JINSEI STORIES

動物欧州横断日記「そして、ぼくらはイタリアのとある島へと飛んでイスタンブール」 Posted on 2023/06/29 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、すいません。イスタンブールではありません。イタリアです。
結局、ぼくと三四郎は再び飛行機に乗って、イタリアの、とある離島?に向かうことになったのだった。
というか、向かったぞー。
日本で言うならば、沖縄とか石垣島みたいな島なのだけれど、残念ことに、イスキア島、カプリ、プロチーダ島ではない。
イタリアには大小様々な島があって、そこは日本と似ている。
またしても、格安航空会社の便に乗ったので、さんちゃんは再び、エコノミー席の父ちゃんの足元の小さなバックの中で息をひそめることになったのだった。あはは。
ともかく、ここが最終地点になれば、ありがたい。
気に入るかどうか何もわからないので、とりあえず、1日、2日、滞在をしてみてから、もうちょっといるか、別の場所に移動するか、考えることにした。
なので、とりあえず、一泊できるエアーB&Bのような部屋に転がり込むことにして、ネットで、仮押さえをしたのであった。気ままな旅であーる。

動物欧州横断日記「そして、ぼくらはイタリアのとある島へと飛んでイスタンブール」

動物欧州横断日記「そして、ぼくらはイタリアのとある島へと飛んでイスタンブール」

動物欧州横断日記「そして、ぼくらはイタリアのとある島へと飛んでイスタンブール」



とある島は、父ちゃんが長年行ってみたかった島でもあった。
もったいぶるわけではないが、ここの近海で釣れるマグロが評判がかなりよく、一度、食べてみたかった。
空港でタクシーを拾うことにした。電車とかバスもあるのだろうが、イタリア語がちょっと苦手な父ちゃん・・・えへへ。なので、タクシーにした。
父ちゃんは、とある島のとある町の名前を運転手さんに告げたのであーる。
「どこから来たの? もしかして、日本人?」
片言の英語で聞かれたので、
「日本人だけれど、パリに住んでいる日本人」
と答えた。
「ミニチュアダックスと旅かい、いいね」
「この島の人は犬に優しいですか?」
運転手さんが笑った。
「イタリアの中でも、一番、犬が好きな人たちが住んでいる島だから安心をして」
「猫も?」
「もちろん! この島のいたるところに猫がいる。猫は犬よりも愛されているよ」
うわ、三四郎、試練であーる。
ギリシャ時代、ローマ時代から、イタリア人は猫と友達なんだ。
ぎゃああ、三四郎、大試練なのであーる。
あはは。

動物欧州横断日記「そして、ぼくらはイタリアのとある島へと飛んでイスタンブール」



島の中の島のような場所で車を降りた。
美しい街であった。
純朴なイメージがある。周りを海に囲まれており、西洋人の観光客が多い。
アジア人とは滅多にすれ違わない。
トランクを引っ張りながら、ちょっと歩いてみたが、ローマよりも、もっと路地が多い印象がある。
遺跡が街の入り口に聳えていた。おお!
大ギリシャの時代の遺跡らしい。
歴史を感じる古めかしい街であった。
宿の管理人さんがぼくと三四郎を門の前で出迎えてくれた。
「あなたが辻さんですね」
「どうも」
綺麗なマダムだった。
「犬と旅をしているのね、可愛いワンちゃんだわ。名前は?」
「SANSHIRO」
「SANSHIRO~♪」
三四郎が尻尾を振った。
ぼくは鍵を受け取った。
「気に入ったら、暫く泊まることは可能ですか?」
「ええと、多分。調べないとわからないけれど、ダメでも、ちょっと離れた場所に、もう一つ、貸しているアパルトマンがあるから」
「よかった。今日、一日、この街を歩き回って、夕方までに返事をします」
実は、とっても気に入ってしまったのである。
ここに呼ばれた気がする。そういうものなのだ。
パワースポットに近い。気の流れがぜんぜん違うのだ。
たぶん、間違いない。ここに、しばらく、ぼくは滞在することになるのだろう・・・。
まずは、三四郎と、この宿の周辺を散策することにした。
さて、ぼくは今、イタリアのなんという島にいるでしょう?
ヒント1、マグロが美味しい
ヒント2,大きな空港が二つある
ヒント3,猫がたくさん



旅はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
実は、長旅の一つの理由に「旅先で新しい小説の構想を練る」があるのです。ミュージシャンではありますが、作家でもありますからね。新作を待っていてくださる読者の皆さんに最高の小説を届けたいのです。そのために作家は、静かに時間と向き合う必要があるわけで・・・。というわけで、おたのしみに。
さて、そんな作家な父ちゃんですが、7月16日に、エッセイ教室を開催いたします。文章を書くことの楽しさを、この淡い人生になぞらえながら、辻講師が皆さんに分かりやすく、解説いたします。今回は、父ちゃん講師が、自分が実際にエッセイを書く時の書き方について、具体的にお話したいと思っています。そして、例によって、詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいね。

さらに、日本公演のお知らせですです。
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ 2023
8/24(木)福岡国際会議場メインホール
一般発売日:7/22(土) 紙のメモリアルチケット(可愛いです)が付いてるよ!!!
【オフィシャル最速先行】は、すでに受け付けております!!!!!
6/22(木)18:00~7/02(日)23:59(抽選)チケットぴあ。
☟☟☟
https://w.pia.jp/t/tsujihitonari-k/

地球カレッジ



自分流×帝京大学