JINSEI STORIES

退屈日記「プリゴジンのワグネル部隊がベラルーシに配備された戦術核でキーウを攻撃する可能性」 Posted on 2023/06/28 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今回のプリゴジンの乱は、おかしい。
ルカシェンコ大統領がロシアの大統領を飛び越えて、仲介するのも、かなり、おかしい。
なぜ、プリゴジンの捜査は終了したのか。
面子潰されたプーチン大統領が粛清をしないのは、もっともっとおかしい。
おかしいずくめである、警戒しないとならない。

世界の笑いものになったプリゴジンおじさんの動きに警戒を強める必要がある。
一日で終わった「プリゴジンの反乱」だが、プーチンやクレムリン、仲介に入ったルカシャンコ、プリゴジンが最初から計画した可能性がある。
これまでのプーチン大統領であったら、プリゴジンは粛清されていてもおかしくないのに、彼は今、ベラルーシで自由に生きている。
そして、今日になって、彼の部隊、ワグネルの(8000人)程度をベラルーシが受け入れるとなった。
ルカシェンコはワグネルに、基地や施設を提供し、彼らから学ぶものがある、と驚くべきことを言いだしたのだけど、どう考えても、にわかに信じられない流れになっていて、もちろん、様々な説が飛び交っているにしても、小さなパズルを組み合わせていくと、これは、もともと、茶番劇にカモフラージュされた作戦だったのじゃないか、と、考えることが出来る。
しかし、じゃあ、なぜ、こんな面倒くさいことやる必要があったのか。
単純に、ウクライナを油断させるため、味方から欺いたということか。

退屈日記「プリゴジンのワグネル部隊がベラルーシに配備された戦術核でキーウを攻撃する可能性」



ベラルーシでワグネルがベラルーシ軍と一体化し、より強い軍隊を作り、もしくは、昨日からワグネルがロシア国内で通常通り兵士の募集を再開したこともあり、なぜ、プーチンやクレムリンはそれを許しているのか、理解に苦しむ。
経験ある兵士がベラルーシで新たな軍隊を組織、或いは育成し、北から、キーウに侵攻をしかける可能性がある。
ウクライナも周辺国もすでにそのことを薄々察知しているはずだけれど、問題はやはり、なぜ、ここまで回りくどいことをやらなければならなかったのか、ということだ。
プリゴジンをプーチンが恐れているなら、核兵器があるベラルーシに、彼の軍隊を駐留させるだろうか?
非常に危険な行為なのに、プーチン大統領はそれを黙認している。
そして、まるでロシアの大統領のように次々に新たな決定を下すルカシェンコ大統領の存在は、もっとおかしい。
重病説はどうした?
これは何かあると考えるべきだ。
ワグネルがロシアから配備された戦術核(広島に落とされた三倍の威力がある)を、奪い、ウクライナ首都を攻撃、というシナリオが起きた場合、クレムリンはワグネルを「あいつらが勝手にやった」と批判するだろう。
ワグネルが恐ろしいことをやった、と世界に向けて言うことが出来る。
こういうシナリオもありうるということで、非常に練られた危険な展開を孕んでいる。のんきに、反乱をやめたプリゴジンを笑ってはいられないのだ。
プリゴジンは凄い役者かもしれない。



ワグネルがモスクワへ向けて侵攻を開始した時、数機のヘリコプターを打ち落としている、というが、それがフェークニュースだったら?
もともと、無血行進に近いわけで、その間、世界は何が起こっているのか、わからず、見守った。その間に、これらの作戦が水面下で準備されていたのであろう。
あのプーチン大統領が、プリゴジンを隣国ベラルーシで自由にさせていることがその証拠かもしれない。何もかも、怪しくないだろうか?
すべてが、芝居にしか見えるのはぼくだけか・・・。
200キロまで侵攻したワグネルを見守ったのはなぜか?
小型戦術核でキーウを攻撃するのは、再び反乱をおかしたワグネルということになる。ロシアではなく・・・。
今日になって、ルカシェンコ大統領が、ワグネルの中心部隊をベラルーシで受け入れると言い出した瞬間、ぼくは、なるほど、と思った。
彼らは北で集結し、キーウが近いので、態勢を整え、或いは再び反乱をおかしたことにして、戦術核部隊をのっとり、小型戦術核をつかい、ベラルーシ側から一気に攻め込む算段じゃないのか、攻め込まなくても、捨て駒のようなワグネルに北でかき回させ、東や南の戦況からウクライナ軍の力を奪おうという作戦の可能性もある。
ここまでの茶番をやるのだから、裏がある、と思った方がいい。
プリゴジンがワグネルを撤退させたときの、笑顔の写真の意味がまもなく、わかってくる。これは、最初から計画されていた、敵の目をくらませる作戦だったのかもしれない。
より、警戒が必要になった。

もちろん、杞憂であればいいのだけれど・・・。

退屈日記「プリゴジンのワグネル部隊がベラルーシに配備された戦術核でキーウを攻撃する可能性」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
もちろん、NATOもポーランドもウクライナも、そのくらいのことはあり得ると思って、準備には入っているはずだけれど、仮にワグネルが北からウクライナに攻め込むのでれば、戦術核を使う可能性が高くなる。ロシア政府の意見を聞かず、勝手にやった、と言うことにできる。
もともと、ウクライナ侵攻が始まってから、戦術核の使用をプリゴジンは考えていた。
ここで、重要になるのは、ポーランドだろうな、とぼくは想像している。
さて、文章を書くのが大好きな皆さん、父ちゃんの文章教室があります。7月16日、エッセイ教室をやるんですよ。今回は、父ちゃんが普段どうやってエッセイを書いているのかを、具体的に、話そうと思っています。編集者さんから頂いた依頼をもとに、どういう風にエッセイを仕上げていくのか、書いていくのか、をご披露しながら、執筆のコツみたいなものを学ぶ90分になれば、と思っています。課題もあります。課題は、提出したい方だけでけっこうですので、ご参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックね。

そして、ライブのお知らせも!
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ 2023
8/24(木)福岡国際会議場メインホール
一般発売日:7/22(土) 紙のメモリアルチケット(可愛いです)が付いてるよ!!!
【オフィシャル最速先行】は、すでに受け付けております!!!!!
6/22(木)18:00~7/02(日)23:59(抽選)チケットぴあ。
☟☟☟
https://w.pia.jp/t/tsujihitonari-k/



自分流×帝京大学