某月某日、階段から落ちて足と手の捻挫による炎症が続いているので、熱っぽい。ちょっと体力が落ちて風邪気味だし、心配になり、体温を計ったら、３４，９度、平熱であった。フランス人の平熱は３７度なので、ぼくは冷血人間ということになる。
冷血～！
熱血～！
もう、どっちなんだよー、と今日は朝から元気な父ちゃんであった。
フランス人の平均体温が３７度で、日本人の平均体温が３６度。ぼくの平均体温が３５度前後だから、ぼくが高熱が出ていると訴えても、３７度は平熱だから、とまともに受け止めて貰えないのであーる。
体温の低い日本人の中でも冷血な父ちゃんなのであった。冷血～。
でも、気が付くと何かが変だ。なんだろう、おおおお！　
さんちゃんがいないじゃないか～。
そうだ、三四郎はマントふみ子さんのところで預かってもらっているのであった。長谷っちが最初三四郎を預かる話だったが、長谷っちは日中事務所の仕事もあるので、結局、一人暮らしのマントさんが数日面倒を看てくださることになったのであーる。
さんちゃん、元気にしているかなァ。

長谷っちが来る前に、早めの昼ご飯を食べることにした。（長谷っちの出社時間、月・水・金か、火・木・土の１３時半から１８時くらいまで。気分出社）
左手の小指薬指以外は普通に動くので、休ませておくわけにはいかない。リハビリを兼ねて、好物・釜揚げうどんと鳥天を作ったのだった。
大量の生姜、葱で頂く。
マリネした鶏肉を紫蘇で巻き片栗粉まぶして揚げ焼きしたもの。これが釜揚げうどんにもばっちぐーなのである。
美味しかった。

とりあえず、長谷っちが来る前にゴミくらいは片づけておいた方がいいだろうと思い、足を引きずりながら、建物一階にあるゴミ置き場に出しに行ったら、おーまいがー。
ゴミ置き場が、ゴミで溢れかえって、粗大ゴミ置き場になっている。
管理人がやって来て、
「ムッシュ、ゴミ回収者がストしているんで、このありさまですよ」
「こりゃあ、酷いね」
「外に出しても運んでくれる人がいないから、どうしようもないんです。しばらく、我慢してください」
「いや、そりゃあ、しょうがない」
「ゴミ回収業者の人たちも若くから頑張っているのに、定年が二年も遅れるんですからね、可哀想だわ」

ゴミ回収業者のストライキで、パリ市内に何千トンものゴミが出ており、これを面白がって観光客がゴミに囲まれたエッフェル塔や凱旋門の写真をSNSで次々アップしているので、オリンピックを来年に控えたパリ市にとってはマイナスイメージなのである。
仕方なく、ぼくはゴミを持ち帰り、ゴミ袋を二重に巻いて暫く自宅待機させることにした。
それにしても、フランス人というのは面白い。パリがゴミ屋敷になっても、表立って文句を言う人はいないのだ。
権利を主張するのは当然だから、仕方ないね、という感じ。みんなゴミを避けて通るのが上手になった。
ただ、ネズミとかがふえそうで、やばい・・・
フランス、ゴキブリはいないのだけど、そのかわりネズミが多い。ひゃあ、冷血～。
CGT（全仏労働同盟）の統計によると、過酷な仕事のせいで、ゴミ回収業者の平均寿命は全国平均より１２～１７年も短いのだそうだ。
なのに、年金がもらえるまでさらに２年も働かないとならないのでは、ストも仕方あるまい。主張するとその主張が通るのもフランスという国なのである。

しかし、ゴミ屋敷みたいになったパリ、これはいただけない。
部屋の窓から周囲を見回すと、街角はどこもかしこもゴミの山となっている。
オリンピックを成功させたいマクロン政権、でも、年金支給開始の年齢を６２歳から６４歳に引き上げる改革案も押し通したいマクロン政権、痛しかゆしの、冷血～、熱血～状態なのであった。
父ちゃんはとりあえず、歌でも練習しようかな、と思ってギターを掴んだところで現実に打ちのめされてしまったァ。
おおお、指がァ！！！！！！！
冷血～。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで何にもできずにただ、寝て治すしかない状態の父ちゃんなのであります。文章教室の課題エッセイですけど、かなり出来がよくて、１０本程度絞り込みました。ここからもう少し絞り込みます。これらの作品を眺めながら今回の授業の方向性を考えています。ベッドから動けないので、集中するのにちょうどいいのです。あはは。
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