JINSEI STORIES
動物欧州横断日記「ついに三四郎、初空港。おお、ここから無事離陸できるのかい!」 Posted on 2023/06/24 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、で、今、父ちゃんと三四郎は空港にいるのであーる。
三四郎のパスポートは3週間であれば、健康を証明する、というもので、(詳しくは獣医さんで確認してね)、近隣国いくつかを視野に入れていた。
なので、どこでもいいのだ、どこに行けるのか、という感じで、チケットを探し、この直前で、・・・とある国に飛ぶ飛行機を見つけた。
あはは。行き当たりばったりー。
格安航空会社である。
あの、欧州内の移動であれば格安で十分なのだ。乗っている時間も短いし、機内で食べることも、爆睡することもないから・・・。
(ただ、MAXという荷物や登場でちょっと優遇されるチケットにしておくと、席を選べたり、あまり並ばないでも済む。航空会社によって違うけれど、ちょっとだけ多めに払う感じ。このシステム、日本の格安航空会社にもあるね)
今回は三四郎がいるので、MAXのチケットにした。実に、便利であった。
さて、タクシーを呼んでおいたのだけど、運転手さん、三四郎を見るなり、
「おいおい、犬はダメだよ。匂いがつくし、前にもトラブルがあったんだ。犬が一緒だってわかったら断っていたよ」
といきなり、ガツン、と言われた。
「じゃあ、どうすりゃあいいですか?」
「今回は仕方ないね。そのバックの中にいれて、チャックして、出さないようにして」
「オッケー。そうする」
なんかね、言い方がかなり横柄な人だったが、ま、はっきり言ってくれるので、それはとってもわかりやすかった。
もっとも、のせてもらえたし、お互い、大人な対応をした。一番、大人な対応したのはさんちゃんだった。
暑い車内で、文句を言わず、機内持ち込み犬バックの中で静かに息を潜めていた。あはは。
前回、車でスペインに入った時は、パスポート・コントロールなどなかったが、飛行機の場合はそうはいかない。
国をまたぐので、テロもあるしね、厳格なのであった。
空港はものすごい人だった。夏が近いから、みんな移動しはじめているのだ。
ということでMAXチケットだから、エコノミーだけれど、専用レーンをつかえて、混雑を避けて手荷物預かり所にさっと辿り着くことが出来た。おー。
「パスポート見せてください」
「はい」
「わんちゃんのパスポートも」
おお、ここで三四郎のパスポートが威力を発揮。
「いいわね。オッケーよ」
「じゃあ、ベルトの上に載せて」
「いやいや、この子はキャビンに入るんです。規定内サイズのバックですよ」
「ええ、わかってるわ。安心して、荷物扱いにはしないから。体重を測るの。8キロ以内なら、大丈夫」
あ、そうだった。ここでチェックするのか、なるほど~。
機内持ち込み犬バックごとベルトの上に載せた。7,5キロであった。
「はい、合格よ」
「よかった」
その後、手荷物検査場へと進んだ。ここはどうするのだろう? 三四郎はバックと一緒にエックス線を通過するのだろうか?
「はい、パソコンだして、全部、ここに」
「あの、犬がぁ」
「おお、君、いたのか。じゃあ、そのバックはここに、出して、犬は自分で抱えてエックス線を通過して」
なるほどー。毎回、驚きの連続であーる。
ぼくは犬を抱えて、人が通過するエックス線の門を潜ろうとした。
「犬は両手で抱えて、前に差し出す感じ。犬を先に行かせるのよ」
担当者のお姉さんに言われた。言われた通り、三四郎を前にして前進したら、通過出来た。
あはは。やったー。意外と楽にパスだったぁ。
ということで動物欧州横断日記、いよいよ、フランスを出発なのであーる。
これは空港のラウンジで書いているので、到着したら、この続きを・・・。
いや、さんちゃんとの初飛行機搭乗だぁ、緊張するー。
人生はつづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ロビーで父ちゃんが作業をしていたら、いきなり、わんわん、と吠えた。普段吠えることがない三四郎なので、叱ったのだけど、空港は人が多いからね。うちの番犬、怪しい人を見つけたようでした。どの人が怪しいとか? 見回したが、みんな、(自分も含めて)怪しそうでありました。あはは。スリに気を付けて、いってきますー。
ふー、深呼吸なのです。さて、そういうことで、ロンドンはまだまだ分かりませんが、福岡での追加公演に関しては以下です。
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ 2023
8/24(木)福岡国際会議場メインホール
一般発売日:7/22(土)
【オフィシャル最速先行】は、すでに受け付けております!!!!!
6/22(木)18:00~7/02(日)23:59(抽選)チケットぴあ。
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https://w.pia.jp/t/tsujihitonari-k/
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めるしーぼく。