JINSEI STORIES

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」 Posted on 2023/02/18 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ブルースウイルスさんが前頭側頭型認知症になったというニュースを今朝読んで、ちょっと衝撃を受けた父ちゃんである。
ブルースさん、67歳って、まだ、若いじゃん。父ちゃんとあんまり変わらない。
実は数日前、うちの母さんが、再び、短期間の記憶障害になり、またまた福岡済生会病院にお世話になったのだ。
ちょっと前に、意識がなくなって入院したばかりだというのに・・・。
もちろん、検査をして、問題ないことが判明したのだけれど、87歳でこれだけ記憶が飛んでしまうと、さすがにパリに来ることは不可能、という家族間結論に達した。
母さんは残念かもしれないが、もはや、オランピア劇場で息子がライブをやることさえ、覚えてない可能性がある。
弟の恒ちゃんに、8回も同じことを聞いた、らしい。(8回という具体的な数字から、弟の記憶力の高さに驚いた兄であった…。いったい8回何を聞いたのだろう?)
母さんの場合、記憶はおぼつかないし、入退院を繰り返すのだけれど、90歳間近なので、これはある意味、もう、致し方がない。
でも、母さんより、20歳も若いブルースウイルスさんの病は、治す方法がない、というのだから深刻である。
67歳になった時、ぼくの身に、同じような症状がおきたら、ぼくは三四郎とどうやって、ここフランスで生きていけばいいというのだろう?
こういうことを30歳や、40歳の時には考えることさえなかった。
でも、あのアクションスターでさえも、こんなに若くして治療方法がない認知症になるのだから、・・・・、不安である。

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」



ということで、3年間リースしていた車を返して、新しい車をリースし、ノルマンディに戻ってきた。
そもそも、車は、買ったわけではないのだ。
リースの期間が終わったので、必要に迫られ、また、借りただけ・・・。
ライブが増えそうなので、ギターを積むことが出来て、快適に動いてくれればそれでいい。
今度の車もそのメーカーでは一番小さな車種にしたのだけれど、三四郎だけなので、十分に広い。ただ、環境にやさしいハイブリッド車にした。
パリはポリューション(大気汚染)が酷いので、市内では電気で走る。駐車場のコンセントから充電できるので、便利である。
「盗難とか大丈夫ですかね?」
「大丈夫ですよ。盗難される車はガソリン車だから」
「え? そうなんですか?」
「実は、盗んだ車はアフリカや東南アジアに売り飛ばされるのが一般的なんですよ。電気自動車を盗んでも、売れないので泥棒たちはまず手を出しません。というのは、まだ、アフリカや東南アジアで、車の充電施設が普及してないんですよ」
「なるほど」

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」



昨日作った鳥ごぼうご飯は予告通りおにぎりにしたら、小さなのが5つも出来てしまった。
2合も炊いてしまった自分の責任である。
冷凍するわけにはいかないので、朝、2個食べて、3つはノルマンディまで運輸したのであーる。あはは。
で、釜揚げうどんを作って、生姜をたっぷりすって、昼と夜兼用で、いただきます。
最近、釜揚げうどんにめっちゃハマっているのである。
喉と健康のために生姜を大量にとりたくて、釜揚げうどんが最適だと気が付いた。
釜揚げうどんって、最初の一口がえらく美味しいじゃないですか。ぞくぞくするあの美味さに、やられまくっている父ちゃんなのだった。
「今日はパリごはんの放送日だったけど、皆さん、楽しんでくれたかなぁ」
こういうことを考えながら、ジュルジュルっとうどんをすすれば、足元で、さんちゃんが、くう~ん、とないて欲しがるのである。
年をとると、いろいろと面倒くさいことが降りかかって来るけれど、父ちゃんも頑張っているので、皆さんも、負けずに楽しんで乗り越えてほしいものであーる。
きっと、あのBSの番組は、そういう番組なのだ、と思う。
「どう、生きていくのか」
これは、すべての人間にかせられた命題なのであった。
ぼくは生姜をすりすりしながら、しぶとく生き続けてやるんだ、と決意していた。
熱血~。

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」



ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」

※ 本文にはぜんぜん関係ない自撮り。笑。目の前の本棚にこの本があったので、一緒にうつしたのだけど、スープ、好き、・・・。えへへ。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
生きていると、いつも不安がつきまといますが、でも、生きている期間はある意味決まっているわけだから、その間、悩んで生きるも、楽しんで生きるも、それは自分次第ということになりますね。出来る範囲で、出来ないことはやる必要はないし、何が身に降りかかるのかわからないのだから、安全な場所はもはやどこにもないし、生きていくしかないんだと思います。前を向いて。ともに、頑張りましょう。

地球カレッジ

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」



それから、春にパリ旅行とか計画している方がいらしたならば、ぜひ、父ちゃんのパリ、オランピア劇場ライブとか、どうでしょう?
もしも、フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。JALパックさんが誠心誠意優しくアシスタントしてくださいます。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

https://linkco.re/2beHy0ru

ノルマンディ日記「母さんがまた入院、ブルースウイルスさんが心配な今日この頃」



自分流×帝京大学