JINSEI STORIES
再登場朗読日記「朗読者になった父ちゃんが、自著を朗読するというミラクルが起きた」 Posted on 2023/08/16 辻 仁成 作家 パリ
著者自らが朗読する、という非常に珍しいリーディング・ノベル、朗読版「ミラクル」について、ご一読ください。
「サンプル」五分間、ご視聴自由に出来ます!!!!
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某月某日、それは真冬のある時期、父ちゃんはノルマンディの築150年のアパルトマンの寝室のドアを閉めて、(さんちゃんは入れない)、車が走らなくなった深夜に、マイクに向かって、朗読者、になったのであーる。
自著を朗読してみたいと思ったのは、いつも小説を書きながら、時々、煮詰まると音読をするのだが、この時の安らぐ感じを、読者の皆さんに届けられないか、と思ったからなのであった。
最初に選んだものは、かつて青少年読書コンクールの課題作にも選ばれたことのある「ミラクル」というファンタジー小説。
ところが、いざ、はじめてみるとこれがなかなか手ごわい。
間違えたりすると、やり直さないとならないし、雰囲気というのか、語調というのか、リズムというべきか、空気感なども、安定して朗読をする必要もあり、気に入らないと、頭からやり直し・・・。
うわ、間違えた・・・。やり直し~、の連続なのであった。
なかなか進まず、全部を録音し終えるのに、一週間から10日くらいかかったのではないか・・・。
自分がベッドに潜り込む前の、ちょっと体温のあがっている時間帯での録音だった。
なので、不思議なある種の統一感があるかもしれない。
暗いノルマンディの窓外へと時々、想いを馳せながら、読んだのであーる。
母親のいない少年「アル」が、ピアニストのお父さんと旅をする物語なのだ。
ぼくは歌手でもあるが、昔、ナレーションの仕事をいくつかやったことがあった。
中島みゆきさんの「夜会」のビデオのナレーションとか、ブリジストンタイヤのCMなどなど、声で稼いでいた時代があった。あはは。稼いではいないか。
オールナイトニッポンなど、深夜ラジオなんかもやっていた。
でも、それとは違う。歌でもない、「朗読」なのである。
感情を入れ過ぎてもいけないし、ニュアンスが難しい。
しかも、作者本人が、朗読をするというかなりレアなケースだ。
ベッドにもぐりこんで、ヘッドフォンで聞いて貰えたらなぁ、と思いながら、出来るだけ、優しい口調で、朗読を心がけることになった。
歌でもラジオでもない不思議な作品が出来上がったのである。
これを音楽仲間の筒井かおりさんにマスタリングしてもらい、ビット数などもあわせてもらって、朗読小説を販売している会社に送ったのだった。
いくつか、この手の会社があったが、ミラクルは「オーディブル」というAmazonがやっている会社に決めた。
というのは、Amazonで「ミラクル」の電子書籍が出ているからであった。
お母さんがいない少年アルが妻の死を受け入れたくないアル中の父親シドと南へ南へと旅をしていく物語、その中で、静かな奇跡がおきるのである。
よくわからないのですが、無料体験というのがあるみたいで、誰でも聞くことが出来るみたいだから、ぜひ、聞いてみてほしいのであーる。
あまりに大変な作業だったので、今後も続けようとは思っていないけれど、お時間があれば、寝る前にベッドの中で、どうぞ・・・・。下手な朗読でごめんね・・・。
父ちゃんが寝付けない息子に絵本を読んだように、読み聞かせさせていただきます。
えへへ。こちらから、オーディブルへ、どうぞ。なんと、五分程度のお試し聞きもできますね。ここから入ると、左のジャケットの下に「サンプル」があります。自分で「サンプル」押してみたら、きゃああ、恥ずかしいでしたが、皆さん、一緒に、恥ずかしがりましょう。どうぞ。
ぼくも自分の携帯に自朗読入れるために、一つ、これから購入します。というのは、貰えないんですね・・・。あはは。
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https://www.audible.co.jp/pd/ミラクル-オーディオブック/B0CD34GYVG
人生はつづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで冬には収録が終わっていたのですが、収録したものが世に出るまでに様々な過程があり、技術的な苦労などもあって、やっと、世に出た、出たかなぁ、という状況・・・、ひゃああ、恥ずかしい。
朗読するよりも、書いている方が楽かもしれませんでした。あはは。