたスープが入っており、蓋をするような感じで、パイ生地で覆われていた。
濃厚、ボリューミー!!!
スプーンでそのドーム状のパイ生地を崩しながら、食べたら、もうそれ以上何も食べられないくらい満腹になったことがあった。うまかったぁ~。
あの超絶な美味さと破壊力を前に、こりゃあ、確かに、飲むじゃなく食べるだな、と納得したものである。
それから今日まで、20年、ぼくはフランスのスープはもちろん、ここパリで味わうことのできる世界中のありとあらゆるスープを研究し、愉しんできた。
パリはご承知の通り、世界の食の中心地のひとつであり、とにかく、ここでは世界中の美味しいものが、なんでも手に入るし、またなんでも食べることが可能なのだ。
アジア、アフリカ、中近東、南米、アメリカ、ありとあらゆる地域の美味しいがここに集中しているので、当然、スープだって、そのバリエーションは半端ない。
ぼくはパリで、むしろ、世界の味を学ぶことが出来た。
その辺のことはこのデザインストーリーズでも書いてきたけれど、特に、スープは胃袋を癒し、体調を整え、冷えや暑さから、心と身体を守ってくれる、本当に、よくできた健康維持食なのである。
根菜のスープ、魚介のスープ、お肉のスープ、ハーブのスープ、ニンニクや生姜のスープ、牛乳のスープ、どれも最高に美味いし、枚挙にいとまがない。
しかし、どれも事実、きりがないくらいに美味しいし、深い文化と通底している。
世界各地の伝統や土着的文化や歴史がその土地の最高のスープを作り、それがフランスにたどり着いて欧風にアレンジされ、よりおいしくなって、新しく生まれ変わっている、と思って頂きたい。
ぼくの日常生活において、スープは欠かせない。
どうしてもスープが飲みたくなる日というのがある。
胃が疲れている、気持ちもちょっとだるい、さっと胃に流しこんで、栄養を付けたいから、身体が求めているのである。
そういう時に、スープというのは最適なのである。
思えば、世界中にスープ料理があるのだ。
人間がスープに求めるものは、身体の癒し、長く生きたいという証なのである。
それでは、めんどくさがり屋さんのためのスープレシピをひとつ、ご披露しようじゃないか!
冷蔵庫にある野菜を全部使う。
根菜は各、5mm四方にカット。あとはお好きにカット。
鍋に潰したニンニク、オリーブオイルを回し掛けし、香りが移ったら、香味野菜を中心に炒め、ある程度火が回ったら、人参とかズッキーニなどをいれる。カレーを作る感じだ。
順番は火の通りにくいものから入れてね。
水をひたひたになるまで入れ、そこに、チキンブイヨン(ビーフブイヨンでもいいですよ。なんでもいいです)を一つ放り込むのだ!
軽く塩胡椒をして、45分から一時間、弱火でコトコトで、完成となる。肉とか、なし。笑。
疲れた時はこれで十分なのだ。
ようはミネストローネスープのようなもの、なのであーる。お好みでパルメザンチーズとか、いいねー。
辻家で作られるすべてのスープは、ぼくが息子と旅をした世界各地で出会ったスープたちを基にして作られている。
それらのエッセンスをパリの自宅に持ち帰り、何度も試行錯誤を繰り返しながら、作っては食べ、食べては研究し、現代人の胃袋と心に充足感を与えられるようなものへと、アレンジを続けてきた。
寒い、今日のような日だからこそ、美味しいスープを飲みましょう!体と心を温めましょう!!!
スープを飲んで、若返り、健康で長生きをしてもらいたい。
スープ、万歳!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
これから暫くは、寒い日が続くので、確実に温まる「生姜スープ」で乗り越えて生きましょう。オリーブオイルでにんにく、たっぷりの生姜(かなりたっぷりの生姜、摺ってもいいです)、適当な野菜を炒め、日本だったら、茅乃舎のダシパックを破って、中の顆粒をぶちこみ、お湯でひたひたにして、沸騰させ、野菜がしんなりしたら、ぁ好きな味に調整して、完成、即席ですが、美味いですよ。生姜で身体が温まりますよー。
父ちゃんの冬の元気の源が、この生姜スープ、なのです!!!