JINSEI STORIES
滞仏日記「父ちゃんは今、寂しいのかも。寂しいよー。英仏海峡を眺めながら思わず涙」 Posted on 2023/04/22 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、生きるのは本当に大変である。
熱血を精神的支柱として頑張って来た父ちゃんではあるが、今日は思わず、孤独にさいなまれてしまった。
これが、まさに、「思わず」見舞われたのである。
やっぱり年齢的なものもあるのだろうが、最強の相棒、三四郎ではどうにもならないぼんやりとした不安が、まさに、打ち寄せる波のようにざっぶーんとやってきた。
オランピア劇場のライブをひかえて、鬱ってる場合でもないのに、今日は見事に力が入らないのである。
一言でいうと、寂しい、・・・。
寂しいのだ。
息子がいた頃は、かっちーん、しながらも、やっぱり世界最小とはいえ、家族があったので、その世話に明け暮れることで乗り越えられた何かがあった。
大変だったが受験という目標に向かって、力を合わせてまい進できたので、よかった。目的というのは素晴らしい。
今もオランピア劇場ライブという大目的があるのだけど、それが終わったら、どうなるんだろう、と考えてしまった。
ノルマンディの海を見ていると、やばーい、感じになってしまう。
わかります?
たまに、意味もない不安に、なることありますよね?
打ち寄せる波とか、浜辺に転がる貝殻とか、どこからか流れ着いた流木とか、何気なく見ていると、一人身の心に、染みるのである。
ああ、奥さんがいたらなー、と思いません? あはは。
でも、ぼくのような面倒くさい男だから、自分でもわかるくらい面倒だから、そこはあまり期待しないが、よかでしょう。きっと・・・。
ここは笑うところではないが、笑ってもいいですよ。そういう時、ありませんか?
いかんいかん、熱血じゃあああ、と海にはむかうようにギターをかき鳴らし、歌った。
歌があるおかげでなんとか持ちこたえることが出来たが、午前中は、ちとやばかった。
三四郎がまだいるからなんとか踏みとどまっているのだけれど、これから先のことをやはり、考えてしまうと、現実に押しつぶされそうになる瞬間はある。
午後、食欲もなく、ベッドでぐったりしていたら、「パリ・食いしん坊クラブ」の日本人ママ友たちから、「辻さん、チケットゲットしましたよ」という連絡があった。なぜか、涙が出たので、やばかった。
おすぎとピーコさんのニュースを読んで、いろいろと考えた、父ちゃんなのであった。
ま、父ちゃんのことだから、熱血で、なんとか乗り切って、うまく世渡りしていくとは思うのだけれど、まず、孤独はね、よくない・・・。
いや、孤独はぜんぜんいいのだけど、寂しいという気持ちはよくない。
こんな年になっても、誰かに甘えたいと思うことってあるのだな、と気が付いた。
人間が死んでいくのは、甘える人がいなくなるからかもしれない。
弱みを見せられることも大事なのかもしれない。
話し相手とか、相談できる相手とか、喧嘩できる仲間とか言いあえる仲良しとか、・・・。
弱みを見せるのは、あまり得意じゃないが、実は、父ちゃん「自信がないし、弱みだらけ」なのである。☜ ほんとうです。あはは。
たぶん、三田文学の小説が書けないことが一つの原因だと思う。
今まで、小説を書くことで、煮詰まったことがなかった。手に負えない大作なのである。やれやれ・・・。
で、海で歌っていたら、ぼくの歌に「ラッタッタ」という曲があって、その歌詞がね、また、このタイミングで、心をえぐるものだから、困ったわい。
『ままならないこの世界、やるせない満月、
自分のことしか信じないから、頑張って来たんだね。
少しだけ人のやさしさ、頼ってみるのもいいよね。
自分ひとりだけ、幸せになれたやつなんかいない』
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
それでも、歯を食いしばって前進している辻父ちゃんなのであります。今日は快晴だったので、なんとか天候に救われました。今、下の階の人に動きがあり、もしかしたら、もしかしたら帰るのかな・・・、ちょっと息を潜めて、様子、見ています。また、ご報告しますね。いらないか!!! 失礼。
ということで、寂しんぼうの父ちゃんからのお知らせです。5月7日、敷居のめっちゃ低い小説教室、やりますよ。小説を書いてみたいけれどねー、と思っている皆さん、確かに小説は難しいですけど、最初が肝心です。興味のある皆さんは、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてください。
ということで、5月29日、フランスは連休中ですけど、祭日の月曜日、オランピアのライブです。ぜひ、お時間のある皆さん、お越しください。
フランス国内、もしくは周辺国にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。日本からは遠いですから、来ていただきたいですが、時間がせまってきましたから、ご無理はさせられません・・・。無理のない範囲でお願いします。あ、席は絶対売り切れませんので、当日券山ほどあり、ご心配なく・・・。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。
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https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/
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もしも、日本から行きたいけど、不安という皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。現在、日本から50名くらいの方が来るだろうという予測です。本当に、大変なところありがとう。必ず、いいステージにしますね。約束!!!
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ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。
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https://linkco.re/2beHy0ru