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滞仏日記「父ちゃんはロンドンへ。三四郎は数日マノンちゃんの新しい家族と一緒に」 Posted on 2023/09/23 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ロンドンでの仕事のあいだ、三四郎をマノンちゃんの家で2,3日、預かってもらうことになった。
ニコラとマノンのご両親が離婚をして、二人は、それぞれの親の新しい家を行き来している、ことは過去日記でお伝え済みだが、プライベートなことなので詳しいことは書いていなかった。
でも、なんとか二つの家がフランスらしく成立し、お父さんの方にはすでに、お子さんがいる。お母さんの方も最近、再婚をして、ニコラとマノンには義理のお父さんがいる。
複雑な感じがするけれど、フランスではこういうケースが多い。複合家族などと呼ばれているのだ。
しかし、フランスでは法律で、離婚のあと、双方の親が一週間の半分ずつ、子供の面倒をみないとならない。
ということで、ニコラはもう、ぼくよりも身長が高く、髭を蓄え、声も野太い。NHKの「パリごはん」に出て貰った時は、マジで、かわいかった。笑。光陰矢のごとし。
あの頃が思い出せないくらいもはや巨大な青年(おやじ?)になっている。うちの息子よりも大きいかもしれない。あはは。
でも、マノンは変わらないのだ。
ますます、フランスの女学生という感じになってきたた。利発なお嬢さんだ。

滞仏日記「父ちゃんはロンドンへ。三四郎は数日マノンちゃんの新しい家族と一緒に」



「マノン、ぼくは娘が欲しかったんだ。息子が生まれた時、お医者さんが、ぎゃるそんですよ、と言ったので、ギャル=女の子、と勘違いしちゃって、大喜びしたら、男の子だったというオチ。あはは。でも、男の子もいいね。今はあの子でよかった、と思ってる」
マノンは笑っていた。
ニコラはぼくから遠ざかったけれど、マノンは頻繁に連絡をくれるようになり、たぶん、ぼくのことをアジアのお父さん的な感じでみているのではないかなぁ、と思う。
とにかく、娘みたいによく気が付いてくれて、
「ムッシュ、お仕事、無理されないでくださいね」
とメッセージをくれたりする。
ちょうど、福岡ライブの直前にそういうメールを貰ったので、エネルギー、を貰えた。
いい子だ。本当に、いい子なのである。いつも、笑顔なのだ。
娘だったら、老後がまた違っていただろうな、と息子の写真をみながら、笑っている。
そして、マノンは、うちの息子とも仲がいい。ニコラはもう、よりつかない。
ということで短い英国旅なので、事務所のスタッフさんに預けることも考えたが、このことを相談したマノンから、
「もし、ムッシュがよければ、うちで三四郎を預かりたいんですけど」
と逆提案されたのだった。
「え、あ、いいけど、でも、どっちの家で?」
「そりゃあ、ママの方です」
よかった。なんとなく、マノンのお母さんの方が安心できる。マノンのお父さんの方は小さな子がいるので、たぶん、さんちゃん、いずらいだろうし・・・。
「ママの方ならいいね。でも、新しいお父さん、大丈夫?」
「ええ、犬が好きだから、大丈夫だよって」
「あはは。すでに話が進んでるんだね。オッケー」
ということで、毎週やっているラジオ生放送終わりで、三四郎をマノンちゃんの新しい家へと連れて行ったのであったぁ。(コロナ渦中、郊外に住んでいたのだけれど、最近、隣の区に引っ越してきた)

滞仏日記「父ちゃんはロンドンへ。三四郎は数日マノンちゃんの新しい家族と一緒に」



教えられた住所に行くと、マノンのお母さんと新しいお父さんがぼくらを待っていたのであった。
犬の多い地区で、ちょうど、わんちゃんたちの散歩時間だからか、近所のわんこたちに囲まれた三四郎であった。
「はじめまして」
「はじめまして」
義理のお父さん、優しそうな人であった。
小太りで、ずっと笑顔の人だった。(よかった。安心したぁ。この人なら、ニコラもマノンも落ち着くに違いない)
マノンのお母さんも、細かったのに、あれから数年経ったからか、新しいお父さんとの生活が円満なのであろう、ぷっくらしていた。あはは。
「ニコラは?」
「こんな時間にかえってくるわけないですよね」とマノンのお母さん。
あはは。
「どうぞ、よかったら、お茶でも」
ということで、三四郎のご飯の与え方をレクチャーしないとならなかったので、ちょっとだけ、お邪魔した父ちゃんであった。おお、家庭的な家だ!
マノンが、ぼくのために、ストラッチェテッラのピザを作ってくれていた。
「日本のパパへ」
えええ、マジか、涙・・・。見上げる三四郎を無視して、パクっ。
「うまい!!!!」
料理も上手になり、ますますフランスギャルになったマノンちゃん。
三四郎がその腕の中で幸せそうにしているのを見て、父ちゃんも幸せになったのであーる。
それにしても、さんちゃんはみんなに愛されるのであーる。
えへへ。

滞仏日記「父ちゃんはロンドンへ。三四郎は数日マノンちゃんの新しい家族と一緒に」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
久しぶりのロンドンなので、仕事とは別に行きたい場所がたくさん、あって、困っている父ちゃんなのであります。美術館にも行きたいし、インド料理も食べたいし、チャールズ国王にもご挨拶に行きたいし(門の前まで)、あはは、冗談です。ともかく、ロンドンを満喫してきますね。明日の日記から、暫くは、英国ロンドン特集の始まりです!!!!
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