JINSEI STORIES
滞仏日記「東京拠点計画ギャラリーTのエプロンが出来てきた!かわいいのだ」 Posted on 2023/11/16 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、なんとか元気でやってる父ちゃんのもとに、ギャラリーT事務局長A女史から、そこで使用することになる、エプロンの写真が届いて、ニヤっとなったのであった。
うほ、これは可愛い~。
A女史に、ギャラリーTのロゴを依頼されて、送ったら、その数日後にこれが届いたのだった。おお、しかも、表札まで、出来ておる、着実だぁ~。
しかも、かっこいいじゃないか。
歴史的な建物の、とある階に、ひっそりと掲げられた表札。
まだこれは仮のものだというのだが、なかなか地味でしかもアングラな存在感を放っている。
同じ階には、居住されている方々がいる一方、女性専用マッサージ屋さんとかもあるようで、寛容なレジデンスの、そんな一角で開店するのであーるぬーぼー。☜出た。
ま、試験運転を経て、グランドオープンを3月初旬にしたいとぼくらは考えており、あとは、しまちゃんがどう判断するか、なのだが、ま、問題なかでしょう・・・。
ぼくとしては、伊勢丹の個展の直後くらいに、ギャラリーTがオープンしてくれたらいいなぁ、と思っているのであった。
さて、どうなることやら。
それはいいとして、ギャラリーTはそんな同世代の友人、しまちゃんと一緒にはじめたプロジェクトなのだった。もちろん、父ちゃんもそこでシェフをやるわけだが、ぼくはノルマンディ在住なので、いろんな人たちが活用してくれるようなレンタルキッチンとしても活用されそうなのである。
あ、そうだった、エプロン、忘れてた。こちら、見てください。
で、父ちゃんがそこでシェフをつとめる時は、ギャラリーTは「ふらんすかぶれ」(FranceKabret)という名前でやることになった。
シェフによって、名前を変えられる、ゴールデン街の日替わりバー的な、そして、都会の隠れ家的な画廊キッチンになればいいよね、という話になっている。
ふふふ、父ちゃんが描いた画廊キッチンのイメージ画なのだ。どうじゃ。
※ ギャラリーTの玄関は写真ギャラリーになっている。こんな懐かしい写真が飾られていたりするのであーる。
ちなみに、一緒にそのその画廊キッチンを盛り上げていく謎の男がいる。
ニヒルでハンサムなソムリエ、ヤブキ、だ。ぼくがシェフをやり、ヤブキがソムリエをつとめる。
おっと、紹介したい。ヤブキというのはぼくの年少の仲間で、45歳、俳優座の役者さんみたいな感じの優男なのだが、メキメキと人気を集めているソムリエで、今、父ちゃんのいちおし!
ヤブキは部下がたくさんいるが、彼は優し過ぎて、命令が出来ない男なのである。
たとえば、料理会などのあと、責任者のくせに、彼はいつも、お皿を洗っている。
「そんなの自分の部下にやらせればいいじゃん」とぼくが忠告すると、俯いてニヒルに笑い、いいえ、そんなこと命令できません、自分でやります、という返事なのだ。
どうしようもないくらいに優しい奴なのである。
経営者には絶対なれないタイプかもしれない。
ヤブキ、ちょっと、顔を見てやってほしい。
今後、父ちゃんのブログで大活躍間違いない男なのであーる。
男の人って、だいたい偉くなると、ああしろ、こうしろ、と命令をする。ところがヤブキはそれが出来ない。彼の部下のユゴー君がある日、言った。
「ヤブキさんが、怒ったり怒鳴ったり感情をぐずらせたところを見たことがありません」
ほー。そういうやつもいる。彼は運営するレストランのボスなのだが、アルバイト君がするような片付けを自分が率先してやり、アルバイト君を先に帰すような優し過ぎる男なのである。
威張り腐る人が多い世界で、こんな男もいる。
ぼくがみんなの前で、オヤジギャグを連発していると、遠くで一人俯いて、我慢するように、笑っていたりする。皆さん、よろしくなのだ~。
このヤブキと来年、数回ほど、「東京ワイン優男の会」をやることにしているのだ。ワイン好きな皆さん、こぞって参加してほしい。
ということで、着々と進んでいる父ちゃんの東京拠点計画なのであった。
来年が楽しみであーる。
※ 部屋番号の上に、さりげない表札・・・。地味だ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
伊勢丹アートギャラリーの絵を、日本に向けて送り出しました。全38点、日本に到着しておりますので、あとは開催をまつだけです。あゝ、来年、そうとう、忙しくなりそうだが、倒れないように頑張らないとね。笑。