JINSEI STORIES
退屈日記「全フランス人スタッフ退却、結局、日本人だけが残った父ちゃん背水の陣」 Posted on 2023/05/03 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ということでまずは、御覧頂きたいものがある。
パリのアジア食材店のレジ横に並ぶ、日本語新聞「OVNI」(オブニ)に、父ちゃんのオランピアライブの広告が、ど、どーんと載った。
これは、オブニ新聞社の方々からのご厚意とご協力のたまものなのであーる。オブニの高地さん、マジ、感謝です。
在仏日本人ならば、みんな一度は手にしたことのある日本語新聞で、日本好きのフランス人にも、幅広く、読まれている。
フランスにおける日本文化圏に強く影響力を持つ新聞なのだ。
今回、大阪のビルボードに飛び入りしてくれたトランぺッターのユン・ファソン氏の滞在宿も、このオブニのアノンスで見つけることが出来た。
留学生や企業戦士の皆さんにとってはなくてはならない日本情報満載新聞だ。日系レストランや韓国系レストランに置かれてある。
どうじゃ、父ちゃん、ここでも頑張っておるのだ!
ぜひ、在仏日本人の皆さん、手に取ってやってくだせーまし。父ちゃん、おるで。あはは。
ということで久しぶりにパリに戻ると、長谷っちやスタッフの皆さんが出迎えてくれ、ちょっと落ち着いた父ちゃんなのであった。
明日から、スタジオで、断続的にだけれど、リハーサルが始まる。もちろん、フランス人スタッフ無しで・・・。ゼロ。
しかし、いよいよ、近づいてきた。オランピア~!
けれども、残念なことに、チケットはぴたっと売れ行きが止まってしまった。
なんとなく、半分くらいはめどがついたが、満席は難しそうだ。2000席もあるのだから、しょうがない。
「でも、せんせー、来週開催される仏人アーティストは今のせんせーよりも、もっと売れてません。まだ、ひと月あるんです。諦めず、がんばりましょう」
と長谷っちから、励ましのSMSが毎晩届く・・・。
口数少ないマコちゃんは父ちゃんのポスターを地道にオペラ地区で貼りまくっている。投げ出す人も多いが、最後まで寄り添ってくれる仲間もいる。有難い。
この日本の皆さんの励ましに報いたい。
この最後のひと月で、どのくらいの有権者にアピールできるか、父ちゃんの街頭演説の日々は続く。
宣伝広報のサラさんは行方不明(バカンス期間なので家族で旅行なのかな)で連絡がつかず、プロモーターのベルトランは日本での仕事のためフランスを離れ、ライブの前日まで不在らしい。
このような(フランス勢にさじを投げられた)壊滅的状況の中、どんな手を使ってもチケットを売って、なんとか埋まった感じに近づけないとならない。
在仏日本人の皆さん、父ちゃん、最後のお願いにやってまいりましたァ。
日本を背負った最高のライブにしますので、どうぞ、お力をお貸しください。日本パワーをフランスでさく裂させて、ベルトランやサラさんらをあっと驚かせてやりたい。
ぼくは、最後の最後まで諦めるつもりはありません。あと、1000枚です。なにとぞ、よろしくお願いいたします。あと、1000枚!!!! ひゃあ、大変だァ。
あはは、選挙戦後半に突入した気分なのであーる。
※ パリの老舗ホテルにも父ちゃんが・・・。
すると、前に住んでいた地区の人々が立ち上がって、パン屋のヴェロニクさんから、SMSが入り、
「なんで、ポスターをうちに届けてくれないの。ここは絶対に負けられない戦いなんだから届けて、がんがん宣伝をするから」
と心強いメッセージが届けられたのであった。
ヴェロニクは「パリごはん」の一回目に出演をしてくれたパン屋のオーナーなのである。
パリの街角の仲間たちがベルトランやサラにかわり、立ち上がってくれたのだ。
街の哲学者、アドリアン夫妻も地元の仲間たちにチラシを配ってくれている。ジャン・フランソワのカフェのカウンターにもフライヤーが置かれた。
小さな街角だけれど、本物の援軍だ、嬉しいじゃないか。
在仏20年の足跡がそこにある。父ちゃんは、負けない。
あと1000枚、なんとかする!!!熱血~!!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
背水の陣という言葉がありますが、背水とは、水を背にすることですね。陣とは軍隊の配置を意味します。この言葉は漢国の名将「韓信」が趙国と戦った時に、川を背にして陣地を築き、自軍に退却できない覚悟をさせた故事から生まれています。フランス人プロモーターも不在、宣伝マン不在の、戦いです。しかし、最後のひと月、父ちゃんは、長谷っち、まこちゃんら事務所スタッフと、背水の陣に挑み、なんとか、オランピアを埋めてやろうと決意しているのです。なんで、こんな大変な時に、日本にどんな仕事で行くのかわかりませんが、Bはもう、ほっときます。笑。父ちゃんの辞書に負けるという言葉はないからです。すると、ECHOES時代から父ちゃんのイベンターをやってきた、あの大阪サンクリの中原氏からさきほど、連絡があり、ドイツにいる娘さんと合流し、パリに応援に行く、というではあーりませんか。おお、感涙。これぞ本物のサムライ。ぼくはベルトランに、「俺はサムライだ、最後まで戦う」とメッセージを書きました。最高のライブを飾って、父ちゃんは爆笑したります。がんばれ、にっぽん!!!!
ご清聴ありがとうございました。ははは。人生、決意が大事。
別件で、お知らせです。5月7日は、作家、辻仁成が講師をつとめる地球カレッジ、「敷居のめっちゃ低い小説教室」も開催されます。ご興味ある皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。熱血~。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。
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https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/
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もしも、日本から行きたいけど、不安という皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。現在、日本から50名くらいの方が来るだろうという予測です。本当に、大変なところありがとう。必ず、いいステージにしますね。約束!!!
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ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。
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https://linkco.re/2beHy0ru