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滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」 Posted on 2023/05/04 辻 仁成 作家 パリ

滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」

某月某日、田舎のアパルトマンでは練習ができなくなったので、パリに戻って、スタジオでの練習をスタートさせた父ちゃんであった。スタジオやっぱいい!
春真っ盛りのパリはやっぱり、どこもかしこも、素敵であった。
マジ、どこを切っても、パリはパリでしかなかった。田舎とは違う・・・。
午前中、2時間のリハーサル、いい汗をかいた。スタジオの人たちも皆さん、親切であった。
しかも、13ユーロという安さ、物価高のフランスにあって、有難かった。
その後、パリオフィスにて、オーナーのブノワ氏などと今後の活動についてミーティング。ここは父ちゃんの欧州での活動拠点みたいな場所である。いくつかのクリエーターたちがシェアオフィスみたいに利用している。
クリエーター辻父ちゃんは、今、オランピアライブもそうだけど、様々な活動をフランスで展開していく所存で、この事務所を設立した。

滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」

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実は、ブノア氏がパートナーみたいな存在なのであーる。CEOは別にいる。
ということで、表玄関をご覧いただきたい。え??? ここ、ラブホテルか?
あはは。確かに、この外見、ここパリでも、なかなかみられない。秘密結社みたい?
大きな門を入ると、中庭があり、中庭に面して、古いお城のような変な煉瓦造りの建物があり、この中に、辻パリオフィスの司令部があるのだぁ~。
残念ながら、秘密結社なので、笑、動画の撮影は許可されないし、出入りも高度なパスを持った者しか入ることが出来ない。
「うふふ、ムッシュ辻、調子どう?」
とブノア氏が出迎えてくれた。
「いいですよ。着実にやっていますが、プロモーターや宣伝マンがやる気があるのか、ないのか、動きが鈍く、ちょっと宣伝面で難航してます」
「それはダメね、じゃあ、わたしたちで頑張りましょう。まずは、作戦会議よ」
ブノアさん、男性なのだけど、ちょっと喋り方がマダムっぽいというか、上品なのであーる。
しかし、左岸界隈で人脈があるので、友だちにフライヤーを配ってくれる、と言い出した。有り難いけれど、だ、大丈夫かな・・・。
今日は息子さんが来ていて、フライヤー配りを手伝ってくれることになった。

滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」

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「ムッシュ辻、あなた、緊張している?」
ぼくらは懐かしい通りを一緒に歩きながら、世間話をした。
「いいえ、ぜんぜん。ぼくは経験があるから、残念なことに、もう緊張はしません」
「へー、私だったら、あのオランピアに立ったら、足がふるえるわ」
「ま、小学校の時、放送局長に立候補した時は、足がふるえました。でも、数えきれないほどライブをやったので、今はもう、愉しみでしょうがないだけです」
「それは素晴らしい。で、あなたはなんでパリに来たの?」
「なんでかな。ええと、一番最初に買ったシングルが、シャルル・アズナブールのシェルブールの雨傘だったし(シェルブールは今のアパルトマンの近く)、マラルメの詩の影響を受けたし、中学生の時に、エリック・サティ(サティの故郷も近く)とかモーリス・ラベルなどの音楽にふれ、小説家のボリス・ヴィアンも映画監督のゴダールも気が付けばみんなフランスの人でしたね。今、思えば、ここにいるのは必然だったのかも」
「でも、フランスで生きるって決意した理由はなに?」
「子供です。十斗がここで生まれたから」
「なるほど。わかるわ、それはよくわかる。私にも二人の子供がいるから、妻とは別れたけれど、彼らを育てることに意味があった。ところで、パリとノルマンディ、どっちがいいの?」
「どっちってことはないけれど、ノルマンディがあるから、パリに戻ると、パリの良さがわかるんですよ。久しぶりに戻ってきたら、やっぱりパリはいいですね」

滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」

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「あなたのポスターがそんなパリ中に貼られているでしょ? みんなが応援しているから、いいライブをやってね。事務所スタッフも一丸になって応援をするからね」
「ありがとう。日仏親善のためにも、最高のライブにしてみせます」
そのあと、なんとブノワちゃんとぼくは、事務所周辺のパン屋さんとか、肉屋さんとか、ワイン屋さんとか、整体屋さんとか、日本食レストランなどに、ポスターを貼りに行ったのであった。
ふー、久しぶりのパリ、実に充実した一日であった。
人間、目標を持っていると、毎日が最強になる。今は、この充実した日々を着実に完結させ、そのために最高のライブをやることしかぼくには使命がない。
「先のことはその後、考えましょう。今は、突き進むだけよ」
ブノア氏が別れ際に言った言葉が心に残ったのであった。

滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」



滞仏日記「父ちゃんの秘密オフィスを初公開。16世紀のお城なのだ」

※ 実は、事務所の上の階に、ぼくは創作のアトリエを借りているのだ。光の溢れる作業のしやすい、町工場のような場所なのだった。ここでぼくは次の創作世界の構築をしているのである。

そして、人生はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、5月7日に、いよいよ「敷居のめっちゃ低い小説教室」が開催されます。小説を書くことは誰にでも出来る最大の娯楽なのですよ。そんなに敷居を高くしてはいけません。みんなが小説に向かいあえるそういう講座にしたいと思います。ぜひ、参加してください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいねー。

地球カレッジ

席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

もしも、日本から行きたいけど、不安という皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。現在、日本から50名くらいの方が来るだろうという予測です。本当に、大変なところありがとう。必ず、いいステージにしますね。約束!!!

5月29日 辻仁成 パリ・オランピア劇場 ライブコンサ-ト!


ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

https://linkco.re/2beHy0ru



自分流×帝京大学