JINSEI STORIES
滞仏日記「さんちゃんがいない!三四郎不在がもたらす喜ばしい点、喜ばしくない点」 Posted on 2023/10/21 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、昨日、三四郎をジュリアに預けたことで、我が家に平和と悲しみが訪れている。
あゝ、三四郎がいなくて楽だわ、と思うことが実はたくさんある。
けれども、あゝ、さんちゃがいない、と悲しくなることもまけないくらいたくさんある。
さて、今日はそんなお話である。
ロンドンライブに向けて、父ちゃんは朝7時に起床、9時には愛車でスタジオへと向かった。
今日は「ゲネプロ」(通し稽古)の日なのであった。
普段であれば、朝9時と言えば、三四郎のお散歩の時間だが、さんちゃん、いないので散歩はなし。
さんちゃんのベッド、(風呂場の一角にさんちゃんお気に入りのコーナーがあり、そこが彼の寝床になっている)を覗いたが、おお、いない。
ううう、どこにもいないじゃないか。
いつもいる子がいないと、こーんなに、寂しいのである。
しかし、同時に、朝の散歩、夕方の散歩、夜の散歩は、おしっことうんちをさせないとならないので、その始末とかもあって、本当に面倒くさいことばっかりで、それがない分、気楽といえば気楽なのである。
犬は当然生きているので、365日、子育てと一緒、まったなしの休みなし。
外でおしっこをするように躾けているので、外に出さないと膀胱炎になってしまう。
なので、自分の体調が悪くても、雨でも、雪でも、泣きたい日でも、どんなに忙しくても、三四郎のおしっこ散歩はこの二年休んだことがない。(日本で仕事の時を除く)
しかし、今回は「ロンドンライブ期間」になるので、一週間程度、三四郎はジュリアに預けることになった。
三四郎は、今、同じように預けられている他の犬たち数匹と共同生活をおくっている。
(これはこれで彼にとってはとっても大事な合宿で、ジュリアは毎日、車でバンセーヌの森やヴェルサイユやフォンテンブローの森まで犬たちを連れて行き、数時間、放し飼い。マジで、帰って来るとさんちゃん、ぐんと引き締まり、精悍になっている)
「ムッシュ、また、おやつあげすぎですね。三四郎、めっちゃ太ってますけど」
「え、ほんとう?」
「おやつを与えれば、喜ぶ。だから与える。三四郎は貰えると思うから、いつもおねだりするようになる。悪循環です。この子を長生きさせたいのであれば、太らせたらダメ。わたしに任せて、一週間後をお楽しみに」
ということで、三四郎はジュリアの合宿で他の犬たちとまたしても森を走り回っているのであった。
ジュリアから、一日に数度、ビデオが届く。
あゝ、元気そうだ。
やっぱり、犬友だちとの関係も大切なのである。
ブルドッグと取っ組み合いをしているビデオが届いたが、決して、負けていなかった。
普段、おとなしいさんちゃんだけれど、犬には犬の世界があって、そこでは頑張って、ミニチュアながら、ダックスフント~らしく、奮闘~しているのであった。笑。
三四郎がいないと、ご飯を与えなくていい、散歩にいかなくていい、遊んであげなくていい、遊び相手になってあげなくていい、など、自由時間が増えるが、しかし、三四郎がいないと、まず、圧倒的に寂しいが増えるのであった。ためいき・・・。
普段、べったりくっついてくる、もはや身体の一部分のような、家族を超越した存在の不在は、ぽっかり穴が開いているような気持ちを連れて来て、うう、超寂しいのであーる。
「さんちゃんがいない」
いなくて気楽なのに、寂しい、という不安定な状態なのであった。あはは。
それでも、ゲネプロが始まり、こっちもまったなし。寂しい気持ちはジョルジュのダイナミックなドラムのおかげで、ふっとんだ。よっしゃ~。
月曜日にはロンドンで初ライブ。もうすぐだ。
明るいマリオ、パワフルなジョルジュ、優しいエリック、そして、「勝ったも同然」が口癖のローディ、マコちゃんもお忘れなく・・・笑。
オランピア劇場、日本公演を通過し、ま、今年、一番の出来栄えじゃないだろうか。
風邪もひいてないし、このままいけば、今年最高のライブになる、はず。
もっとも、イスラエルとパレスチナの戦争が渡英にどのような影を落とすか、なんともわからない、不安要因もある。
無事に、ロンドンに渡れればいいのだけれど、楽器が多いので、駅とか空港で、テロリストに間違えられないかも、心配。みんな人相が・・・、えへへ。
ギターはまだしも、エリックのシンセとか、マリオのアタッチメントは目立つし、絶対、X線検査場で、とめられるタイプなのであった。ひゃあ、大丈夫かなぁ。
ビザの発給もぎりぎりになりそうで、そこも不安・・・。
明日にはユン君が飛行機に搭乗しないとならず、間に合うとは思うが、不安もある。
なにせ、英国はEUを脱退しちゃったから、税関とか、心配山積み・・・。ああ、不安がいっぱいだけれど、また、ミートパイが食べたい、食い意地だらけの父ちゃんであった。
とにかく、ロンドンで「輝き」になってみせるぞー。
熱血~。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ライブも楽しみではありますが、また、ロンドンに行けるのも嬉しい父ちゃんなのです。前回、コベントガーデンを自分の庭のように歩き回ったので、今回はバンドマンたちをパブに連れていってやりたい。あの、パリのうどん屋、野本しゃんも家族と来るというので、盛り上がりそうなロンドンナイトなのであった。
さて、今日は、これから渡英の準備をします!
ジャズクラブ、「QT」のチケットは、追加公演も含め、すべて売り切れました。ありがとうございます!!!
ラジオ・ツジビルは、毎週、オンライン村、ツジビルで放送されています。こちらへ、どうぞ!!!
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https://www.tsujiville.com
そして、一時間に及ぶ、熱血パパさんの、貴重なライブ映像!!!!
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https://youtu.be/YIi9N-6kt5g?si=l3SPg4Wt-jpOqToS