JINSEI STORIES

最新・退屈日記「世界最大の茶番か。プリゴジン対ショイグ。誰が勝利したのか」 Posted on 2023/06/25 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、いやぁ、モスクワを目指していたプリゴジン率いるワグネル部隊が、モスクワまで200キロまで迫っていながら、ベラルーシのルカシェンコ大統領とプリゴジンが話し合い、突然、プリゴジンが撤退を表明、占領地域から全軍撤退、という、・・・わずか、この1,2時間の判断と決定である。(現在、フランス24によると、プリゴジンは飛行機でベラルーシを目指している。モスクワを目指していたのに、もう、ベラルーシへ向かっている???)
この世界最大の茶番・・・。
新たなニュースによると、プリゴジンはベラルーシに亡命ということになるらしい。
なんだったのか、あの「正義の行進」とは・・・。
父ちゃんが昨年10月に書いた小説日記で、責任を負われたショイグの(自分がはめられると想像した)心の葛藤を描いたが、その結果が、こういう最終形に帰結する形となった。
時系列で言うと、ロシア国防省へ不満を抱くプリゴジンが国防相のショイグとゲラシモフを名指しで批判、ひと悶着あり、プリゴジン率いるワグネルは武装蜂起、プーチン大統領が「裏切りにあった。容赦しない」と発言。世の中はプリゴジンは粛清されると想像、プリゴジンはそれでも各都市を制圧してモスクワを目指すも、ベラルーシのルカシェンコが仲介に入り、話し合いの結果、プリゴジンは撤退を決意し、すでに、ロストフなど全占領地から撤退、さらには、プリゴジンのベラルーシへの亡命、という時系列だが、これ、僅か24時間以内の話である。
最初からこれは信じがたい話だったが、あっけなく、化けの皮が剥がれた。
最初から仕組まれていた、ショイグ国防相をおろすための、よく練られた作戦のようだったが、つまり、茶番だったのではないか。でも、プリゴジンもしょせん、ロシア国防省の前ではただのゴロツキでしかなかった。
あはは、すいません、妄想オヤジで。
しかし、
ぼくが2022年10月、9か月も前、に書いたこの小説日記をもう一度、読んでもらいたいのであーる。
この時、ぼくは今日のこの日を予想していたのであーる。
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最新・退屈日記「世界最大の茶番か。プリゴジン対ショイグ。誰が勝利したのか」



つまり、最初から茶番だったのだ。
プリゴジンがそこまで命をかけて、2万5千人規模の自軍でロシア国防省に勝てるわけがないし・・・。命をかけるような人物でもなかった。
ここで、よく、考えてもらいたい。
笑えるような話だが、今、出回っている噂(ニュース?)では「ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀長の更迭? 」「国防省の大幅刷新?」「ワグネルの安全を保障?」というのが出ているが、実際は、ワグネル隊員は国防省と契約をすることになり、プリゴジンはベラルーシに亡命、ショイグ氏はそのまま、変わらず。という結果だった。
つまり、プーチン大統領が恥をかかされただけで、終わった、ということである。
この事態は、しかし、今後、宇露戦争に影を落とすことになるだろう。
プリゴジンはルカシェンコと話し合ったというのだが、ルカシェンコはベラルーシの大統領であって、ロシアの人間ではないことが、重要である。
よその国の大統領と合意というのはちょっとかなりおかしい話で、もし、そうならば、クレムリンの弱体ぶりがあらわになる。
もし、この報道通りならば、クレムリンは泥を塗られたことになる。プリゴジンを亡命させた時点で・・・。
どっちにしろ、クレムリンの弱体は確定し、しかも、ロシア国防省のメンツは丸つぶれで、退役軍人を含め、古い体質のロシア愛国者のメンツも総崩れとなる。
こういう状態に、あのロシアの古い態勢が納得するのだろうか。
ぼくが書いた小説日記は去年の10月のもので、9か月も経っているので、その間、ショイグ氏やゲラシモフ氏が指をくわえて、今日のこの状態を待ち構えていたとは、とても考えにくかった。ワグネルの兵員募集の看板が今、モスクワで撤去が始まっているという・・・。
とてもお粗末な結論だった。
もしも、本当に、ルカシェンコ大統領が動いたとして、じゃあ、プーチン大統領の指導力はどうなるのか、という問題がおきないか? 
何が起こっているのか、実際、だまし絵のような問題が、ロシアでこれからも、くすぶる形になるのだろう。
ウクライナと西側は、今後も注視することになる。
いや、警戒を深めていることだろう。
※ここに書いているニュースも一時間後には、全部、正反対になっているような、今の世界なのだ。

ショイグ国防相のここからの行動が気になる・・・。

最新・退屈日記「世界最大の茶番か。プリゴジン対ショイグ。誰が勝利したのか」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
この状況は実に不可思議で、わかりにくい問題ではありますが、額面通りに受け止めてはいけません。世界は非常に複雑に動いているということです。はい。
さて、そんな妄想父ちゃんですが、7月16日に、エッセイ教室をやります。エッセイを書きたい、そこのあなた、ぜひ、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。
めるしー。

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