JINSEI STORIES
滞仏日記「ショック! せっかく収録したNHKパリごはんの料理映像が消えていた!」 Posted on 2023/04/10 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、フランスはイースター三連休なので、ノルマンディの海辺は歩けないくらいの人だかりであーる。
で、普段、誰もいないぼくが暮らす築160年の館もパリジャンがやって来た。
3階(一番大きなアパルトマン。しかも大きな庭付き)の矍鑠紳士とあだ名をつけたパリのムッシュ一族もやってきて、大騒ぎをはじめた。
一昨日はパーティが開催されたようで、夕方くらいから夜中までどんちゃん騒ぎ。
昨日も日中は庭のテーブルを囲んで友人たちと、飲めや歌えの大騒ぎ、ということで賑やかなのであったぁ。
朝、ここの息子さんがビーグル犬を連れて散歩に出てきた。ぼくと三四郎は海から戻ったところで、ばったり。
「ムッシュ、よければ、うちの庭でこの子たち遊ばせましょうよ。ぜひ、いらしてください」と誘われた。
30代かな、爽やかな男性で、いつも両親と一緒。
親も優しいけれど、この人もすれてなくて、素直で、いい子だ。
こんな絵に描いたような家族、素敵である。
息子も大家族の家に招かれては同じことを考えて生きてきたのかもしれない。ま、これはしょうがないね。
その若いムッシュがまず、前の晩遅くにやってきて暖房などをつけ、受け入れ態勢を整え、翌日の朝、ご両親がやってくるという毎回の手順。
だいたい、この辺のメゾン(家のこと)は、各家ごとに管理をする人と庭師がいて、家を維持している。
うちのような大きな館は、掃除をする人はいるけれど、管理人がいないので、自分たちでやるしかない。
掃除も月に一度くらいしか来ないので、気が付いた者が適時やる。
ぼくが一番、ここにいるので、掃除をしている。普段住人がいないし、古い家だから、換気しないと、黴の匂いとか気になるのだ。
「ムッシュ・ツジがここにいてくださるから、みんな安心なんですよ。よければワインでも飲みに来てください」
ワイン! ひゃあ、快晴だし、でも、禁酒中なので、遠慮するしかない。
行きたいけど、
「仕事がありまして」
と断ってしまった、残念な日曜日。あはは。
で、ぼくの仕事はNHKBS「パリごはん」の料理撮影なのだった。
番組内で好評(?)の「人生劇場」を今回もやることに。ステーキを作ってふるまうシェフとお客さんという設定で演技をした、のであーる。
実は今、ライブ前なので、料理はできるだけ包丁を使わないよう気を付けている。
包丁で指を切ったら、ギターが弾けなくなるので、やばい。(4月16日のカフェ飯教室もビニール手袋をはめてやります!)
今回は、パリ在住の日本人ロッカーTSUJIがノルマンディにある辻食堂に栄養をつけにやってくる、という設定であった。あはは。
「今日はパリから辻さんがお見えになり、ステーキを食べたいというので一生懸命作ります。来月、辻さん、オランピアでライブですものね、体力つけさせないと」
とシェフの前説があり、パリの辻さんが登場!
ちょっと派手な演出で、パリのロッカーらしく、赤いジャケット着て、指パッチンで、
「いやあ、大将、おげんこ~」
と笑いながら、画面に出てくるのであったぁ~。
あはは。
こういうことを一人で、真剣にやっている父ちゃんって、どうなんでしょう。
孤独過ぎて涙が出る? ありがとう。あなたのために頑張ったのよ!
ということで、面白い絵が出来たのだけど、撮影が終わって片付けをしていたら、マジか、超びっくり。
肝心なところが録画されてなーい!!!!!!!!!!!
ふわ、再現不可能、こういう場合、どうしたらいいのだ・・・上書きしたのかなぁ。
仕方なく、出来たステーキをやけ食いし、今日はもう仕事納め。
あの番組、地道な努力のたまものなのですよ。
夕方、ニューヨーク在住の画家、千住博氏に、相談があってテレフォン。
同世代、創作家同士で親友なのだ。
人に見せたことがなかったぼくの絵をこっそり、見せてみることに。
もちろん、ぼくの絵だとは言わないで、この絵をどう思うって? とぼけて・・・。
情報ゼロで、彼に自信のある四枚を、送付、・・・勇気あるでしょ?
というのは趣味の絵だけれど、自分の作品が第三者にどう思われるのか、これって、趣味であろうがやはり気になるもの。
第一線のプロの意見、訊けるわけだから、試すしかないでしょ?
ぼくの文章教室に応募してくださる人の気持ちと一緒なのだ。よくわかる。
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥、だからね・・・。
するとね、驚くべき展開に、・・・
あはは、ここは秘密・・・。
ということで、いくつになっても学ぶことを放棄しない意欲家の父ちゃんなのであった。
夜、外では再び宴会が始まったので、ぼくは窓を開けっぱなしにして、歌の練習を。
途中で、「バラ色の人生」を歌ってやったのだった。窓際まで行って!
すると~、拍手喝采!
オランピア劇場に向けて、励みになりました!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
フランスは月曜日いっぱいまで休みなので、今日、月曜日はパリに帰る人で高速が大渋滞になります。週の半ばくらいにパリに戻って、日曜に開催する「カフェ飯教室」のリハーサルなどをやる予定です。マーシャルの八百屋で材料を仕入れたりしないとならないので。今回も熱血料理会になることでしょう。そして、5月7日は、敷居のめっちゃ低い小説教室、です。小説書いてみてください。ぼくが全部、読むので、そういう対象がいると書こうかな、となりますよね。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいね。アディオス。
5月29日、オランピア劇場、近づいてまいりました。フランス国内、もしくは周辺国にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。日本からは遠いですから、来ていただきたいですが、時間がせまってきましたから、ご無理はさせられません・・・。無理のない範囲でお願いします。あ、席は絶対売り切れませんので、当日券山ほどあり、ご心配なく・・・。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。
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https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/
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もしも、日本から行きたいけど、不安という皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。現在、日本から50名くらいの方が来るだろうという予測です。本当に、大変なところありがとう。必ず、いいステージにしますね。約束!!!
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ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。
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https://linkco.re/2beHy0ru