JINSEI STORIES
滞仏日記「パリジェンヌとは何か? パリジェンヌのママ友たちに訊いてみた」 Posted on 2023/03/15 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、足の捻挫のせいでベッドから立ち上がれない父ちゃんなのである。
三四郎もいないので、急に暇になった。珍しくツイートもした。
それでも時間が湯水のようにあるので困った。
そういう時に役立つのがママ友たちである。
喧嘩をしたママ友たちから離れ、仲のいいママ友たちと新しいグループフォンを作ったのだ。
人間関係が難しいのもフランスである。
一度、関係が壊れるとほぼ100%回復しないのがフランスなので、いちいち心を痛める必要もなく、心を痛めているようでは逆に辛辣なこの世界では生き残れないのだから、そう思って割り切って過去は潰していくのがいい。ぐしゃ・・・
フランス人は一度縁が切れると狭い歩道ですれ違っても目が合うことはない。
なので、フランス留学を考えている人がいたならここは頭に叩き込んでおいてほしい。
関係修復よりも新しい友だちを探せ、である。
ボーテ・ド・ラ・パリジェンヌ(La beauté de la Parisienne)というパリジェンヌの美貌みたいな名称の新チームを創設した父ちゃんなのであった。
そもそも、おばさん気質やしね。ちょうどいいか・・・
「それでね、みんな、あのね、パリジェンヌってさ、どこらへんがジェンヌなの?」
「ひとなり、それ面白い質問よね」とソフィー
「ねーねー、それは文化的にそれとも政治的に?」とレテシア
「セックスでしょ?やっぱり、そこに決まってるじゃないね、そういうこと?」とイザベル
「いやーね~、もう、エンジンふかし過ぎよー、ぶるんぶるんぶるん」とひとなり
セックスアンドシティーみたいな4人組がそろった瞬間であった。(顔写真お見せしたらイメージが違い過ぎてがっかりすると思うので、今日掲載する写真は皆さんのイメージを壊さないほんとうの美パリジェンヌで、元美たちはグループフォンの中でのみ完全燃焼お許しください)
「パリジェンヌってもちろん様々だから一言では言えないけれどね、働いている人が多いかな。子育てしながらも、社会復帰を目指していたり。逆に、働けるだけ働いて、できるだけ恋愛を楽しんで、出産を40過ぎまでしないとか」
「いるいる。医療技術が高くなったから、私の周りは高齢出産ばっかり。早いか、遅いか、どっちかで、変な話、学校行事の時、並んでいるお母さんたちが親子みたいだったりとかね」
「あと、パリジェンヌって結構、行動的で、社会性の強い女性っていう感じで、私たちもみんなそうだけど、仕事持ってるじゃない」
「いやいや、それは夫が子育てに協力的だからでしょ」
「いやいや、社会がパリジェンヌに開かれているから企業も夫たちも開かざるを得ないんですよね」
「あのー、ひとなりです。男性代表としていわせてください」
「はい、どうぞー」
「パリジェンヌって小さい頃からちやほやされて育ってきたでしょ? 男性がドアをあけないとならなし、シャンパンをつぐのが男の役割だったり、ぼくは不公平だな、と思うんですよね。日本人からすると、フランス社会ってすでにフェミニズム運動勝利宣言手前まで来ていると思うのに、男女平等を説くなら、シャンパンくらい自分でポンしてもいいんじゃないの」
「馬鹿ね、ひとなりは、おバカちゃん。シャンパン・ポンされるような女がこのボーテの会に一人でもいると思うの? 私たちは自分でシャンパンのコルク抜いて、自分で注いで自分で呑んでる側の人間よ!」
「そういうパリジェンヌへの幻想は捨てた方がいい。いいこと、ひとなり、私たちが現実よ、現実のパリジェンヌの姿なのよ」
「私はコロナ離婚したから、いまだに注いでくれる人もいないけど、ただ、私のママがね、70歳なんだけど、新しい恋人が出来て、シャンパン・ポンしてもらってるらしい。今度、郊外に家を買って、そのムッシュと新生活をスタートさせるの。死ぬまで女を捨てないのもパリジェンヌなのよ。覚えておきなさいね」
「はーい」
「私が好きなパリジェンヌのイメージは、どんな時も我が道を行く人というところ。ファッションでも、恋愛観でも、生活感でも、パリジェンヌはつねに独特の道を歩いていると思う。世の中がパリジェンヌをモデルの集合みたいに形作っているけれど、実際は私たちこそがパリジェンヌだから、まじめな時はまじめだし、不真面目な時は脱線もするし、でも、責任ある仕事やってるし」
「そうね、私たち三人とも社長だもんね」
おっと、そうだった。一人が一流ホテルの、一人が超人気レストランの、一人が出版社の社長さんなのであった。二人が40代、一人が50歳、やるー。
「小さい頃からフェミニズムの影響を受けてきたから、男女の垣根はとっくになかった。だから、社長になることは特別なことじゃない。うちの場合は夫が子育てを担当してくれて、私を支えてくれている。家に戻ると夫の料理が待ち構えている」
「いいな、私も早く彼を見つけたい。私のために料理をしてくれる男」
「いるわよ」
「どこに」
「ここよ」
「ちょっと、勘弁してくださいよ。お互い選ぶ権利があるでしょう」
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
話はかわりますが、パリの一風堂さんが全店舗にポスターを貼ってくれました。感謝。で、ベルトランに写真を送りつたら、すげー、という絵文字。ぼくが貼りに行った時の写真を送って、ぼくも貼ってるよ、とメッセージ送ってみたら、「信じられない。そんなことアーティストにやらせちゃいけない」という奇妙なメッセージが届きました。はて、空耳でしょうか?
ということで、迫ってきました。父ちゃんの文章教室、課題はすでに締め切っていますが、参加者全員に選ばれた作品が送られます。授業はその文章を細かく解説したり、推敲したりしながら進んでいきますので、眺めているだけで、ためになる、辻講座です。笑。ご興味ある皆さん、下の地球カレッジのバナーをクリックしてみくださいね。
5月29日のオランピア劇場ライブの翌日、日本からお越しの皆さん、JALパックさんがパリの(父ちゃん推薦の)レストランでランチ会を開催します。父ちゃんも、ライブの翌日ですがちらっと顔を出しますので、パリ旅行を計画されてる皆さん、チェックしてみてください。
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エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
フランス国内、もしくは周辺国、あるいは世界各地にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。旅慣れていない皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。
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ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。
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