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動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」 Posted on 2023/06/30 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、シチリア島、シラクサの夜は熱気があって、昼とはまるで違う顔を持っている。
パリから来たぼくが感じたシラクサの第一印象は、まさに、沖縄の那覇に似ている。イタリア本土とシチリア島は文化圏がぜんぜん異なっているようだ。
はじめて、沖縄や石垣に行った時の感動に近いものを覚えた。南の島なので、当然かもしれないが、人をリラックスさせる様々な顔とエネルギーが溢れている。
朝は静かで穏やか、南国の風が吹き抜け、心地よい。
昼は太陽を真上から浴びるせいで、ともかく、暑いのだ。
そして、夜はどこからともなく人が出て来て、どこもかしこも大賑わい!
しかも、カフェは深夜までやっており、そこかしこで雇われミュージシャンたち、まさにジョルジュやマリオみたいな連中が、たとえば、サンバやボサノバを演奏している。これが、めっちゃ、うまいのだ!!!
アコーディオン奏者が懐かしいイタリア映画のメロディを奏でることもあるし、ギタリストとパーカッショニストが誰もが良く知るラティーノの名曲を歌ったりしている。
それを犬(さんちゃんのことね、笑)のリードをひっぱりながら父ちゃん作家が遠くから眺めているのであーる。
あはは。まるで挿絵のような感じで・・・。

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

※ この二人は、三四郎がきっかけで仲良くなった。東欧からやってきたカップルだけれど、彼女が飲んでいるのが、「スピリッツ」なのだ!

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

※ そして、オルティージャ島の中に、ギリシャ時代の神殿の跡が・・・。



動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

しかも、夕陽が何といっても情熱的で、ノルマンディの夕陽とはぜんぜん異なる。同じ太陽なのに、不思議であーる。
今日を終えるための夕陽ではなく、「さあ、お待ちかねはこれからだよ~」と言いたげな陽気な夕陽なのである。びっくり!
夕陽を眺めながら、みんな海沿いのテラス席に陣取って、オレンジ色のカクテル「スピリッツ」を飲んでいる。
その人々はみんな笑顔で、誰一人、しかめっ面した人がいないのだ。
おっと、ぼくだけが、三四郎とそのホットな夜の喧騒を哲学的な目で見つめている。笑。
少し離れた場所から、「人間ってこんなに幸せそうな生き物だったっけ」と思いながら、見つめているのだ。
もちろん、嬉しい。
みんなが幸せなら、ぼくも、さんちゃんも同じくらい嬉しいのだよー。
人間は、幸せになるために生まれてきたんだ。幸せに生きる権利があるのだ。
と、父ちゃんは思って生きている。自由で、よい。

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」



オルティージャ島の入り口にあるカフェで3人組のミュージシャンが世界中のヒット曲を奏でていた。そのレベルの高さといったらなかった。すげー。
父ちゃんが、恥ずかしくなるくらいに、歌が上手で、演奏も抜群だった。
どんどん、人が集まって来て、通りはあっという間に人だかり・・・、みんな踊って、歌って、わあ、めっちゃ自由じゃん。
子供連れも多く、驚くべきことに赤ちゃん抱えたお母さんもけっこういた。
生まれて数か月の赤ちゃんにおっぱいを与えながら、リズムをとっていた。横でお父さんなんかが躍っているのだ。
夜遅くに、わかることだけれど、彼らは観光客じゃなく、地元の人たちだった。
つまり、観光客に負けないくらい、地元の人たちが夜を楽しんでいるのがシラクサのオルティージャ島なのであった。
ぼくはお腹がすいたので、宿のマダムにすすめられたピザ屋に入った。
そこでぼくは知っている単語を並べて、おすすめをゲットした。
アーモンドとマグロのマッケローニなのだ。(中に、ミント、バジル、アーモンド、もしかしたらピスタチオ、マグロ、が入っている。クリーム系のトマトソースなのだけれど、ともかく、食べたことのない味であった)
見たこともない食材、食べたことのない料理がけっこうあった。
スパゲッティ・シラクーサというのは、イワシのペペロンチーノ風でパン粉がふりかけられているのだけれど、そういう、不思議な料理がけっこうあった。
もちろん、全部、食べるつもりなので、ご報告したい。

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」

動物欧州横断日記「美しい夕陽からの、終わらない熱狂の街、シチリア、シラクーサの夜」



とにかく、パラダイスというべき、素晴らしい世界が、シラクサであった。
シチリアには、タオルミナ、アグリジェント、パレルモなど美しい観光地がたくさんあるようだが、ぼくの旅の仕方は一か所にどかっと腰を据えてそこを満喫する。
今回は、じっくりとシラクサとオルティージャ島に滞在し、食べつくしたい、と思うのであーる。
さんちゃんはこの旅が終わる頃、猫の存在にもきっと慣れて、猫友が一匹くらいできているのじゃないかなぁ・・・。あはは。

旅はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
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