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滞仏日記、2「ぼくがパリに買って帰る日本の生活物資」 Posted on 2020/02/09 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、パリに持って帰るために買い込んだ生活費需品について。基本は食材が中心で、パリでは手に入らないものばかりである。ここ最近、日仏の間で肉類などの持ち込みが難しくなっている。(生ハムやサラミなどの加工肉も日本への持ち込みが出来ないので要注意。見つかると、3年以下の懲役または百万円以下の罰金になる)そこで生ものではない生活費需品を中心にぼくは買い込んだ。パリで買えるものもあるのだけど、向こうで買うと高いのと品物が限られるので、調味料やスパイスなど、必需品を中心に厳選した。

まず、今回どうしても持って帰りたかったものの第一位は「マスク」と「手ぴかジェル」である。フランスではマスクが手に入らない。売っているけれど、日本製に比べると実に心細いマスクなのだ。アルコール消毒ジェルは高品質のものが出回っているが、今回の新型コロナのせいでどこも売り切れていると息子から連絡がきたので、慌てて探し回った。手ピカジェルは小さいのが一つだけ手に入った。あとは売り切れ。凄い時代になったものである。

滞仏日記、2「ぼくがパリに買って帰る日本の生活物資」



続いて、今回どうしても買わなければならなかったものに麹と大豆があった。これらは手前味噌を作るために必要だ。毎年、味噌を手作りしてきた。生活の基本なので味噌くらいは自家製にしたい。食材で手に入らない「昆布」各種、「塩昆布」も買った。他に「いりごま」各種、「どんこ」(乾燥の椎茸)、「胡麻油」「わさび」「コチジャン」「塩胡椒」「牡蠣醤油」、あと四川麻婆豆腐を作るのに「ホオジャオ(花椒)」、「八角」など中華スパイス、さらには「葉唐辛子」なども買った。

寝酒の友として「塩青豆」「さきいか」「缶つま(牡蠣)」各種も手に入れた。日本の赤ワインは知り合いのキャビスト(ワイン店店主に)へのギフトで。この写真には写ってないけど日本のウイスキーも二本ばかり。あとはお菓子「ポッキー」とか「キットカット」「きなこ餅」「揚げせん」などおなじみの日本のお菓子各種である。おせんべいは日本好きな地元の友人たちにプレゼントをする。

ぼくの場合、料理をするので、「わさび」「片栗粉」「和がらし」なども欠かせない。あと写真に写ってないけれど、物産展などで手に入れた「海苔」とか「佃煮」とか「高菜」とか、珍しいものなど、いろいろ買い込んである。ほとんど行商人と化しているけれど、このように生活必需品を買うのも楽しみの一つとなっている。パリの自宅に戻って、トランクを開けた時、日本の味がドバーっと押し寄せてくるのである。ああ、開けるのが愉しみだ。