JINSEI STORIES

退屈日記「東京拠点計画が進行する中、ぼくの部屋はゴミ屋敷化している。最低人間生活状態」 Posted on 2023/08/11   

某月某日、最初に、朗報を!
実は、映画「中洲のこども」がまたまた延長が決定しました。第7週に突入したのです。凄い凄い凄い!!!
「ツジちゃん、凄いね、7週突入、おめでとう」
今日は大事な会議をシマちゃんとやった。
シマちゃんが持っているレジデンスを借りることになったのだけれど、パリ在住だから、空いている期間の方が長いのはもったいないから、そこで何かやろうよと話し合っているうちに、キッチンスタジオをやることになった。
さらに、話しは進み、(シマちゃんは父ちゃんが歩いてきた足跡をそこに飾りたいという思いがあった)そこから次第に話が大きくなって辻仁成のプライベートミュージアムも兼ねたら面白いね、という経緯はここまでこの日記で記してきた通り、建築責任者の須藤さんチームが10月中の完成を目指し、工事に入っている。(視察もやった。細かい意見も出した。まもなくキッチンが納品される)
そこで今日は、ぼくの部屋で、シマちゃんと作戦会議をすることになった。小淵沢の倉庫に眠らせていたぼくの過去作品、絵画、写真、フィルム、小説の生原稿、などがいったん、滞在先の部屋に保管されている、トランクが5個分もあり、ギターは10本もある。現在、スタッフさんの手を借りて、これを整理整頓している最中なのだ。だから、足の踏み場もない、掃除も断っている、父ちゃんがこれまで創作してきた作品がどんと積まれているのだ。なので、宿はそのせいで脚の踏み場もなくゴミ屋敷化してしまった。
まずは、ご覧頂きたい、この荒んだ生活を!!!
ひ、酷い!!! こんな不健康な生活を東京で送っているのである。ぼくはパリに帰りたい、と毎晩思って頑張っているのだ。

退屈日記「東京拠点計画が進行する中、ぼくの部屋はゴミ屋敷化している。最低人間生活状態」

退屈日記「東京拠点計画が進行する中、ぼくの部屋はゴミ屋敷化している。最低人間生活状態」



「ツジちゃん、酷いね。これ」
「仕方ないよ、キッチン&ミュージアムが出来たら、そっちに移すから、一日も早く倉庫だけでいいから作って貰えないか? ぼくね、こんな生活したことないんだよ。ゴミ屋敷でしょ、掃除もいれられないんだ」
「そうか、すまない」
シマちゃんは今日から二週間、ハワイに行くらしい。
海沿いの豪華なホテルで、太平洋に沈む夕陽を見ながら、奥さんと娘さんと素敵な時間を過ごすのである。
ぼくはこのゴミ屋敷で、ライブに備え、練習をし、キッチン&ミュージアムの完成へ向けて尽力し続けるのだ。
ゴミを押しのけて、ソファに座り、ぼくらは2時間くらい運営について話し合いをした。
シマちゃんは経営者なので、どうやって赤字を作らないか考え、ぼくはアーティストなので、どれだけ面白いことをやるか、提案をした。
いいバランスなのだ。
キュレーターを雇い、美術館としても本格的に稼働させようか、というところまで話は進んだ。シマちゃんの会社の広報のAさんという女性がこの辺の中心的人物になることが決まった。Aさんは、さすがにこの部屋には招き入れることが出来なかった。
「ツジちゃん、ちょっと、掃除をしようよ。空気入れ替えないと、身体壊すよ」
「わかってる」
「でも、これだけの作品があると、掃除の人も作業できないね」
シマちゃんは、ぼくの手書きの生原稿を見ながら、溜め息をついた。
「よく、こんなに残っていたね」
「菅間さんが生前、一生懸命仕分けしていたんだよ」
「これはみんなに見せたいよね。ミュージアム、イイと思うな」
「シマちゃん」
「なんだい、ツジちゃん」
「ハワイ行くんだよね」
「(ギクっ)」
「こことはえらく違うんだろうなぁ」
「(ギクっ、ギクっ)」
シマちゃんが笑った。父ちゃんは笑わなかった。

退屈日記「東京拠点計画が進行する中、ぼくの部屋はゴミ屋敷化している。最低人間生活状態」

※ これは「クラウディ」として発表された30歳の時に書いた小説の初稿生原稿手書きです。ベレンコの翼というタイトルだったんですね。

退屈日記「東京拠点計画が進行する中、ぼくの部屋はゴミ屋敷化している。最低人間生活状態」



ちなみに、一つ、言っておくが、ぼくはシマちゃんからお金は貰わない。
最初に約束をした。
ぼくらは友だちだから、金銭&ビジネスで動くのはやめよう。
そのかわり、シマちゃんがぼくのライブのスポンサーとかメセナ的なことをやってくれる。
そういう方が健全なのだ。なので、貸し借り無し。
父ちゃんの才能を伸ばす滑走路を作ろうと真剣に考えてくれている。
損得無しで、父ちゃんの活動を側面から応援してくれている。
すくなくとも、ぼくは自分が住める場所を作りたかった、それが始まりだった。
なのに、話が二転三転し、ちょっとドアの前に謎の女性も立ったりして、怖い経験もあり、この先、どうなるのか、どこに住むのかも含め、改めて考えることになるだろう。
このキッチンスタジオが公になれば、ぼくは、そこでは暮らせないだろうし、ま、今は、乗り掛かった船状態なのである。
「ハワイ、もう10年くらい行ってないなぁ」
「ツジちゃん、今度、一緒にハワイに行こうね。ツジちゃんはそこで小説や絵を創作したらいいんだよ」
そう言い残して、シマちゃんはタクシーで颯爽と去って行ったのだった。
ぼくはゴミ屋敷でカップラーメンをすするのだった。あへ。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
映画「中洲のこども」が第7週に突入したので、8月24日のぼくの福岡国際会議場メインホールでのライブの翌日、舞台挨拶まで行く可能性が出てきました。九州の皆さん、ぜひ、あと一週間、第8週まで延長できるように応援お願いいたします!!!!



さて、8月の13日、次の日曜日に開催されます、父ちゃんのオンライン小説教室、今年最後になりますが、ぜひ、ご参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみるとわかります。
8月24日は、福岡国際会議場メインホールで、父ちゃんの日本追加公演が開催されますので、皆さん、遊びに来てください。
9月16日には、NHK・BSの「パリごはん、SP」が放映されます。
そして、10月23日、いよいよ、ロンドン、ケンブリッジ劇場でライブなんです。禁酒で頑張りたいと思います!
伊勢丹アートギャラリーでの初個展は来年、2月末です。てんこ盛りですねー。熱血。
適度のアルコールが健康にはいいって、主治医が言ってたもん。

辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ 2023
8/24(木)福岡国際会議場メインホール・チケット発売中です。
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https://w.pia.jp/t/tsujihitonari-k/

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